インターネットのニュースサイトに「シェアハウスと民泊(住宅宿泊事業)」を組み合わせた物件が取り上げられていました。
シェアハウスを運営している人や不動産・賃貸事業で差別化をはかりたい人には、気になるニュースだと思います。
筆者は、10年超のシェアハウス管理・運営だけでなく、民泊の運営でも2年超の経験があります。
このコンテンツでは、シェアハウスと民泊の相性(あいしょう)について解説しています。
シェアハウスや民泊の運営に興味のあるオーナーや管理会社の人に向けて、実際に企画をするときの注意点についてもお伝えします。
シェアハウスと民泊は相性がよい
インターネットにシェアハウスのニュースが掲載されていました。
依然増え続け、差別化が進むシェアハウス(財経新聞)
表現は語弊があろうが「スルガ銀行不正融資問題」もどこ吹く風。 シェアハウスの増加が続いている。
不動産業者の中には「氾濫の二文字がふさわしい状況」とする向きが少なくない。
それだけに差別化を図る意味で、新たな形のシェアハウスの登場も目立つ。
筆者がシェアハウスの現場にいる中で実際に感じているようなことも書いてあります。
新築物件の投資問題などがありましたが、シェアハウスの市場は現在も変わらずに伸びています。
それは、20代~30代の入居者の需要が依然として旺盛だからです。
また、日本を訪れたい外国人は多くおり、日本での暮らしやシェアハウスに対しての興味も広がっているようです。
「日本を訪れるインバウンドには、日本人と一つの屋根の下で暮らし日本人を直に知りたいというニーズが強い。
訪日観光客の滞在期間は短いが、だけになおさらシェアハウスという住いの中で日本人と一緒に暮らせることが大きな魅力となっている。
現在は観光客の来日が難しい状況ですが、東京オリンピック開催等により日本の魅力は増しているようです。
シェアハウスと民泊に共通するキーワードは「シェア」。
- 他人との触れ合いがある
- 外国人のニーズが強い
このような点から、シェアハウスと民泊(住宅宿泊事業)の相性はよいと言えます。
シェアハウスは、他人同士が共同生活する賃貸住宅です。
民泊は、オーナーがユーザーと予約のやり取りをして宿泊させる施設です。
どちらの事業もオーナーやユーザーとのやり取りが自然に発生し、マネジメント面でも類似点があります。
たとえば、シェアハウスも民泊も基本的にはスマホのアプリやメール・メッセージでのやり取りになります。
通常の不動産会社やホテルと異なり、いつでも気軽に問合せができます。
また、生活に必要なベッドなどの家具や洗濯機や冷蔵庫などの家電も設置されているので、「利用者がすぐに生活することができる点」も相性が良いといえます。
さらに、シェアハウスと宿泊施設を組み合わせることは「リスクヘッジ」という面でも効果が期待できます。
たとえば、大規模な災害や感染症などが発生すると、海外からの旅行者や宿泊者は激減します。
宿泊施設だけに頼っていると、経営的に大きなダメージを受けてしまいます。
民泊などで使用していた部屋を「シェアハウスの個室」として活用できれば、賃料収入にシフトすることができます。
シェアハウス×民泊 の注意点
類似点もあるシェアハウスと民泊ですが、制度的に大きく異なる点があります。
それは、シェアハウスは「賃貸業」であり、民泊は「旅館業」であるということです。
それぞれに適用される法律や役所の管轄が異なりますので、注意が必要です。
シェアハウス | 民泊(住宅宿泊事業) | |
事業 | 賃貸住宅業 | 宿泊業(旅館業) |
主な法律 | 借地借家法など | 旅館業法 |
その他の法律など | 各自治体の法律(例:東京都建築安全条例) | 各自治体の条例など |
関係する省庁など | 国土交通省 | 国土交通省・厚生労働省・観光庁・消防庁・保健所など |
シェアハウスと民泊を同時に企画・検討する際には、管轄するそれぞれの役所に相談する必要があります。
- シェアハウス … 各自治体の「建築課」など
- 民泊(住宅宿泊事業)… 各保健所など
役所・保健所にヒアリングした事例(シェアハウス×民泊)
ある建物内で、シェアハウスとホテル旅館(※)の同時営業について検討してみることになりました。
筆者が役所・保健所に実際にヒアリングした事例を参考に記載しておきます。(東京都北区)
この事例では、民泊(住宅宿泊事業)ではなくホテル旅館としての営業を検討しました。
民泊を検討する場合にも参考にできる事例だと思います。
※2018年6月の旅館業法の改正により、ホテルと旅館の分類がなくなりました。
※ 法律によりホテル旅館業が開設できない地域もあります。
※ 営業許可の要件や手続き等の最新情報は、自治体や保健所に確認してください。
【 東京都北区の事例 】
この建物は、延床面積が100平米未満で2階建ての物件です。
もともとシェアハウスとして営業している物件なのですが、入居率が悪いため物件の一部をホテル旅館として営業ができないか検討しました。
まずは、東京都北区の保健所にヒアリングしました。
その結果、この物件では「シェアハウス」と「ホテル旅館」部分をフロアで分けてほしいということでした。
建物の出入口は一緒でも構わないようでした。
そうはいっても、ホテル旅館は基本的に「フロント(帳場)」を設けなくてはなりません。
この物件で実際に企画するとなると、ホテル旅館部分は人の出入りがある「1階」にせざるを得ませんでした。
そのため、2階がシェアハウスとなります。
実際には建物の構造的に難しい点があったため、結果的にこの物件はホテル旅館の部分は設けずに「シェアハウス」として運営を行なっています。
このように、旅館業法は各自治体によって異なる「要件」が定められている場合があります。
その際は、より細かい規定が適用されることがあるので、必ず事前に「各保健所」に相談してください。
まとめ(シェアハウスと民泊・旅館業)
シェアハウスと民泊・旅館業は、間取りや運営上の共通点も多いため相性は良いといえます。
ただし、法律や役所の管轄がそれぞれ異なりますので注意しましょう。
自治体によって要件や細かい規定の違いがありますので、役所や保健所と相談して検討していくことが重要です。
- シェアハウスと民泊・旅館業の相性はよい
- それぞれ法律と管轄の自治体が異なる
- 企画時は、役所・保健所へ相談に行く
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