契約:注意:モノクロ:写真画像
シェアハウスのサブリース契約:オーナーが気をつけるべき5つのポイント

 

「サブリース契約書」は、オーナーが管理運営会社とシェアハウスの管理を委託するときに結ぶ契約です。

一般のアパートの「管理契約」とは異なりますので注意が必要です。

 

シェアハウスは、オーナーから管理運営会社が「建物を一括で賃借」し、実際の入居者に「転貸」することが多くなります。

このような入居者への転貸を前提とした契約を「サブリース契約」と呼んでいます。

(※必ずしも家賃保証があるとはかぎりません。)

 

なぜシェアハウスにサブリース契約が多いのかというと、それはシェアハウスの特性に関係があります。

建物を一括で賃貸した管理会社が入居者に「転貸」をすると、入居者に対する「貸主」は管理会社になります。

シェアハウスは1つの建物の中での共同生活であるため、入居者に対するきめ細かい管理や迅速な対応が必要になります。

それを実現するには、管理会社が入居者に対して「貸主」になるほうがやりやすいのです。

 

サブリースの一般的な契約関係のイメージ:写真画像

サブリース契約のイメージ(国土交通省)

 

 

このコンテンツでは、入居者への転貸を前提とした建物の一括賃貸借の契約を「サブリース契約」と表記しています。

実際に「家賃保証」がある契約かどうかは考慮していません。(※注意: サブリース = 家賃保証 ではありません。)

 

2020年6月にはサブリースに関係する新たな法律が国会で成立しました。

最新の情報も交えながら、国土交通省が作成している「サブリース住宅原賃貸標準契約書」の内容に沿って詳しくお伝えします。

 

東京で20棟・300室のシェアハウス管理・運営において10年超の経験を持ち、物件オーナー(所有者)に対する「サブリース契約書の作成と締結」を実際に行なってきた筆者が、プロの視点から解説します。

 

サブリース契約においてオーナーがチェックすべき重要な「5つのポイント」を見ていきましょう。

 

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 【ポイント①】 サブリース新法・標準契約書を順守しているかどうか

サブリース住宅原賃貸借標準契約書(トップ)写真画像

サブリース住宅原賃貸借標準契約書(国土交通省)

 

 

2020年12月から、サブリース契約に関連した新法(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律)が施行されます。

業者とサブリース契約を締結する際には、上記のいわゆる「サブリース新法」を理解しておく必要があります。

以下で詳しく見ていきましょう。

 

 

サブリース新法の注意点

2020年12月から施行されるサブリース新法では、契約時に業者による「重要事項説明」が必要となります。

サブリース契約を検討しているオーナーは、業者が新法に基づいて適切に対応しているかどうかを見極めなければなりません。

サブリース契約そのものは不動産の免許(宅地建物取引業)は必要ありません。

宅地建物取引業の免許がない業者と契約するケースもあるため、オーナー側も法律をよく理解しておくことが重要となります。

 

 

「サブリース住宅原賃貸借標準契約書」に準じているか

オーナーが安心して不動産業者や管理会社とサブリース契約をするには、「国土交通省が作成している標準契約書」を使用することが重要です。

国土交通省は、サブリース事業の当事者間における紛争の未然防止を図るため、「サブリース住宅原賃貸借標準契約書」を作成しています。(以下、「サブリース標準契約書」と表記します)

必ず事前に「サブリース標準契約書」の内容を確認しておきましょう。

インターネットで簡単に閲覧することができます。

あなたが契約する予定のサブリース契約書が、「国土交通省のサブリース標準契約書」がベースとなっていて、記載内容の重要な部分が抜け落ちていなければ安心ができます。

 

また、2020年12月からは業者による「重要事項説明」が義務付けられています。

契約前に重要事項説明の内容をよく確認するようにしてください。

詳細は、下記のコンテンツで解説しています。

 

【関連コンテンツ】

 

 

【資料リンク】

「サブリース住宅原賃貸借標準契約書」国土交通省)
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000018.html

 

アパート等のサブリース契約を検討されている方は契約後のトラブルにご注意ください
http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/caution_011/pdf/caution_011_181026_0002.pdf
平成30年3月27日:公表 平成30年10月26日更新(金融庁・消費者庁・国土交通省)

 

【ポイント②】 「賃料保証」があるかないか 

保証:住宅:写真画像

家賃保証のあるサブリース契約か

 

シェアハウスの管理運営会社は、いわゆるサブリース契約をしてオーナーから建物を一括で賃借することが多くなっています。

 

しかし、 サブリース契約 = 家賃保証 ではないケースもあるので注意が必要です。

 

シェアハウスを管理運営会社に委託する際にオーナーが受け取る賃料には、2つのケースがあります。

シェアハウスの管理運営委託と賃料
  • 家賃保証(空室の有無にかかわらず一定の賃料が支払われる。)
  • 変動家賃(空室の家賃は保証されない。管理委託と称する場合もある。)

 

実際に国土交通省の作成している「サブリース住宅原賃貸借標準契約書」の賃料の項目を見てみましょう。

 

サブリース住宅原賃貸借標準契約書(頭書4)写真画像

サブリース住宅原賃貸借標準契約書(頭書4)

 

このサブリース標準契約書では、「家賃保証」を前提とした内容になっています。

そのため、賃料を金額○○円と表記しています。

 

一方、シェアハウスの「変動家賃」の場合は、入居者から徴収した家賃の〇〇%をオーナーへ家賃として支払う、という契約になります。

具体的なシェアハウス棟の事例(変動家賃)を見てみましょう。
(5万円の部屋が6室のシェアハウス 80%:20%)

 

シェアハウス
(5万円×6室)
満室のとき 空室が1のとき
徴収賃料(月額) 30万円 25万円
オーナーへ支払う賃料(80%) 24万円 20万円
管理会社の収入(20%) 6万円 5万円

 

 

注意

サブリース契約 = 家賃保証 ではないケースもあるので注意が必要

 

シェアハウスのサブリース契約の際には、まずは「家賃保証か変動家賃か」を確認することが重要です。

また、変動家賃であっても建物をオーナーから「一括で賃借する契約」になっているかどうかを確認しましょう。

 

転貸についての記述がなく単に「管理委託」をする内容の契約の場合は、サブリース契約ではありません。(物件の単なる「管理契約」となる)

その場合、入居者との関係は下記のような図式になります。

 

入居者から見たオーナー・管理会社の関係

貸主 オーナー
借主 入居者
仲介・管理 管理会社

 

この場合、入居者との契約を管理会社に頼むと宅地建物取引業の「仲介(媒介)」となるので注意が必要です。

入居者との契約時には、宅地建物取引士による「重要事項説明」が必要になります。管理会社は「宅地建物取引業の免許」が必要になります。

(貸主はオーナーであって、管理会社は「仲介」するにすぎません。)

 

しかし、このアパートやマンションと同じような仲介・管理体制は、シェアハウスにはなじまないのです。

その理由は、シェアハウスは通常の賃貸住宅と比較して「入居・退去が多い」という特徴があるためです。

 

オーナーが貸主となっている体制では、家賃の督促や入居者の解約などの重要な判断はオーナーが自ら行わなければなりません。賃貸業のかなりの経験と時間が必要になります。

 

シェアハウスの管理方法については、下記のコンテンツで詳しく解説しています。

 

【ポイント③】 賃料の「改定」の規定について

多くのサブリース契約では、「定期的に賃料を見直す」こととなっています。

実際のサブリース標準契約書(国土交通省)で確認しながら見ていきましょう。

 

3-1 賃料の改定について確認する

サブリース契約では「家賃保証」とうたわれていても、入居状況の悪化や近隣の家賃相場の下落により賃料が減額する可能性がありトラブルも増えています。

そのため、国土交通省が作成している最新の「サブリース住宅原賃貸借標準契約書」では、賃料の改定時期等の明確化が記載されています。

 

サブリース住宅原賃貸借標準契約書(頭書4:賃料等)写真画像

(クリックで拡大)

 

 

サブリース標準契約書では、「頭書(4)賃料等」の項目内に賃料改定の記載があります。

この中には、「初回の賃料改定日」・「2回目以降の賃料改定日」を記載する項目もあります。

だだし、注意をしなければならない重要な点があります。

それは、この項目の下段に記載されている「※」の部分です。

 

※甲及び乙は、(中略)賃料は、初回の賃料改定日以前も含めて、賃料改定日以外であっても、借地借家法第32条の規定により、甲と乙による協議等の上、改定されることがある。

頭書(4):サブリース住宅原賃貸借標準契約書

 

つまり、頭書(4)に記載して「賃料改定日」について合意したとしても、「お互いの協議」の上であれば賃料改定日以外であっても賃料が改正される可能性があることになるのです。

 

なぜこのような規定になっているのかというと、サブリース契約は「不動産の賃貸借契約」だからです。

この場合、賃貸人は物件オーナーであり、賃借人はサブリース業者になります。

建物の賃貸借においては、借地借家法で借り手の保護が非常に手厚くなっています。

建物の賃料が経済事情の変動などにより不相当となったときは、当事者は建物の賃料の増減を請求できるように定めているのです。

そのため、年月が経過したり空室が増えてきたりした場合は、借り手(サブリース業者)はオーナーに対して「賃料の減額」を請求してきます。

 

(参考)
借地借家法 第32条

 

3-2 賃料の「免責期間」を確認する

サブリース契約では、「空室保証」とうたわれていても、入居者の募集時等に賃料支払いの「免責期間」が設けられている場合があります。

免責期間とは、「オーナーが管理会社へ物件を引き渡してから最初の賃料が支払われるまでの期間」のことです。

サブリース契約の免責期間の写真画像

 

なぜ免責期間が設けられているかというと、「家賃保証」の場合には管理会社は空室でもオーナーに一定の家賃を支払わなければならないからです。

物件の引き渡し直後は入居者がいないため、賃料支払日までの免責期間を設定しているのです。

そのため、国土交通省の「サブリース標準契約書」では、賃料支払義務発生日を記入する項目があります。(頭書(5)・第6条)

 

サブリース住宅原賃貸借標準契約書(第6条)写真画像

(クリックで拡大)

 

(賃料支払義務発生日)

第6条 乙は、頭書(5)に記載する賃料支払義務発生日から賃料を甲に支払わなければならない。

甲:オーナー  乙:管理会社

サブリース住宅原賃貸借標準契約書(国土交通省)

 

 

また、家賃保証がなく「変動家賃」(いわゆる管理委託契約)の場合は、「料率%の改定」の規定があるかどうかを確認しましょう。

料率%は、入居者から徴収した家賃に対して掛けられ、オーナーに支払う家賃を計算する元となります。

 

変動家賃の契約の場合、この「料率%」を改定することができる契約内容になっているかどうかを確認しましょう。

その際は、改定日や何年ごとに改定するか、「頭書・条文・特約」をよくチェックします。

 

【ポイント④】 解約の規定について

サブリース契約書によっては、「解約」の規定がなかったりあいまいだったりする場合があります。

解約についてはっきりとした記載がない場合は、管理会社からいつでも解約することができることになりかねません。

 

なぜそのようなことが可能かというと、サブリース契約では「借主」は管理会社であり、借地借家法が適用されると「借主に有利に解釈されてしまう」ことがあるからです。

一般的に借主は弱い立場とされており、解約するにあたって「正当事由」などは求められません。

 

しかし、これでは逆にオーナーが「いつ解約されるかわからない」という弱い立場となってしまいます。

そのため国土交通省のサブリース標準契約書では、「管理会社が解約をすることができない期間」を記載する項目を設けています。( 頭書(7) )

 

サブリース住宅原賃貸借標準契約書(頭書7)写真画像

(クリックで拡大)

 

そうすることで、「管理会社の都合で解約をすることができない期間」を設定することが可能になります。

 

また、サブリース契約書の「第18条」にも解約の申し入れに対する記載があります。

サブリース標準契約書では、管理会社は「6か月前」に解約の申し入れを行うこととしています。

 

サブリース標準契約書(第18条)写真画像

(クリックで拡大)

 

(期間内の解約)

第18条 乙は、甲に対して少なくとも6月前に解約の申入れを行うことにより、本契約を解約することができる。ただし、本契約の契約期間の始期から起算して頭書(7)に記載する期間が経過するまでは解約することができない。

甲:オーナー  乙:管理会社

サブリース原賃貸借標準契約書(国土交通省)

 

 

実際には、契約時にオーナーと管理会社で「解約できない期間」を協議して決めることになります。

 

【ポイント⑤】 シェアハウスの管理・修繕の分担について

シェアハウス運営における物件の「管理・修繕」についても確認しましょう。

オーナーまたは管理会社の「分担」についてサブリース契約書で明確化します。

 

サブリース標準契約書(国土交通省)

  • 第10条 第1項 、 別表 第1
  • 第15条 第1項 、 別表 第2

 

サブリース標準契約書(別表第1・第2)写真画像

(クリックで拡大)

 

建物維持管理の費用については、「第10条」と「別表第1」にて借主(管理運営会社)の負担する項目を記載して明確にしています。

契約書末尾の「別表第1」に記載する内容の建物維持管理は、借主(管理運営会社)の負担で行うこととしています。

 

(建物維持管理費用の分担)

第10条 別表第1に掲げる部分の建物維持管理は乙の負担で行うものとする。
2 前項に定める建物維持管理の費用を除き、建物の維持管理費用は甲が負担するものとする。

甲:オーナー  乙:管理会社

サブリース原賃貸借標準契約書(国土交通省)

 

 

建物の修繕の内容については、「第15条」と「別表第2」にて明確にしています。

 

管理運営会社(借主)が行う修繕

  • 別表第2 に記載した項目
  • 入居者に貸すために必要とするもの
  • 管理運営会社や入居者に責任があることで必要となったもの

 

 

(修繕)

第15条 甲は、次に掲げる修繕を除き、乙が本物件を使用するために必要な修繕を行わなければならない。
一 別表第2に掲げる修繕
二 乙が転貸するために必要として行う修繕
三 乙の責めに帰すべき事由(転借人の責めに帰すべき事由を含む。)によって必要となった修繕

2 前項の規定に基づき甲が修繕を行う場合は、甲は、あらかじめ乙を通じて、その旨を転借人に通知しなければならない。この場合において、甲は、転借人が拒否する正当な理由がある場合を除き、当該修繕を行うことができるものとする。また、緊急を要する場合には、甲は、乙又は転借人において修繕できることを容認するものとし、この場合、乙は、速やかに甲にその旨を報告しなければならない。

3 乙は、第1項各号に掲げる修繕を行うに際しては、その内容及び方法についてあらかじめ甲と協議し、乙の費用負担において行わなければならない。

甲:オーナー  乙:管理会社

サブリース原賃貸借標準契約書(国土交通省)

 

 

このような建物の維持管理の内容・費用分担や建物修繕の内容について、サブリース契約書に記載がない場合は、国土交通省の契約書を参考にして明確化します。

そうすることで、契約後の管理や修繕についてのトラブルを防ぐことが可能になります。

契約を締結する管理運営会社と協議して、貸主と借主がお互いに納得のできるサブリース契約書を作成しましょう。

 

まとめ(サブリース契約 5つの注意点)

オーナーがシェアハウスの管理会社とむすぶ契約は、「建物を一括で借り上げる契約」で「入居者に転貸できる契約」となっている点に注意しましょう。

いわゆる「サブリース契約」となり、入居者にとっての「貸主」は管理会社となります。

サブリース契約とはいっても、必ずしもオーナーの賃料を保証する契約になっているとは限りません。

解約の規定なども含め、よく確認をしてから契約することが重要です。

 

シェアハウスのサブリース契約 5つの注意点(まとめ)
  1.  サブリース新法・サブリース標準契約書をよく理解する
  2.  「賃料保証」があるかないか(固定か変動か)
  3.  賃料の「改定」の規定がどうなっているか
  4.   解約の規定がどうなっているか
  5.  物件の管理・修繕の分担が明記されているか

 

「サブリース住宅原賃貸借標準契約書」(国土交通省)
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000018.html

アパート等のサブリース契約を検討されている方は契約後のトラブルにご注意ください
http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/caution_011/pdf/caution_011_181026_0002.pdf
平成30年3月27日:公表 平成30年10月26日更新(金融庁・消費者庁・国土交通省)

 

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