「広告の表示に関する留意事項」とは?
サブリース新法の「広告の表示に関する留意事項」

 

 

 国土交通省は、サブリース新法の「広告の表示に関する留意事項」を公表しています。

 

「明確かつ正確な表示を確保するため」の留意事項

 

  • 誇大広告等をしてはならない事項
  • マスターリース契約の長所のみを強調して短所が目立ちにくい表示
 
このコンテンツでは、マスターリース契約の「強調表示」などに関する留意事項について解説しています。

 

不動産オーナーや投資家が、誇大広告や虚偽広告の表示についての理解を深めることが重要です。
 

 

「誇大広告等をしてはならない事項」については、下記のコンテンツで解説しています。

 

 

「強調表示」・「打消し表示」とは?(サブリース新法)

マスターリース契約のオーナーとなろうとする者に対し、断定的表現や目立つ表現などを使ってマスターリース契約の内容等の取引条件を強調する表示(強調表示)が使われる場面があります。
 
強調表示は、 無条件、無制約に当てはまるものとオーナー側が受け止めかねません。
単なる強調表示では、仮に例外などがあったとしても、オーナー側には通常は予期できません。

 

そのためサブリース新法のガイドラインでは、「マスターリース契約を選択するに当たって重要な考慮要素となるものに関する表示(打消し表示)」を分かりやすく適切に行わなければならない、としています。
「打消し表示」とは

広告内で、※印の後に注記すること。(下記は事例)

※「個人の感想であり、効果には個人差があります」
※「個人の感想であり、効果を保証するものではありません」
※「●年間の●●契約が必要です」
※「別途、初期費用がかかります」

 

「打消し表示」の留意点

打消し表示の内容が正しく認識されるためには、すべての媒体に共通して、以下に留意する必要があるとされています。

・表示物の媒体ごとの特徴も踏まえた上で、オーナーとなろうとする者が実際に目にする状況において適切と考えられる文字の大きさで表示されているか。

・打消し表示が強調表示から離れた場所に表示されていないか。打消し表示に気づかない・打消し表示がどの強調表示に対する打ち消し表示であるか認識できないような表示となっていないか。

 

・打消し表示が強調表示の近くに表示されていたとしても、強調表示が大きな文字で表示されているのに対し、打消し表示が小さな文字で表示されており、強調表示に対する打消し表示に気づくことができないような表示になっていないか。

・打消し表示の文字と背景との区別がつきにくい表示となっていないか。

・打消し表示は、強調表示に隣接した箇所に表示した上で、文字の大きさのバランス、色、背景等から両者を一体として認識できるよう表示されているか。(紙面広告)

・強調表示に隣接した箇所に打消し表示を表示しているか。 (PC・スマートフォンのWeb広告)

 

消費者庁が示している留意点も参照すること

消費者庁の「打消し表示に関する表示方法及び表示内容に関する留意点」 も参照し、適切な運用に注意が必要です。

・同一画面にある他の表示と比べて、打消し表示がより注意を引きつける文字の大きさになっているか。

 

・打消し表示は、強調表示に隣接した箇所に表示した上で、文字の大きさのバランス、色、背景等から両者を一体として認識できるよう表示されているか。

 

・打消し表示が表示される時間が短く、読み終えることができないような表示になっていないか。 (動画広告)

 

・強調表示が表示された後、画面が切り替わって打消し表示が表示され、打消し表示に気づかない、又はどの強調表示に対する打消し表示であるか認識できないような表示になっていないか。

 

・文字と音声の両方で表示された強調表示に注意が向けられ、文字のみで表示された打消し表示に注意が向かないような表示になっていないか。

 

また、「体験談」はその表示全体から、「大多数の人がマスターリース契約を締結することで同じようなメリットを得ることができる」という認識を抱いてしまいかねません。

 

賃貸住宅経営は、「賃貸住宅の立地等の個別の条件が大きな影響」を与えます。

 

体験談とは異なる賃貸住宅経営の実績となっている事例が一定数存在する場合もあります。

 

「個人の感想です。経営実績を保証するものではありません」といった打消し表示が明瞭に記載されていたとしても、問題のある表示となるおそれも。

 

体験談を用いることは、第 28 条違反となる可能性があることに注意が必要です。

 

賃貸住宅管理業法 第28条【誇大広告等の禁止】

 

特定転貸事業者又は勧誘者(特定転貸事業者が特定賃貸借契約の締結についての勧誘を行わせる者をいう。以下同じ。)(以下「特定転貸事業者等」という。)は、第二条第五項に規定する事業に係る特定賃貸借契約の条件について広告をするときは、特定賃貸借契約に基づき特定転貸事業者が支払うべき家賃、賃貸住宅の維持保全の実施方法、特定賃貸借契約の解除に関する事項その他の国土交通省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。

 

 

「著しく事実に相違する表示」とは?

?の写真画像

「著しく事実に相違する表示」について解説

「事実に相違する」とは、広告に記載されている内容が実際のマスターリース契約の内容と異なることを指します。
具体的に何が「著しく」に該当するかの判断は、個々の広告の表示に即してなされます。

 

オーナーとなろうとする者が、広告に記載されていることと事実との相違を知っていれば通常、そのマスターリース契約に誘引されないと判断される場合は「著しく」に 該当します。

 

単に、事実と当該表示との相違することの度合いが大きいことのみで判断されるものではない、としています。 

 

なお、「著しく事実に相違する表示」であるか否かの判断に当たっては、広告に記載された一つ 一つの文言等のみからではなく、表示内容全体からオーナーとなろうとする者が受ける印象・認識により総合的に判断されます。
 

「実際のものよりも著しく優良であり、若しくは著しく有利であると人を誤認させるような 表示」とは?

「実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示」と 認められるものとは、マスターリース契約の内容等についての専門的知識や情報を有していないオーナーを誤認させる程度のものをいいます。 
 
なお、「実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させる表示」であるか否かの判断に当たっては、広告に記載された一つ一つの文言等のみからではなく、表示内容全体からオーナーとなろうとする者が受ける印象・認識により総合的に判断される、としています。 

まとめ(オーナー・不動産投資家の注意点)

サブリース業者等による「広告の表示に関する留意事項」について、物件所有者(オーナー)・不動産投資家の側もよく確認しておきましょう。

誇大広告や虚偽広告から自分の身を守るための知識をたくわえることが重要です。

 

「広告の表示に関する留意事項」を知る
  • 「強調表示」・「打消し表示」について
  • 「著しく事実に相違する表示」について
  • 「優良・有利であると誤認させる表示」について