目次(もくじ)
マスターリース契約とは
物件の所有者(オーナー)が事業者に建物等を一括して賃貸する、この賃貸借契約のことを「マスターリース契約」といいます。(マスター契約・一括借上げ契約とも言われます。)
賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(サブリース新法)では、「特定賃貸借契約」と呼んでいます。
マスターリース契約(特定賃貸借契約)によって、事業者はオーナーに一定の賃料を支払います。
そして、事業者はマスターリース契約によって賃借した物件を入居者などのテナントに賃貸借し、管理運営などのすべてをおこないます。(転貸=サブリース)
オーナーが自ら経営する場合と比べ、煩わしい業務は不要となり、一定の収益も確保されます。
テナントの入居、未入居に左右されない安定的な資産運用が可能となります。
アパートやマンションだけでなく、シェアハウス経営時にはオーナーと管理会社がマスターリース契約を締結するケースが一般的です。
一般のアパートの「管理契約」とは異なり、物件を一括で管理会社に賃貸借しますので注意が必要です。
管理会社は、入居者に賃貸して管理・運営を行ないます。(サブリース事業)
入居者に対する「貸主」は管理会社となり、仲介業務が不要になります。
「マスターリース契約」のポイント
マスターリース契約(特定賃貸借契約)には、大きく3つのポイントがあります。
それぞれ見ていきましょう。
「家賃保証」の有無
一般的なマスターリース契約では基本的に固定賃料ですが(家賃保証)、シェアハウスの場合は「変動賃料」の契約の場合もあります。
変動賃料の場合は毎月の家賃は保証されず、 サブリース事業 = 家賃保証 ではないケースも存在します。
サブリース新法への対応
2020年12月から、サブリース事業に関連したいわゆる「サブリース新法」(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律)の一部が施行されました。
不動産業者や管理会社とオーナーがマスターリース契約を締結する際には、この新法を理解して対応する必要があります。
※サブリース業者に対する規制・内容については、下記のサイトの解説を参考にしてください。
サブリース新法では「重要事項説明」が義務となっています
2020年12月から施行されたサブリース新法では、契約時に業者による「重要事項説明」が必要となります。
サブリース事業を検討しているオーナーは、業者が新法に基づいて適切に対応しているかどうかを見極めなければなりません。
マスターリース契約の締結には、不動産の免許(宅地建物取引業)は必要ありません。
宅地建物取引業の免許がない業者と契約するケースもあるため、オーナー側も法律をよく理解しておくことが重要となります。
マスターリース契約の注意点
用語の注意点(マスターリース・サブリース)
不動産業界では、商慣習上「オーナーと不動産会社(マスターリース契約)」「不動産会社と賃借人(サブリース契約)」2つの契約をあわせ、てサブリース契約と呼ばれていることがあります。
本来の「サブリース契約」とは、マスターリース契約によって賃借した事業者が、実際の賃借人に賃貸することです。(サブリースとは「転貸」という意味)
不動産業者によっては、マスターリース契約とサブリース契約の区別を明確にしないまま話をする可能性もあります。
契約者双方の誤解を招かないためにも、マスターリース・サブリースという用語が「どういった意味で話されているのか」を常に注意しておく必要があります。
国土交通省の「特定賃貸借標準契約書(マスターリース契約)」に準じているか
オーナーが安心して不動産業者や管理会社とサブリース事業の契約(マスターリース契約)をするには、「国土交通省が作成している標準契約書」を使用することが重要です。
国土交通省は、サブリース事業の当事者間における紛争の未然防止を図るため、「特定賃貸借標準契約書(マスターリース契約書)」を作成しています。
また、マスターリース契約の前に「重要事項説明」を実施することが義務化されています。
重要事項説明書も国土交通省が示している内容に即しているかを確認しましょう。
【ひな形】マスターリース契約書・重要事項説明書(ダウンロードできます)
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