シェアハウスを運営する際には、管理会社に委託するのが一般的です。
その理由は、シェアハウスの管理は「独自のノウハウ」が必要になるため、オーナーによる自主管理が難しいためです。
しかし、信頼のできる優良なシェアハウス管理会社を選ぶことは簡単ではありません。
オーナー側もシェアハウスに関する情報や知識を身につける必要があります。
このコンテンツでは、「シェアハウスの管理会社を選ぶときの重要なポイント」について、具体的に解説しています。
3つのポイントをおさえることで、オーナー側が優良な管理会社を選択することができるようになります。
「かぼちゃの馬車」やスルガ銀行の事例もあるように、シェアハウスは方法や管理をまちがえると安定して運営することができません。
20棟・300室のシェアハウス管理会社で10年以上の経験がある筆者が、プロの目線でデメリットや注意点も含めてお伝えしていきます。
目次(もくじ)
管理内容をチェックする【ポイント①】
シェアハウスの管理は、一般のアパート・マンションの管理にくらべて多岐にわたります。
入居者の満足と安定した運営のためには、「管理」がとても重要になります。
まずは、管理会社がおこなう「管理内容」を確認しましょう。
シェアハウスには非常に多くの管理業務が存在するため、口頭による説明だけでは管理内容をすべて確認することができません。
オーナーは、管理会社の管理内容を必ず「書面」や「サイト上」でしっかりとチェックするようにしてください。
また、「ハウスルール」の書面があれば同時に確認するようにしましょう。
もし書面がもらえないときは、管理会社のサイト(ホームページ)を見てプリントアウトして確認してください。
書面があれば、他の管理会社と比較する際にも具体的にチェックすることができます。
シェアハウスの主な管理内容は、下記の表にまとめました。
必要に応じて参考にしてみてください。
管理業務内容 | 注意点など |
入居者募集 | ・広告費はかかるか ・自社サイトはあるか(外国語対応は) |
物件案内・見学 | 夜間や土日の対応はしているか(外国語対応は) |
契約 | 入居審査の内容・定期借家契約・ハウスルール(外国語対応は) |
金銭管理 | 入金・滞納の対応 |
清掃 | 定期清掃の内容・回数 |
トラブル対応 | 物件の巡回内容・回数 |
退去 | 金銭処理・清掃 |
その他 | (不明・気になる点は質問すること) |
管理費(料)をチェックする【ポイント②】
管理内容をチェックしたら、次に「管理料」を確認しましょう。
オーナー家賃が変動する管理契約の場合は、満室賃料の20%がひとつの目安になります。
この料率(%)は、管理会社や管理内容によって異なります。
マスターリース契約(サブリース方式)などで賃料保証がされている場合は、賃料の中に管理料が含まれることが一般的です。
管理会社によっては、オプション(別料金)が設定されている場合があります。
契約前に確認しておきましょう。(事例をご紹介します。)
- 早朝・夜間・休日の設備トラブル対応
- 日常清掃以外の清掃費
- イベント・パーティーの費用
- 入居者募集の広告費
- 家賃の滞納・督促の費用
- 除草・草木の剪定費用
管理内容と管理料のバランスを確認して、管理会社を選ぶ指針としましょう。
必ず物件・会社を見学する【ポイント③】
シェアハウス管理物件を見学する
管理会社と契約する前には、扱っている「シェアハウス物件」を必ず見学してみてください。
可能であれば、1件だけでなく数件のハウスを見学させてもらいましょう。
事前に確認した「管理内容」がしっかりと実践されているかどうかを、現場でオーナー自身の目でチェックします。
疑問点があれば、すぐに質問しましょう。
回答があいまいだったり、内容に納得できなかったりする場合は注意が必要です。
他の管理会社との比較も念頭において確認するようにします。
また、物件内で入居者と会った場合は話をきいてみましょう。
「このシェアハウスの住み心地はどうですか?」
「困っていることはありますか?」
見学時の注意点
見学日時や物件が事前に決まっている場合には、管理会社が先回りして物件を清掃したり、片付けたりして一時的にキレイに見せていることもあるので注意が必要です。
裏ワザ
見学予定の物件の周辺の物件も事前に調べておきます。
当日、「別の物件も見たい」と言って管理会社の反応を見ましょう。
別の物件も快く見学させてくれる会社は、管理内容に自信があるといえるでしょう。
管理運営会社のオフィスを見学する
管理会社と契約を交わす前に、オフィスを見学しましょう。
社内の雰囲気、社員の数や年齢など、目と肌で感じられるものがあると思います。
管理会社が「宅地建物取引業者」の場合、以下のものが掲示されているか確認しましょう。(掲示は宅建業法上の義務)
宅地建物取引業者票
()内の数字が多いほど営業期間の長い業者です。
報酬額票(仲介手数料)
(参考:自社物件を賃貸することや、管理業務のみを行う場合には宅地建物取引業の免許は必要ありません。)
可能であれば、個人情報の取り扱い(入居契約書、身分証明書など)や事務所のセキュリティも確認してみましょう。
また、入居者と契約するスペースもきちんと取られているか、契約に必要な事務用品が揃っているかということも、会社の信頼性をはかるポイントになります。
管理会社との契約は「賃貸住宅管理業法」が適用される
2021年6月より、賃貸住宅の管理業(制度)に関係する新しい法律が施行されています。
正式名称は、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」です。(賃貸住宅管理業法)
一定規模以上の賃貸住宅の管理会社は、国土交通省に登録をしなければなりません。(シェアハウスの場合は 200室 以上を管理している業者)
登録している管理会社のオフィスには「登録票」が掲示されているはずですので確認しましょう。
また、オーナーとの管理受託契約時やマスターリース契約時には「重要事項説明」をする義務があります。
管理会社との契約を検討する際は、賃貸住宅管理業法の知識を身につけるようにしてください。
【関連コンテンツ】
管理運営会社の選定をまちがえるとシェアハウスは失敗する
マーケットが拡大するにつれ、シェアハウスの運営に参加する会社も増えています。
そのため、管理会社の経験や質もさまざまで、玉石混交といった有り様です。
シェアハウスは間取りや設備などの「ハード」とハウスルールやトラブル対応などの「ソフト」の両方がないと安定して運営することはできません。
とくに「ソフト面」が重要であり、入居者がストレスなく生活できて長く住みたくなるような「選ばれるシェアハウス」にならなくてはなりません。
オーナーの自主管理でない限り、シェアハウスの運営は管理会社(運営会社)に委託することになります。
シェアハウス内での「トラブル」についてもヒアリングしてみましょう。
「トラブルはありません。」という管理運営会社には注意が必要です。
共同生活であるシェアハウスは、小さなトラブルは必ず起こります。これはアパート経営を考えて見てもわかりますよね。
ポイントは、「トラブルが起きた時の対応」です。
トラブルに迅速に対応し、解決することができるのが優れた管理会社といえます。
シェアハウスは間取りや設備も大事ですが、それ以上に「管理」がとても重要になります。
入居者同士の共同生活ですので、しっかりとしたルールとその管理が必要になるのです。
その他の注意点(シェアハウス管理)
通常の管理業務に含まれない「オプション」(別料金)の内容があれば確認しておきましょう。
入居者との賃貸借契約書・ハウスルールのサンプルを見せてもらいましょう。
その内容や充実度によって、管理会社の実力をはかる参考になります。
オーナーは、契約後も時には物件の内外をチェックしてみましょう。
本当に契約どおりに管理されているかを自分の目で確かめます。
将来的な設備や内装、家具・家電の修理や交換は、管理料に含まれないことが多いといえます。
管理会社や契約内容によって異なるので、よく確認しておくことが必要です。
管理会社のサイト(ホームページ)や評判もチェックしましょう。
掲載内容と実際の説明に違和感がないかどうかを確認します。
契約後は、あなたの物件の空室がきちんと募集されているかどうか、部屋番号や家賃を見ておきましょう。
筆者の事例をご紹介します(シェアハウス管理)
筆者は、20棟・300室のシェアハウスを運営・管理する会社の10年以上の経験があります。
そのときの管理内容の事例をご紹介します。
下記の表にまとめました。
管理業務内容 | 事例・実績 |
宅地建物取引業 | 30年以上の営業実績 |
外国語対応 | 募集サイト・物件見学・契約 |
入居者募集 | ポータルサイトと自社サイトで募集 |
案内・見学 | 夜間・土曜日に対応 |
契約 | 定期借家契約・ハウスルールの読み合わせ・説明 |
金銭管理 | 滞納は1週間以内に連絡して対応 |
清掃 | 自社スタッフによる週2回以上の定期清掃 |
トラブル対応 | 週1回以上の物件の巡回・トラブル即日対応 |
退去 | 退去後3日以内の清掃・募集開始 |
その他 | クレジットカード・海外送金も対応 |
まとめ
- 管理会社選びは安定したシェアハウス運営のためにとても重要になる
- 管理内容に含まれない(別料金)内容について確認する
- 必ず管理物件、会社を訪問・見学する(オーナー自らチェック)
- 契約後も物件の管理状況を自分の目でチェックする
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