シェアハウスの入居者から徴収する「初期費用」について解説します(契約書サンプルあり)
Ⓒシェアハウス経営の教科書

 

シェアハウスに新たに入居する人からは契約時に「初期費用」を徴収します。

一般のアパートやマンションの初期費用とは違う内容がありますし、管理運営会社によっても異なるので少しわかりづらいですよね。

 

このコンテンツでは、シェアハウスの「初期費用」の特徴について解説しています。

実際に初期費用として徴収する可能性のある項目をあげ、メリット・デメリットと注意点もお伝えしています。

 

筆者は、10年以上シェアハウスの運営・管理にたずさわってきました。

実際にシェアハウス運営で利用している契約書の事例も紹介していますので、オーナーや管理会社がすぐに実務に応用できる内容としています。

 

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シェアハウスの入居希望者から徴収する主な「初期費用」

家と財布の写真画像

 

アパート・マンションと同様に、オーナーまたは管理会社はシェアハウスの入居時に「初期費用」を徴収します。

一般の賃貸住宅とは少し異なる部分もありますので見ていきましょう。

 

主な初期費用の項目

 

主な初期費用
  • デポジット(保証金)
  • 前家賃・共益費(日割り含む)
  • 保証料(保証会社)
  • 保険料(家財保険)
  • 室内クリーニング費用
  • 事務手数料

 

デポジットは、保証金や預り金のような意味合いのものです。

退去時に全額を返金する場合もありますし、一部を償却して残額を返金する場合もあります。

たとえば、デポジットとして3万円を預かり、1万円を償却して退去時に2万円を返却するというケースもあります。
(償却した費用は、事務料や室内クリーニング費用などにあてるケースが多い。)

 

細かい内容は管理会社によって異なりますので確認が必要です。

 

 その他の初期費用

  • 敷金
  • 礼金
  • その他(カギ交換代など)

 

通常のアパートと同様に、敷金・礼金やその他の初期費用を設定している物件や管理会社もあるようです。

 

上記で見てきた初期費用は、管理運営会社によって内容が異なります。

オーナーは管理運営会社との「管理契約」をむすぶ前に、運営会社が入居者からどのような初期費用を徴収しているのかを確認しておきましょう。

 

初期費用の管理方法 

入居者が初期費用を支払う方法には、現金、クレジットカード、銀行振込み、電子マネーなどがあります。

初期費用の管理を運営会社に委託していれば、入居者から徴収した初期費用は管理運営会社が預かります。

オーナーが自主運営する場合や金銭の取り扱いを管理会社に委託しない場合は、初期費用はオーナーに入金されオーナーが管理を行います。

 

注意点

オーナーが初期費用を管理する場合は、退去時の返金などの処理が必要になります。

 

シェアハウスの初期費用の「特徴」(アパート・マンションとの違い)

シェアハウスの建物:写真画像

 

一般的にシェアハウスの初期費用は、アパートやマンションにくらべて低額ですむことが多くなっています。

敷金・礼金や仲介手数料もなく、保証会社や家財保険の加入が不要なケースも多くあります。

そのぶん入居者は手軽にシェアハウスの生活を始めることができるのです。

 

シェアハウスはオーナーが管理会社に「建物を一括して賃貸する」ことが多く(サブリース契約)、入居者との契約は管理会社が直接おこなうケースが一般的です。

そのため入居者は「仲介手数料」がかからず、これもアパートにくらべてシェアハウスの初期費用が低額になる理由となっています。

また、シェアハウスの内部には生活に必要な家具や家電が揃っており、入居者はそれらの購入費用をおさえることができます。

このように、シェアハウスは入居時や退去時の費用面での手軽さが魅力の一つであり、アパート・マンションとの差別化につながっています。

 

 

オーナーと管理会社の契約の仕組みについては、下記のコンテンツでくわしく解説しています。

 

シェアハウス初期費用の「注意点」

注意を促す人の写真画像

 

 

シェアハウスの初期費用の注意点を見ていきましょう。

 

初期費用の注意点
  • 初期費用の高額化
  • 管理会社の収益構造
  • 審査の厳格化

 

シェアハウスは手軽さが魅力であり、初期費用は安い方が入居者の募集はしやすくなります。

そのため、事務手数料や保証会社の費用など必要以上の初期費用を設定すると、入居時にかかる費用が高額になり魅力が半減してしまいます。

 

また、初期費用は管理運営会社によって内容が異なります。

初期費用の徴収が管理運営会社の「収入源」になっている可能性もあります。

そうすると、管理会社が新しい入居者と契約するたびに収入を得ることができるようになります。

そのため、短期の入居者と契約したり、契約期間満了の入居者を退去させて新しい入居者を募集したりする可能性があります。

長期契約の入居者を安定して管理することにつながらない恐れもありますので、管理運営会社の初期費用には注意が必要です。

オーナーは運営会社との「管理契約」をむすぶ前に、運営会社が入居者からどのような初期費用を徴収しているのかを確認しておきましょう。

 

入居者の「審査」にも注意が必要です。

確かに、シェアハウスの初期費用が高いと集客しにくくなる可能性があります。

しかし、デポジットや保証金を低額にしたり保証人や保証会社を不要にしたりすると、支払い能力や属性があやしい入居者が増える恐れがあります。

初期費用と審査のバランスを取りながら運営することが重要になります。

 

シェアハウスの初期費用の「事例」

実際に運営されているシェアハウスの初期費用の事例を紹介します。

下記の事例だと、12万円の初期費用でシェアハウスに入居することが可能になります。

 

  • 契約日(入居日) 4月16日
  • 家賃(月額) 50,000円
  • 共益費(月額) 10,000円
  • デポジット(保証金) 30,000円

 

家賃(日割り)        25,000円 (4/16~30)
家賃(5月分) 50,000円
共益費(日割り)        5,000円 (4/16~30)
共益費(5月分) 10,000円
デポジット(保証金) 30,000円
敷金・礼金 なし
仲介手数料 なし
事務手数料 なし
保証会社 なし
家財保険 なし
カギ交換代 なし
水道・電気・ガス・インターネットの
契約・基本料金
なし
家具・家電の購入費用 なし
合計 120,000円

 

シェアハウスの初期費用「契約書サンプル」

 貸室賃貸借契約書2:写真画像

 

実際に運営されているシェアハウスの契約書(初期費用)の事例を紹介します。

 

入居者とむすぶ賃貸借契約書の事例

(保証金)

第○条 乙は本契約から生じる債務の担保として甲に保証金を預け入れるものとする。

甲は、本物件の明け渡しまでに本契約から生じた乙の一切の債務を保証金から控除し、なお残額がある場合には本物件の明け渡し後遅滞なくその残額を無利息で乙に返還しなければならない。

甲:オーナーまたは管理会社  乙:入居者

 

 

まとめ(シェアハウスの初期費用)

シェアハウスの入居時にかかる「初期費用」について、おもに運営側(オーナーや管理会社)から見てきました。

アパートやマンションに比べるとシェアハウスに入居する際の初期費用は、かなり抑えることができます。

あらかじめ家具・家電が設置されているなど、すぐに生活を始められる点が「差別化」としてシェアハウスの人気となっています。

 

シェアハウス入居者の初期費用(まとめ)
  • シェアハウス入居者の初期費用(まとめ)
  • 管理会社によって徴収する初期費用の内容は異なるので必ず確認する
  • オーナーが金銭管理をする場合も対応方法を確認しておくこと
  • 初期費用が低いことがアパート・マンションとの差別化になっている
  • 初期費用を高く設定する管理会社には注意する(シェアハウスの魅力が低下する恐れ)
  • トラブル回避には入居時の審査や与信のノウハウが重要となる

 

Ⓒシェアハウス経営の教科書

 

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