リーズナブルな価格で宿泊できる場合もあるので、宿泊費を少しでも安くしたい人には嬉しいですよね。
しかし、利用の前に「本当に安心して利用できる宿泊施設なのか」をよく確認する必要があります。
その理由は、運営者が宿泊施設や賃貸住宅を法律的にあいまいな状態のままで営業している場合があるからです。
このコンテンツでは「宿泊業と賃貸業」を具体的に比較して、利用者と運営者の双方が安心・安全に旅行を楽しむことができるように注意点をまとめています。
しっかりとした宿泊施設を選んで、思い出に残る旅やイベントを楽しみましょう。
目次(もくじ)
「旅館業」と「賃貸業」の違いに注意すること【重要】
短期の滞在ができる施設や物件についてまとめてみました。
旅館業 | 賃貸業 |
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多少の例外はありますが、おおむね上記のような分類となります。
旅館業と賃貸業は、法律や設備など異なる点が多くあります。
あなたが予約しようとしている宿泊施設は、旅館業の許可を得てい
価格や雰囲気だけで選ぶのではなく「許認可」についても確認することが重要です。
無用なトラブルに巻き込まれないためにも、以下で注意点を具体的に見ていきましょう。
ホテル・旅館(チェックするポイント)
基本的に「ホテル・旅館」で予約できるところは安全といえるでしょう。
旅館業の許可をとって営業している宿のはずです。
宿泊予約サイトなどに掲載されている宿ならほぼ間違いありません。
どうしても気になる人は、自分が宿泊する地域の自治体のサイト(ホームページ)で確認してみましょう。
たとえば、東京都港区のサイトでは、下記のように掲載されています。
情報が古い場合もあるので、最新の情報かどうかも確認しましょう。
情報が古い場合もあるので、最新の情報かどうかも確認しましょう。
(参考)
港区公式ホームページ/旅館業施設一覧表
ゲストハウス・ユースホステルの注意点
「ゲストハウス」や「ユースホステル」という名称で呼ばれている宿泊施設もあります。
大部屋などの室内で何人かで宿泊するタイプのものですね。(簡易宿所)
カプセルホテルも簡易宿所に分類されています。
旅館業法の中の種別としては、「簡易宿所」というものに該当します。
旅館業の許可を得ているかどうかの確認方法は、ホテル・旅館と同様です。
簡易宿所の欄にその宿泊施設の名前が登録されているかどうかを確認しましょう。
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ゲストハウスの注意点
ゲストハウスの中には、旅館業ではなく「賃貸業」として営業している物件もあります。
その場合は「宿泊はできない」ので注意が必要です。
旅館業の許可を受けずにホテル形式の運営をしていると違法となります。
民泊(住宅宿泊事業)・Airbnbの注意点
住宅宿泊事業の届出をして営業している宿泊施設もあります。いわゆる「民泊」ですね。
たとえば、Airbnbなどの民泊を探すサイトに掲載されている物件は、基本的には住宅宿泊事業の届出をしています。
しかし、中には届出の番号を偽ってサイトに登録しているような事業者や物件もあると言われているので、利用者は注意が必要です。
届出をしている住宅宿泊事業者(民泊オーナー)には、「標識の掲示」が義務付けられています。
届出番号の記載された標識が施設の玄関に掲示されているかで確認できます。
届出番号の記載された標識が施設の玄関に掲示されているかで確認できます。
また、住宅宿泊事業者(オーナー)は、届出住宅の居室の数が5を超える場合や、人を宿泊させる間、不在等となる場合には、「住宅宿泊管理業者」への委託が必要となっています。
その場合は、宿泊の予約や対応などはオーナーから委託された「住宅宿泊管理業者」がおこないます。
住宅宿泊管理業者は、国に登録する義務があります。
国土交通省のホームページで確認ができます。
クリックで拡大します
ウィークリーマンションの注意点(旅館業)
1週間単位で利用ができるウィークリーマンションは、「宿泊施設」に該当します。
マンションという名称ですが、賃貸業ではないのです。
つまり、ウィークリーマンションを運営するためには、「旅館業」の許可が必要になります。
利用を検討している人は、そのウィークリーマンションについて許認可の有無を調べてから予約をするようにしてください。
許可や届出の情報は、ホテル・旅館や住宅宿泊事業(民泊)と同様に調べることができます。
自分が宿泊する地域の自治体のサイト(ホームページ)で確認してみましょう。
マンスリーマンションの注意点(賃貸業)
マンスリーマンションは「賃貸住宅事業」です。
利用者は1か月以上の賃貸借契約をむすびます。
しかし、中には賃貸業と宿泊業をあいまいにして運営しているケースがあるので注意が必要です。
たとえば、2週間などの1か月未満の契約で運営していたり、シーツなどのリネン類を交換したりしていると「旅館業」にあたります。
(※内容によっては住宅宿泊事業にあたるケースもあります。)
(※内容によっては住宅宿泊事業にあたるケースもあります。)
旅館業を運営するためには、対応した建物や設備を整備して自治体からの許可を得なければなりません。
賃貸用につくられた建物や設備のまま運営したり、宿泊なのに賃貸借の契約をしたりするのは違法行為です。
賃貸用のマンスリーマンションを利用する場合は、1か月以上の賃貸借契約を結び、旅館業とは異なる契約・運営であることを確認するようにしてください。
シェアハウスの注意点(賃貸業)
シェアハウスの利用にも注意が必要です。シェアハウスは賃貸住宅です。
利用者は「ゲストハウス」と混同しないようにし、また運営者は利用者が間違えないように注意をはらう必要があります。
賃貸業なのか旅館業なのかをわかりやすくはっきりと表示することが重要になるでしょう。
賃貸業としてのシェアハウスであるにもかかわらず、自治体の許可を得ずに旅館業に該当する運営をしている場合は違法となります。
たとえば、数日の利用を認めたり、1か月未満(1週間など)の賃貸借契約を結んだりすることは住宅の賃貸業とはみなされません。(旅館業となる)
旅館業を運営するためには、自治体の許可が必要となります。
違法に運営しているシェアハウスではないかどうかは、宿泊する地域の自治体のホームページなどで「旅館業の許可の有無」を確認することが重要です。
SNSでの予約は慎重におこなうこと
Facebook(フェイスブック)などのいわゆるSNSで民泊の宿泊者を募集しているケースがあります。
しかし、宿泊の予約などをSNSで直接やり取りすることには注意が必要です。
その理由は、民泊(住宅宿泊事業)の届出をしていない違法なオーナーや物件があるためです。
住宅宿泊事業の届出をせずに民泊を装って運営しているケースがあり、法律を無視した物件といえます。
無許可の業者や個人が、自宅や賃貸住宅を宿泊施設として違法に運営している可能性があります。
相場よりも安い価格の物件や違和感をおぼえる内容があれば、自治体のホームページなどで必ず確認しましょう。
安易にSNS上でやりとりすると、予約日時や支払いなどでトラブルに発展する可能性もあります。
オーナー(運営者)が注意するポイント
旅館業や賃貸業の経営(オーナー)の視点から、注意点について見ていきましょう。
ホテルなどの旅館業とシェアハウスなどの賃貸業では、適用される法律やその内容が異なるので注意が必要です。
たとえば、ホテルとアパートでは建築基準法により建物や設備に求められる内容が違います。
宿泊施設では、建物の耐火性能、消防用設備、フロントの設置、衛生管理などアパートとは異なる仕様で建築しなければなりません。
また施設の運営に関する法律は、ホテルなどは「旅館業法」、アパートなどは「民法・借地借家法」を順守することになります。
上記のような法令で定める内容を整えずに宿泊施設を運営することは違法行為であり、重大な事故につながりかねません。
なぜ旅館業が賃貸業以上に厳しい基準を設けているかというと、ホテルなどは不特定多数の人が毎日入れ替わりに利用する施設だからです。
初めて利用する人も多く、火災や事故などが起きたときの安全性を考えて制度が決められているのです。
物件のオーナーは旅館業の趣旨をよく理解し、運営する際は法令に基づき自治体の許可を得なければなりません。
そうしなければ事故が起こる可能性が高まるのはもちろん、もし事故が起きればより大きな損害や賠償につながります。
無許可で運営することがないよう、旅館業と賃貸業の違いと法律をよく理解し、利用者に安心・安全な施設を提供することが重要です。
まとめ
宿泊施設の注意点(まとめ)
- 「旅館業」と「賃貸業」の違いに注意すること
- ゲストハウスは旅館業
- 民泊(住宅宿泊事業)は届出されている物件か
- ウィークリーマンションは「旅館業」
- マンスリーマンション・シェアハウスは「賃貸業」
- SNSでの予約は慎重におこなうこと
- オーナーは法律を順守して運営すること
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