シェアハウスの運営は、トラブルがあるので心配なオーナーや管理会社も多いと思います。
クレームやトラブルを防ぐには、入居者に契約書・ハウスルールを守って生活してもらう必要があります。
そのためには、オーナーや管理会社が定期的にハウスを巡回することが重要になります。
いくら書面や口頭で説明をしていても、共同生活ですから色々なことが起こります。
ルールが守られているかどうかは、実際に物件を訪問してハウス内を確認する必要があります。
このコンテンツでは、シェアハウスの巡回のやり方について解説しています。
巡回の準備からハウス内のチェック項目までわかりやすく記載しています。
シェアハウス管理10年超の筆者の経験をもとにしていますので、すぐに実践することができます。
シェアハウス巡回の頻度【週1回以上】
シェアハウス管理に10年以上たずさわった筆者の経験からすると、シェアハウスの巡回は「週1回以上」は必要です。
通常シェアハウスには「管理人」は常駐していません。
そのため、オーナーや管理会社の担当者が定期的にハウスを巡回(訪問)する必要があるのです。
シェアハウスは共同生活ですので、定期的な巡回によって住みにくさやトラブルにつながる可能性について、できるだけ早期に把握しておく必要があります。
管理する物件が多かったり担当者の人数が少なかったりすると、ハウス巡回の頻度は自然に少なくなってしまいます。
そうすると、ハウス内の異変に気付くのが遅れてクレーム・トラブルが起こりやすくなってしまうのです。
入居者募集のサイトやホームページに「巡回の頻度」を掲載していることもあります。その内容と頻度はしっかりと実行する必要があります。
そうしないと、募集要項と実際の管理内容にギャップが生じて入居者の信用を失ったり、クレームや悪い口コミにつながったりしてしまいます。
また、入居者にはハウスルールを守るという緊張感を持ってもらうためにも、定期的な巡回は必要になります。
オーナーや管理会社がハウスを巡回することで、入居者もルールを守る気持ちが高まります。
また、定期的な巡回はハウスルール通りに運営がされていることを示して、入居者を安心させる意味合いもあります。
これらの点からすると、月に1~2回の巡回では頻度が少なすぎてしまいます。
最低でも週1回はハウス巡回することを決め、スケジュールを立てて実行しましょう。
ハウス内で退去の立会いがあったり、空室の案内(見学)の予定があったりする場合は、その時に巡回をすればOKです。
曜日を変えて訪問すると、ゴミ出しのルールが守られているかをチェックすることができます。
また、ハウスの清掃担当の人が勤務している時間に合わせて巡回すると、訪問時にハウスの状況を聞くことができます。
シェアハウス巡回の準備
シェアハウスの巡回の前には、事前に準備を行いましょう。
- 物件に掲示するものや持っていく物などを準備する
- 他のメンバーに声をかけて必要な作業をチェックする
ハウス内に掲示するポスターなどがあれば、文房具とともに準備しておきましょう。
ハウスの訪問前に他のスタッフにも声をかけましょう。
持参してほしいものや、作業のお願いがあるかもしれません。
最寄り駅からシェアハウスまで
物件の最寄り駅からシェアハウスまでの道すがらは、飲食店などの新しいショップがオープンしていないかチェックしながら行きましょう。
時間があれば、駅の周辺やいつもと違う道をチェックするのもよいと思います。
新規オープンや知らなかったショップを見つけたら、スマホなどで写真を撮っておきます。
たとえば、新しくオープンしたラーメン店の情報や、営業時間が変更したショップの情報などをチェックします。
後ほどホームページに掲載したり、今後の案内時の参考にしたりするようにしましょう。
シェアハウス内の巡回
シェアハウス内を巡回する際にチェックするポイントをまとめました。
- 玄関まわりのチェック
- 消耗品の点検・補充・交換
- ゴミ出しルールが守られているかの確認
- 清掃状況のチェック
- 屋上・ベランダのチェック
- 共用部の私物のチェック
- 掲示板などへの告知事項の掲出
- 入居者・清掃員からのヒアリング
シェアハウスは外国人の入居者がいるケースも多くあります。
文化の違いから日本での生活や共同生活のルールを理解していないこともあります。
その点も念頭に入れて詳しく見ていきましょう。
玄関まわりのチェック
- 玄関のたたきに靴は出ていないか
- 整理整頓がされているか
- ポストは乱れていないか
玄関が乱れてくると、ハウス内の他の場所も乱れてきます。
シェアハウスも同様で、雑然としているのが日常になるとそれに慣れてしまい、入居者の意識がうすれてモラルも乱れてきてしまいます。
整理整頓された玄関を維持するには、管理者が定期的に巡回して目を光らせ、少しでも乱れたところがあればすぐに対策をすることが重要になります。
消耗品の点検・補充・交換
下記の点検をおこない、必要に応じて補充します。
- トイレットペーパー
- キッチンの洗剤・掃除用具
- タオル・ふきん類
- フライパンや調理道具
- 照明・電球
ゴミ出しルールが守られているか
シェアハウスがある自治体ごとにゴミの出し方や曜日が異なります。
適切に分別されているか、ゴミ出しのルールが守られているか、巡回時にチェックしましょう。
曜日を変えて巡回するようにすると、各種ゴミ出しの状況がわかるのでおすすめです。
また、粗大ゴミが放置されていないかをチェックし、あれば誰のものか調査して注意喚起をする必要があります。
所有者がわからない場合は、入居者にヒアリングして突き止めるようにします。
清掃状況のチェック
共用部の清掃ができているかを確認しましょう。
とくに水回り設備の清掃をよく確認してください。
汚れが気になる場合は清掃をおこないます。
清掃員が作業したばかりなのに汚れが目立つ場合は、清掃員のスキルを確認して指導しなければなりません。
屋上・ベランダのチェック
共用の屋上やベランダ(バルコニー)は巡回時に見落としがちです。
洗濯物干しの利用状況や、設備などを確認しましょう。
喫煙所を設けている場合には、灰皿やゴミの状況も確認しておきましょう。
共用部の私物のチェック
玄関やリビング、廊下などの共用部に私物の放置がないかどうかチェックしましょう。
一部のルール違反者によって共用部が狭くなったり使いづらくなったりしてしまいます。
巡回して指摘をしないと、共用部に私物がどんどん増えてしまいますので注意が必要です。
同様に、冷蔵庫内のチェックも行ないます。賞味期限切れのものや無記名のものを確認します。
入居者に連絡して処分などの対応を促したり、期限を決めて廃棄処分したりしましょう。
明らかに腐っているものや退去した入居者のものは、衛生的にもすぐに処分することが重要です。
事前に「ハウスルール」に明確に記載して説明しておきましょう。
掲示板などへの告知事項の提出
掲示するポスターやメッセージの記入などを行います。
不要なポスターがあればはがします。
入居者から運営側に向けてのメッセージがないかどうかも確認しておきましょう。
入居者・清掃員からのヒアリング
訪問時は入居者とのコミュニケーションを活発にして、シェアハウス内でのルールや人間関係に不平や不満が生じていないか気を配りましょう。
複数の人間が集まるシェアハウスは、放っておくと力関係が生じることもあります。
そのため人間関係の対応が必要なときには運営側が真ん中に入り、ファシリテーター(中立的な立場で話し合いをスムーズに調整する人)的な役割をもつことで、人間関係のバランスを保つことが重要です。
そうでないと力の強いリーダーが生まれ、その人のためのシェアハウスになりかねません。
そうなると「あの人がいるから住みづらい」ということで退去してしまう入居者がでてくる可能性があるので注意が必要です。
また、ハウスの訪問時に清掃員がいれば話をしましょう。
リビングなどの共用部の使い方や、ゴミ出しのルールの状況などを確認します。
シェアハウス巡回の注意点
シェアハウス巡回の注意点についてまとめました。
- 同じ担当者が巡回するようにする
- 異変を感じたらすぐに確認し、写真・動画を撮る
- 全体メールや掲示板などで注意喚起する
- 問題のありそうな入居者の情報があれば、事実を確認して注意する
同じ担当者が巡回するようにする
1つの物件をなるべく同じ担当者が巡回するのがベストです。
そのハウス担当者が、入居者募集 → 案内 → 定期巡回 まで行います。
いつも同じ担当者がハウスを訪問して普段から積極的なコミュニケーションをとることで、入居者との人間関係を築くことができます。
お互いに言いにくいことも話せるようになります。
ただし、運営側と入居者のコミュニケーションは、やり方を間違えるとカドが立つため細心の注意が必要です。
訪問するたびに、備品や清掃のチェックなど管理者としての立場を強調しすぎると訪問を煙たがれることになります。
管理会社と入居者は対立の関係ではなく、シェアハウスを作っている対等の立場として接するようにしましょう。
また、複数のシェアハウスを管理している場合は、時々ほかの担当者が巡回することも重要になります。
いつも同じ担当者だと気づかない点も出てくることがあるためです。
また、入居者と仲良くなりすぎてチェック事項が甘くなる可能性もあります。
異変を感じたらすぐに確認し、写真・動画をとる
ハウス巡回(訪問)のときにチェック事項に該当したり異変を感じたりしたときには、冷静によく確認してみましょう。
問題点が確認できた場合は、その現場の写真や動画を撮影します。
証拠として残したり、ほかのスタッフや入居者と共有したりすることができます。
その後の対応については、2つのパターンがあります。
- その場ですぐに対応するもの
- 後日にしっかりと対応するもの
たとえば、キッチンの排水溝にゴミがたまっているようなケースでは、巡回した担当者がすぐに処理をすればよいでしょう。
しかし、玄関のタタキに靴が何足も放置してあるようなケースでは、その場の対応では限界があります。
ハウスルールをしっかりと守ってもらえるように対策を立て、入居者に連絡をしなければなりません。
ハウス内で何か異変があったときに、どちらの対応をとるのかをある程度事前に決めておくのが良いでしょう。
全体メールや掲示板などで注意喚起する
ハウス内の生活やルールに関する事項が発見された場合には、オーナーまたは管理会社から入居者に連絡をおこないます。
具体的には下記のような方法で連絡します。
- 入居者全員にメールを送る
- ハウスの掲示板や張り紙で注意する
- その他のSNS(LINEなど)を送る
問題のありそうな入居者の情報があれば、事実を確認して注意する
ある入居者に対するクレームがあった場合には、まずは事実関係を確認します。
複数の入居者や清掃員などにヒアリングして情報を集めましょう。
そして、問題のある入居者本人にもメールや電話で確認します。
入居者の案内時から担当者が接していれば、お互いの携帯電話の番号を知っています。その点では連絡が取りやすいといえるでしょう。
事実を確認して本人がルール違反を認めた場合は注意をします。そして今後の動向を見守りましょう。
注意点
- ルール違反の情報を提供してくれた入居者の名前は絶対に出してはいけません。
- ハウス内のトラブルの原因となる可能性があります。
- オーナーや管理会社の信用を失墜させることにもつながります。
シェアハウスのトラブルについては、下記のコンテンツで詳しく解説しています。
玄関のトラブル事例
https://sharehouse7.com/how-to-make-entrance-owner/#_1
まとめ
- シェアハウスの巡回は「週1回」以上おこなう
- 巡回の前に準備をして他のスタッフにも声をかける
- チェック項目に沿ってハウス内の確認をおこなう
- 異変に気づいたら写真・動画をとり対応を行う
- 日頃から入居者・清掃員とのコミュニケーションをとるようにする
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