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金融機関や不動産会が関係した不正融資・不適切融資を解説します

 

スルガ銀行ではシェアハウスと称した投資用不動産が話題になりました。

このコンテンツでは、スルガ銀行の不正融資について解説しています。

 

不動産オーナーや投資を検討している人は、金融機関や不動産会社の実態を知ることでこれからの活動に役立てることができます。

シェアハウス管理10年以上の経験を生かし、プロの視点から契約の注意点や管理会社の選び方もお伝えします。

 

スルガ銀行の「調査報告書」より
  • 預金通帳や売買契約書の改ざん・偽造するなどの「不正行為」は、約5,500億円(7,813件)
  • 「かぼちゃの馬車」の不正案件・不正の疑いがある案件は、約1,110億円(886件)
  • シェアハウスと称する物件の割合は、全体の約10%にすぎない
  • 「賃貸用のアパートやマンション」での不正・不適切融資が全体の約9割だった

 

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投資用不動産向け融資の不適切融資が1兆円以上(スルガ銀行)

スルガ銀行 不適切融資1兆円規模(日本経済新聞 2019.5.14:写真画像

スルガ銀行 不適切融資1兆円規模(日本経済新聞 2019.5.14)

 

スルガ銀行は、投資用不動産向け融資で総額1.8兆円の全件を対象にした不正行為の調査結果を正式に発表しました。(2019年5月15日)

借り入れ希望者の預金通帳や売買契約書の改ざん・偽造するなどの「不正行為」は、約5,500億円ありました。

また、このほかに不正が疑われる融資などを含めると不適切な融資は、全体の6割強を占める計1兆700億円に達しています。

 

調査結果からは、融資額ベースで過半におよぶ借り手が自らの収入などを偽って融資を受けていた可能性が浮かぶ。

日本経済新聞(朝刊:2019年5月14日)

 

スルガ銀行:不正融資の調査(シェアハウス部分):写真画像

スルガ銀行の調査報告書より

 

このうち、かぼちゃの馬車などのシェアハウスと称した投資用不動産で不正案件・不正の疑いがある案件は、886件・約1,110億円となっています。

このうちシェアハウスの割合は、不正・不適切融資の案件全体(7,813件)の約11%にすぎません。

残りの不適切融資は「賃貸用のアパートやマンション」に対するものであり、実に全体の約9割に達しています。

つまり、「賃貸用のアパート・マンション」に対する不正融資がまん延していたのが実態なのです。

 

中古アパート・マンション向け融資では入居率や家賃を記載した「レントロール」と呼ぶ入居実績賃料を改ざんし、入居率の高い優良な物件にみせかける不正行為もあったという。

日本経済新聞(朝刊:2019年5月14日)

 

(参考)日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44831680V10C19A5MM8000/

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44823590V10C19A5EE9000/?n_cid=SPTMG002

 

シェアハウスに関係する不適切融資は約1割(スルガ銀行)

かぼちゃの馬車:間取り:写真画像:

「かぼちゃの馬車」はシェアハウスとはいえない間取りでサラリーマン投資家に販売されていた

 

前述のとおり、スルガ銀行のシェアハウスと称した投資用不動産の不適切融資に該当していたものは、全体の11%にすぎません。

逆に言えば、不適切融資は「賃貸用のアパートやマンション」が約9割とそのほとんどを占めています。

発端はシェアハウス関係だったかもしれませんが、その実態の中心は「賃貸用のアパート・マンション」に対する不正融資でした。

 

破たんしたスマートデイズ社に代表される不適切融資は、オーナーに対する「家賃保証」がストップしたことにより発覚しました。

しかし、スマートデイズ等の物件をチェックしてみると、実は「シェアハウス」とはいえない物件であったことがわかりました。

筆者もスマートデイズの物件や間取りを確認したことがあります。

シェアハウスのプロの目から見て、「とてもシェアハウスとはいえない物件」でした。

「シェアハウスに似た建物」をつくり、サラリーマン投資家に高額で販売する投資用不動産物件といえます。

 

詳しくは、下記のコンテンツで解説しています。

 

シェアハウスも含めて収益不動産の購入・融資は慎重に

契約:注意:モノクロ:写真画像

金融機関の不正融資は自社のノルマ・不動産会社との連携により起こる

 

完成済みのシェアハウスを含め、投資目的の収益物件を購入したり融資を受けたりする際には、買い手も慎重な行動が求められます。

なぜ不動産会社の不正行為や金融機関の不適切融資が起こる原因は、不動産は高額なため購入には金融機関による借り入れ(融資)が不可欠なことが関係しています。

 

3-1 金融機関の不正行為に注意する

投資用不動産の関係者が利益をあげるには、金融機関からスムーズに融資を受けられるようにして不動産の購入者との契約を成立させる必要があります。

そのため、場合によっては金融機関の担当者と不動産会社が連携し、融資の条件を形式的に満たすといった「不適切な手続き」をとる可能性があります。

たとえば、借り入れ希望者(不動産投資家)の自己資金を多く見せるために不動産会社が一時的に資金を立て替えたり、預金通帳の金額を改ざんした可能性などが指摘されています。

 

金融機関の思惑
  • 金融機関(営業マン)は融資の残高・実績を増やしたい
  • ノルマ達成のために投資用不動産をあつかう不動産会社と連携したい
  • 融資条件を形式的に満たしてでも融資を実行したい

 

金融機関の融資を受ける際には、あなたの預金や通帳が不正に利用されていないかをよくチェックすることが重要です。

 

3-2 不動産会社や物件に注意する

スルガ銀行の例でもわかるように、不動産会社が金融機関の融資に関して不正を行なうケースがあります。

問題になったシェアハウスと称する物件は、もともと立地条件が悪く空室率も高くなっていました。

それにもかかわらず、不動産会社は周辺相場を大幅に上回る価格で物件(土地・建物)を販売して、大きな利益をあげていたのです。

物件を管理・運営する会社がオーナーへの家賃を高い金額で保証することで、収益物件としての「利回り」をつりあげていました。

 

物件を購入したオーナーは、投資の利回りばかりに目が行っていたのではないでしょうか。

実際に現地を見に行ったりシェアハウス家賃の相場を調べたりすれば、物件の価格や想定家賃の妥当性を認識することができたはずです。

 

不動産会社の思惑
  • 自社の不動産を販売したい
  • 流通している投資用不動産を仲介したい
  • 金融機関の融資条件を形式的に満たしてでも契約したい

 

投資用不動産物件の「家賃保証」に注意

  • 不動産投資家は不動産会社や管理会社の「家賃保証」に注意する
  • 相場よりも高い家賃を保証している会社は要注意
  • 融資時は有利だが、その後の状況の変化で返済ができなくなる可能性がある

 

このように、高額な投資不動産には様々な関係者の利害が絡む可能性があります。

不動産のオーナーや投資家は不動産販売や仲介などについても勉強して、不動産業界やその仕組みについても理解を深めることが重要です。

 

(参考)
アパート等のサブリース契約を検討されている方は契約後のトラブルにご注意ください!
平成30年3月27日 公表(平成30年10月26日 更新) 金融庁・消費者庁・国土交通省

 

関連ニュース(スルガ銀行)

ニュースのイラスト:写真画像

スルガ銀行の関連ニュースをお伝えします

 

スルガ銀行 中期経営計画

2019年11月

スルガ銀行が発表した2025年度までの中期経営計画によると、22年度時点で投資用不動産向け融資の新規融資額を1,300億円に設定しています。

投資用向け不動産融資を引き続き柱にしつつも、会社員から富裕層への融資に切り替えていく計画とのことです。

多くの不適切融資や不正行為があったので計画の内容は当然とも言えますが、一般の個人や会社員への融資は厳しくなりそうです。

 

参考(日本経済新聞)

 

スルガ銀行「投資用不動産ローン」再開

2020年1月

スルガ銀行は、2019年末より「投資用不動産ローン」の融資営業を再開していたようです。

融資基準を他の地方銀行や信用金庫並みに厳しくしているとのこと。(属性と物件)

ある程度の年収や資産を持っている人や、「検査済み証」のある物件を対象としています。

その結果、金利は不祥事前の4%台から2%前後に引き下がったという情報もあります。

しかし、このような戦略は他の金融機関と競合することとなります。(レッドオーシャン)

一方、スルガ銀行には他行にない優位性もあると言われています。それは、融資期間の長さです。

たとえば、他行では15年とされるものが25年間の提示を受けるケースもあるようです。

 

スルガ銀行が借金の帳消しへ(かぼちゃの馬車など)

2020年3月

スルガ銀行がかぼちゃの馬車の物件オーナーらに不正な融資を行っていた問題で、被害を訴えるおよそ260人のオーナーと銀行との間で調停が成立する見通しとなり、オーナーが抱える合わせて440億円のローンが解消されることになりました。

被害を訴える所有者(オーナー)側とスルガ銀行が裁判所の勧告を受け入れ、調停が成立する見通しになったようです。

他の所有者についても希望者には同様の措置をとるとのこと。

まずスルガ銀行がオーナーが所有する物件の貸出債権を投資ファンドとみられる第三者に売却。

オーナーはこの第三者に土地と建物を物納(代物弁済)すれば、借金が帳消しになります。

所有者(オーナー)には債務免除益が発生しますが、非課税扱いになる見通しとのことです。

 

筆者が独自に調べてみたところ代物弁済を受ける「第三者」とは、プライムワンという特定目的会社のようです。

インターネット等では会社の情報がほとんど出てきませんでした。(2020年10月時点)

プライムワン特定目的会社の登記謄本の写真画像

プライムワン特定目的会社に代物弁済されている(実際の登記情報)

 

スルガ銀行のアパート・マンション案件の不正融資でも家主が団体交渉

2020年7月

スルガ銀行が不正に融資した投資用不動産の問題解決をめぐって、1棟アパート・マンションも家主が団体交渉をする動きが広がっています。

不正融資によって多額の借入金でアパート・マンションを購入した人もおり、悪質な手段で融資が実施された例があるとされています。

スルガ銀行は救済策として「元本の一部カット」の交渉を受け付けていますが、個別ごとの交渉になり長期戦を余儀なくされる見通しのようです。

元本一部カット交渉の希望人数は約3000人に上るといい、一方で面談が実現したのは、そのうちの6割にすぎないとされています。

 

 

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よくある質問(FAQ)

Q&A:写真画像

よくある質問(Q&A)

 

なぜ不正融資や不適切融資が起きたのですか?
営業職員へのプレッシャー(売上目標やノルマなど)、顧客の審査体制が機能していなかった、営業へのプレッシャーがあった、ガバナンスが効いていなかったなど、さまざまな問題があったといわれています。
スルガ銀行の内部でも、当初からスマートディズのビジネスモデルや財務体制に対して疑念を抱く人が複数いたそうですが、そうした声を吸い上げて問題を排除できなかった体制自体に問題があると第三者委員会は結論づけています。

 

 

まとめ(スルガ銀行の不正融資)

スルガ銀行の不正融資(まとめ)
  • 預金通帳や売買契約書の改ざん・偽造するなどの「不正行為」は、約5,500億円(7,813件)
  • 「かぼちゃの馬車」の不正案件・不正の疑いがある案件は、約1,193億円(955件)
  • シェアハウスと称する物件の割合は、全体の約10%にすぎない
  • 「賃貸用のアパートやマンション」での不正・不適切融資が全体の約9割だった
  • 今後は富裕層向けの融資となる
  • サラリーマン(会社員)等による不動産投資は難しくなる

 

追伸(PS)

2019年10月、スルガ銀行の違反行為がニュースになりました。

日本銀行が金融機関の経営状況を調べる「考査」の際に、スルガ銀行から提出された会議の議事録の一部に「虚偽の情報が掲載される」などの違反行為があった、としています。

不動産の所有者や購入者は、融資を受ける金融機関が信頼できる会社かどうかをよく見極めることがますます重要になりそうです。

 

 

Ⓒシェアハウス経営の教科書

 

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