シェアハウスでは、「友人・家族の訪問や宿泊」を認めている場合があります。
様々な出会いや交流ができて、それがシェアハウスの魅力でもあります。
しかし、物件のオーナーにとっては、トラブルやセキュリティ対策が不安になりますよね。
このコンテンツでは、「シェアハウスを友人や家族が利用する」際の基本的な考え方を解説しています。
メリット・デメリットだけでなく実際の事例も取り上げていますので、ハウスの方針やルールの作成に役立てることができます。
筆者は、東京のシェアハウス管理運営会社で10年以上のキャリアを持っています。
シェアハウスの友人や家族の訪問・宿泊に対して、プロの視点からわかりやすくお伝えします。
目次(もくじ)
シェアハウスでの「友人・家族の訪問・宿泊」の考え方(3つのケース)
シェアハウスを運営する際には、「入居者の友人・家族の訪問や宿泊を認めるかどうか」を決めておく必要があります。
運営の前に契約書やハウスルールできちんと決めておかないと、後々トラブルの原因となってしまいます。
友人や家族をシェアハウスに呼べるようにするかどうかは、オーナーや管理会社の考え方によっても異なります。
基本的な考え方やメリット・デメリットを理解して、あなたのシェアハウスの運営の方針を決めてください。
ケース① 友人や家族の訪問・宿泊を認める
全面的に友人・家族の訪問・宿泊を認めるシェアハウスもあります。
様々な人と交流できるのがシェアハウスの魅力です。
ハウスの活性化にもつながり、入居者の人脈も広がります。
ケース② 友人や家族の訪問・宿泊を認めない
基本的に友人や家族の訪問・宿泊を認めないシェアハウスもあります。
トラブルを防ぎ、入居者同士のコミュニケーションを深めることができます。
ケース③ 友人・家族の訪問・宿泊(条件付き)
条件を付けて友人や家族の訪問・宿泊を認めるシェアハウスもあります。
たとえば、家族は認めるが友人は禁止だったり、女性は認めるが男性は禁止だったり、ハウスによっても異なります。
どのような条件にするかは、オーナーや管理会社の方針や物件のコンセプトなどによって変わってきます。
メリット・デメリット(友人・家族の訪問・宿泊)
友人や家族の訪問・宿泊について、そのメリット・デメリットを見ていきましょう。
友人・家族の訪問・宿泊を認める「メリット」
シェアハウスの入居者は他人との共同生活に慣れています。
そのため、友人や家族の訪問・宿泊を認めるほうがより多くの人との交流が生まれやすくなります。
パーティーやイベントの開催など、ハウスの活性化につながることも多くあります。
また、家族の不安を取り除くこともできます。
たとえば、女性入居者の家族が訪問したり宿泊したりすることで、親族がシェアハウスや管理会社に対する理解を深めることができ、安心して入居してもらうことができるようになります。
友人・家族の訪問・宿泊を認める「デメリット」
友人・家族の訪問や宿泊を認めることで、トラブルが起こる可能性があることは理解しておく必要があります。
主なトラブルを確認しておきましょう。
友人や家族の訪問・宿泊のデメリット
- 玄関のセキュリティ対策
- 騒音の発生
- 時間や日数
- 風紀の乱れ
- その他
玄関のセキュリティ対策
シェアハウスに友人や家族を呼ぶことを認めると、玄関の「暗証番号」が外部にもれてしまう場合があります。
入居者にとっては防犯面での不安がおこる可能性があります。
玄関の出入りやカギのセキュリティ対策が重要になります。
騒音の発生
友人の出入りが可能だと、パーティーやイベントなどを開催する機会が増えます。
そのため、入居者が話し声や音楽などの「音」に悩まされる可能性があります。
騒音のトラブルが起きないような対策が必要になります。
時間や日数
訪問・宿泊のルールがあいまいだとトラブルが起きやすくなります。
深夜や早朝の訪問や、度重なる宿泊などが増える可能性があります。
時間・日数については、契約書に明記するなど「入居者を不安にさせない」常識的な利用を促す必要があります。
風紀の乱れ
入居者の中には恋人を連れてくる人も出てきます。
他の入居者の迷惑になったり風紀が乱れたりする原因になる可能性があります。
その他
入居者以外の人が出入りすると、盗難などの被害が発生する可能性があります。
そのためのルールや対策も必要になります。
友人・家族の訪問・宿泊「条件と対策」について
トラブルを防ぎ入居者が快適に生活するためには、訪問・宿泊の条件をつけたり対策をしたりする必要があります。
具体的に見ていきましょう。
訪問・宿泊の「条件」について
トラブルを防ぐためには、契約書やハウスルールの設定で「条件」をつける必要があります。
訪問時間
友人や家族が「訪問できる時間」を決めるのもいいでしょう。
たとえば、訪問可能な時間を「午前10時~午後10時」に設定するなどが考えられます。
宿泊日数
「宿泊が可能な日数」を決めておくことも重要です。
あいまいにしているとハウスに入り浸る人が出てきたり、シャワーなどの共用設備を勝手に使用したりする人が出てくる可能性があります。
金銭について
宿泊の日数や回数が多いと共用設備の使用も多くなります。
水道光熱費も上昇しますし、入居者間の不公平にもつながります。
「宿泊の頻度に応じた金額の徴収」を決めておく必要があります。
設備の使用
友人・家族の訪問時の共用設備の「使用ルール」を決めておきましょう。
たとえば、入居者以外はシャワー・お風呂の使用をできなくするなどの条件が考えられます(訪問時)。
そうしないと、勝手に訪問してトイレやシャワーなどを利用する人が出てくる可能性があります。
申請・報告について
友人・家族の訪問・宿泊を事前にオーナーや管理会社に申請したり、報告したりする条件をつける場合もあります。
たとえば、氏名や連絡先、利用日時などを確認し、トラブルの防止に役立てることができます。
訪問・宿泊の「対策」について
友人や家族の訪問・宿泊を認める場合は、できる限りトラブルが起きないようにすることが必要になります。
その他の注意点や対策について見ていきましょう。
オーナーや管理会社は、トラブルが起きないように、また起きてしまってもすぐに対応ができるようにしておく必要があります。
玄関の暗証番号が安易に知れたり漏れたりすることは避けなければなりません。
スマートロックを採用し、一時的に有効な暗号キーを活用することも有効です。
また、玄関に録画機能つきの「防犯カメラ」を設置することも検討しましょう。
トラブルの抑止力にもなりますし、もしトラブルが起きた場合は重要な証拠になります。
防犯カメラは、必要に応じてリビングなどの共用部への設置も検討しましょう。
ただし、ハウス内への設置は入居者のプライバシーの問題もあるので、慎重な判断が必要です。
友人や家族の氏名や連絡先、場合によっては身分証明書などを確認することも有効です。
仮に何かあっても連絡や対応がとりやすくなりますし、トラブルの抑止力にもなります。
また、シェアハウスは「管理人が常駐していない」ことがほとんどです。
そのため、友人や家族の出入りをハウス内でチェックすることはかなり困難です。
シェアハウスの管理運営会社によって、友人や家族の訪問・宿泊のルールは異なります。
オーナーが管理会社にシェアハウス運営を委託する場合は、「入居者と結ぶ契約書やハウスルール」を確認するようにしてください。
また、どのように運用されているのかを具体的に確認しましょう。
ルールがあってもしっかりと運用されていなければ意味がありません。
実際にあったトラブル事例(友人・家族の訪問・宿泊)
筆者が東京で管理運営にたずさわったシェアハウスでの、実際にあったトラブル事例を紹介します。
トラブル事例 ①
友人の訪問が可能なハウスでちょっとトラブルがありました。
入居者の友人がハウスのリビングで他の入居者と口論になりました。
話をきいてみると、お互いに飲酒していたようです。
早い段階で管理会社に連絡があり、早期に対応したため大きなトラブルには発展しませんでした。
トラブル事例 ②
もうひとつは、女性専用シェアハウスでの事例です。
「玄関の周囲をうろついている男がいる」という連絡が管理会社にはいりました。
このハウスには防犯カメラが設置してありましたので、記録を確認したところ確かに玄関付近に男性が映っていました。
防犯カメラに気づいたのか、特に被害はありませんでした。
シェアハウスのセキュリティ対策については、下記の関連コンテンツで詳しく解説しています。
入居契約書の事例(友人・家族の訪問・宿泊)
友人や家族の訪問・宿泊について、実際にシェアハウスで使用されている入居契約書とハウスルールのサンプル事例を紹介します。
第○○条 乙は、契約者以外の者を本物件内に立ち入らせてはならない。
第○○条 乙は、鍵の暗証番号を他者に教えたり鍵を貸与したりしてはならない。
まとめ
入居者の友人や家族がハウスに訪問したり宿泊したりすることは、シェアハウスの運営側にとってはリスクも伴います。
ハウスの防犯・セキュリティにも関わりますし、他の入居者とのトラブルが発生する可能性もあります。
オーナーや運営側は、ハウスの「運営方針」をしっかりと決めてそれに合った対策をしていきましょう。
- 入居者の交流が広がりハウスが活性化するメリットがある
- セキュリティや騒音トラブルなどの可能性があるというデメリットがある
- 利用の条件をつけるなどの対策をすることが重要になる
- シェアハウスの運営方針に沿った契約書・ハウスルールを作成・徹底する
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