「賃貸住宅管理業」登録義務化のポイントを解説(6月15日から)

 

 

2021年6月15日、賃貸住宅の管理業(制度)に関係する新しい法律が施行されます。

正式名称は、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」です。(賃貸住宅管理業法)

 

この新法は、以下の2つの業者を規制の対象としています。

① 賃貸住宅管理業者

② 特定転貸事業者(サブリース業者)

 

このコンテンツでは、①の「賃貸住宅管理業者」に関係する法制化(登録制度)の内容について解説します。

 

 

※サブリース業者の規制については、下記のコンテンツで解説しています。

 

 

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【最新情報】 賃貸住宅管理業法のニュース

ニュースのイラスト:写真画像

賃貸住宅管理業法の最新ニュース

 

 

6月15日の施行が決定しました(賃貸住宅管理業法)

「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」(令和2年法律第60号)の賃貸住宅管理業の登録制度に係る部分を施行するため、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の施行期日を定める政令」及び「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律施行令の一部を改正する政令」が閣議決定されました。(4月16日)

この政令により、賃貸住宅管理業の登録制度の施行は「6月15日」に決定しました。

 

賃貸住宅管理業の登録申請をする場合は、登録免許税法に基づき、申請件数1件あたり9万円(登録手数料)を納付する必要があります。

また、5年ごとの更新に必要な手数料は、18,700円(オンラインによる申請は、18,000円)とのことです。

 

 

管理受託時の「重要事項説明書」が公表されました(国土交通省)

管理受託契約の重要事項説明書の記載例の写真画像

重要事項説明書の記載例

 

国土交通省から、賃貸住宅の管理受託契約時に行う「重要事項説明書」が公表されています。

 

管理受託契約 重要事項説明書(国土交通省)
PDF版(記載例)】   【Word版

 

※マスターリース契約の重要事項説明とは異なります。

 

賃貸管理業者の登録制度とは

賃貸住宅管理業の登録のポイントの写真画像

賃貸住宅管理業登録のポイント(国土交通省)

 

賃貸住宅の管理業務の適正化を図るために、これまで国土交通省による賃貸住宅管理業の登録制度が施行されてきました。(告示公布H23.9.30、告示施行H23.12.1)

この従来の制度は、新法である「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」の施行日をもって廃止となります。

すでに登録している事業者も、賃貸住宅管理業を営み200戸以上の賃貸住宅を管理している場合には、2021年6月15日以降、新法に基づく登録が必要となります。

 

新法では、不良事業者を排除して良質な賃貸住宅管理を提供する環境整備を強化するため、「賃貸住宅管理業者の登録制度」を創設して登録を義務付けます。

賃貸住宅管理業務に関して一定のルールを設けることで、借主と貸主の利益保護を図っています。

また登録事業者を公表することにより、消費者は管理業者や物件選択の判断材料として活用することが可能となります。

 

  • 登録義務に該当する事業者は直ちに登録をおこなう(200戸以上)
  • 物件所有者に管理報酬などの「重要事項」を契約前に書面で説明する
  • 一定の年数以上の実務経験を持つ人材や住宅管理の有資格者を配置する
  • 入居者から預かった賃料等を登録事業者の財産と分けて管理する
  • 登録の有効期間は5年(5年毎の更新が必要)

 

 

その内容をくわしく見ていきましょう。

 

賃貸住宅管理業者の登録が義務化(200戸以上)

新法では、200戸以上を管理する事業者は登録が義務付けられることになります。

(管理戸数が200戸未満でも登録を受けることは可能です。)

 

管理戸数の数え方は、「入居者との間で締結されることが想定される賃貸借契約の数」に基づきます。

例えば、1棟の家屋のうち、台所・浴室・便所等を入居者が共同で利用する、いわゆる「シェアハウス」を1棟管理する場合、当該シェアハウスが10部屋から構成されており、そのうち4部屋を入居者が使用し、残りの6部屋が空室になっている場合でも、当該シェアハウスを管理する賃貸住宅管理業者の管理戸数は、10戸と数えます。

 

 

賃貸住宅管理業者に該当する事業者は、国土交通大臣の登録を受けなければならなくなります。

無登録で賃貸住宅管理業を行なってしまうと、「一年以上の懲役もしくは100万円以下の罰金(または両方)」が科される可能性があります。

 

賃貸住宅管理に登録制 200戸以上管理の業者を対象に(日本経済新聞)

 

貸主への「重要事項説明」が義務化

契約:シニア夫婦:写真画像

重要事項説明が必要に

 

 

物件所有者(オーナー)に対して、管理受託契約の前に「重要事項説明」をおこない、書面を交付する必要があります。

その後、「管理受託契約」を締結し、書面を交付します。

 

重要事項説明のポイント(賃貸管理)
  • 説明者は一定の資格者等であることを示す書面を提示する
  • 実務経験者等や有資格者が説明する
  • 書面の交付及び記名押印する

 

 

管理受託契約 重要事項説明書(国土交通省)
PDF版(記載例)】   【Word版

(※マスターリース契約サブリース方式の重要事項説明とは異なります。)

 

賃貸住宅管理受託契約 標準契約書(国土交通省)
  【PDF版】  【Word版

 

 

管理受託契約前の重要事項説明についての詳細は、下記のコンテンツで解説しています。

 

 

(参考)管理受託契約の重要事項説明を行う必要がない契約の相手方

管理受託契約の契約の相手方が賃貸住宅管理業者である者、その他の管理受託契約に係る専門的知識及び経験を有すると認められる者である場合、重要事項に係る説明は不要となります。

具体的には以下の者が該当します。

①賃貸住宅管理業者
②特定転貸事業者
③宅地建物取引業者
④特定目的会社
⑥組合
⑦賃貸住宅に係る信託の受託者(委託者等が①~④までのいずれかに該当する場合に限る)
⑧独立行政法人都市再生機構
⑨地方住宅供給公社

 

事務所に実務経験者・有資格者を配置する

資格を示す写真画像

資格者等を事務所に配置することが必要に

 

賃貸住宅管理業者の登録には、事務所ごとに「一定の年数以上の実務経験を持つ人材や住宅管理の有資格者」を配置する必要があります。

 

  • 6年以上の実務経験者・・・賃貸住宅管理業者の登録時に業務経歴書を申請・認定
  • 賃貸不動産経営管理士・・・賃貸不動産経営管理士証の資格保持者(宅地建物取引士を含む)

 

管理会社の社内に実務経験者や宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士がいないと、新法で定める業務管理者の設置が間に合いません。

不安がある管理業者は、賃貸不動産経営管理士等の採用や従業員による資格取得を検討する必要があります。

 

入居者から預かった金銭を分けて管理する

金庫の写真画像

金銭の別管理が必要になる

 

 

入居者から徴収した金銭は、「業者の資金・財産と分割して」管理しなければなりません。

例えば、業者の財産と賃貸人の家賃や敷金等の預り金を、帳簿上、別々に管理することが挙げられます。

 

(分別管理)
第十六条
賃貸住宅管理業者は、管理受託契約に基づく管理業務(第二条第二項第二号に掲げるものに限る。以下この条において同じ。)において受領する家賃、敷金、共益費その他の金銭を、整然と管理する方法として国土交通省令で定める方法により、自己の固有財産及び他の管理受託契約に基づく管理業務において受領する家賃、敷金、共益費その他の金銭と分別して管理しなければならない。

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律

 

 

分別管理の状況については、家賃等を集金してから貸主へ送金するまで、どのように管理されているかをわかりやすく確認できるように記載する必要があります。

 

管理業者は契約者に対して「定期的に報告する」必要がある

リモートワークのイラスト画像

 

 

管理業者は物件の入居状況や入居者がトラブルを抱えていないかなどを、契約者に対して「定期的に報告する」ことが義務付けられます。

貸主と登録業者の信頼関係を維持できるよう、業務内容に応じて、適切に実施される必要があるでしょう。

例えば、毎月の家賃の受領については毎月、建物・設備の維持管理状況については1年ごとに報告することなどが考えられます。

 

 

登録の有効期間は5年(5年毎の更新が必要)

 

賃貸管理業者の登録の有効期間は5年です。

この有効期間満了後も賃貸住宅管理業の登録の継続をされる場合は、登録の更新を受ける必要があります。

登録の更新を受ける場合は、有効期間満了の日の90日前~30日前までに更新登録申請を行わなければなりません。

更新に必要な手数料は、18,700円(オンラインによる申請は、18,000円)かかります。

 

更新登録の申請がない場合には、有効期間満了とともに登録を抹消することになります。

 

注意

令和3年(2021)6月15日に「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が施行されます。

以前の制度において登録を受けていても、この新しい制度(法律)による登録を受けようとする場合は、新たに申請が必要となります。
(以前の登録が新制度に移行されるわけではありません)

 

新法の施行によって質の高い管理事業者を増やすとともに、オーナーと管理事業者のトラブルを防ぎ、悪徳事業者との線引きを家主と入居者がしやすい環境を整備します。

業者に登録が義務付けられれば、インターネット上で登録事業者を確認することができるようになると思われます。

物件の管理を業者に委託する物件所有者(オーナー)は、契約前に必ずチェックして「登録事業者と契約を締結する」ようにすることがトラブルを防止することにつながるでしょう。

 

 

 

違反した賃貸住宅管理業者は「監督処分」に

レッドカードの写真画像

違反した管理業者には監督処分が科される

 

賃貸住宅管理業法(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律)は、賃貸住宅管理業者による違反行為に対して監督処分を制定しています。

 

  • 業務改善命令(第22条)
  • 業務停止処分(第23条)

 

 

賃貸住宅管理業者の違反行為に対する監督処分の基準 

 

用語集(賃貸住宅管理業法)

6月15日に施行される「賃貸住宅管理業法」の主な用語を見ていきましょう。

 

賃貸の用に供する住宅

  賃貸借契約を締結し賃借することを目的とした、人の居住の用に供する家屋又は家屋の部分をいう

 
家屋
アパート一棟や戸建てなど一棟を指す

 

家屋の部分
マンションの一室といった家屋の一部を指す

 

賃貸住宅管理業
賃貸住宅の賃貸人から委託を受けて、「管理業務」を行う事業(詳細は次の項目へ)

 

管理業務
  1. 管理委託に係る賃貸住宅の維持保全を行う業務

    居室及び居室の使用と密接な関係にある住宅のその他の部分である、玄関・通路・階段等の共用部分、居室内外の電気設備・水道設備、エレベーター等の設備等について、点検・清掃等の維持 を行い、これら点検等の結果を踏まえた必要な修繕を一貫して行うこと

    ②賃貸人(所有者)のために賃貸住宅の維持保全に係る契約の締結の媒介、取次ぎ又は代理

  2. 賃貸住宅に係る家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理を行う業務

    ただし、(1)の業務と併せて行うものに限る。

     

    <管理業務に該当しない例>

     ●定期清掃業者、リフォーム工事業者等が、維持又は修繕の「いずれか一方のみ」を行う場合

     ●エレベーターの保守点検・修繕を行う事業者等が、賃貸住宅の「部分のみ」について維持から修繕までを一貫して行う場合

     ●入居者からの苦情対応のみを行い維持及び修繕(維持・修繕業者への発注等を含む。)を行っていない場合

     

業務管理者
賃貸住宅管理の知識・経験等を有し、国土交通省で定める要件を備えている者を指す。
管理業務の管理及び監督をする責任があり、各営業所若しくは事務所に1名以上配置する必要がある。
他の営業所・事務所との兼任は不可。

 

資料・リンク集(賃貸住宅管理業法)

国土交通省が公開している賃貸住宅管理業法に関係する資料です。

 

●賃貸住宅管理業法
  賃貸住宅管理業務等の適正化に関する法律(概要版)
  賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の概要等(令和二年三月六日閣議決定)
  賃貸住宅管理業登録制度のポイント 
  賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(令和二年六月十九日法律第六十号)

 

●賃貸住宅管理業法施行令(施行期日)
  賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の一部の施行期日を定める政令(令和二年十月十六日政令第三百十二号)
  賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の施行期日を定める政令(令和三年四月十六日政令第百四十二号)

 

●賃貸住宅管理業法施行令
  賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律施行令(令和二年十月十六日政令第三百十三号)
  賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律施行令の一部を改正する政令(令和三年四月十六日政令第百四十三号)

 

●賃貸住宅管理業法施行規則
  賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律施行規則(令和二年十月十六日国土交通省令第八十三号)
  賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する省令(令和三年四月二十一日国土交通省令第三十四号)

 

●告示
  賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する省令附則第二条の賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律
  第十二条第四項の知識及び能力に関する要件を定める件(令和三年四月二十一日国土交通省告示第三百七十八号)
  賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する省令附則第二条の講習に相当する講習を定める件
  (令和三年四月二十一日国土交通省告示第三百七十九号)
  賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する省令による改正後の賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律
  施行規則第十四条第二号の講習に相当する講習を定める件(令和三年四月二十一日国土交通省告示第三百八十号)

 

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の解釈・運用の考え方
  

 

●管理受託契約  重要事項説明書
PDF版(記載例)】  【Word版
  

賃貸住宅管理受託契約標準契約書
PDF版】  【Word版

 

賃貸住宅管理業者の違反行為に対する監督処分の基準 

 

賃貸住宅管理業法 FAQ集

 

賃貸住宅管理業者登録制度について

 

賃貸住宅管理業法制度概要ハンドブック

 

 

日本賃貸住宅管理協会は、会員向けに実務書式などの様々なサポートをしているので参考にするのもよいでしょう。

 

 

PS(追伸) 新法の最新情報

ニュースのイラスト:写真画像

最新情報をお伝えします

 

日管協、賃貸住宅管理業法の「登録」を正会員の要件に

2021年3月

日本賃貸住宅管理協会(日管協)は、2021年6月の「賃貸住宅管理業法(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律)」の完全施行に向け、同法における登録事業者を正会員とするよう会員要件を変更すると発表しました。

正会員 賃貸住宅管理業者登録規程(国土交通省告示第998号)第5条第1項の規定に基づき登録を受けた者。
ただし、当分の間は、登録を受けることを目指す者も正会員となることができる。
特別会員 正会員以外の者。

 

賃貸住宅管理業法における登録制度では、管理戸数200戸未満の場合は登録を任意としていますが、同協会では賃貸住宅管理事業者の団体として、「管理戸数を問わず、すべての正会員は同法における登録制度に登録しなければならない」方向を目指していくとのこと。

また、新たに、管理戸数500戸未満の事業者を対象とした会員区分「正会員(会費6万円)」を追加しています。(従来の正会員の会費は12万円)

新たな会員要件に該当しない会員は「特別会員」扱いとなります。

賃貸住宅管理業法は、アパートやマンションの管理業者だけでなく、シェアハウスの管理会社にも適用されます。
新法の具体的な適用内容は国土交通省から発表されていくと思いますので、新しい情報は随時アップしていく予定です。

 

 

Ⓒシェアハウス経営の教科書

 

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