サブリース新法に関するQ&A(オーナー向け)
サブリース新法(賃貸住宅の管理業等の適正化に関する法律)

 

サブリース新法(賃貸住宅の管理業等の適正化に関する法律)の中でも、不動産オーナーや投資家に関係するものをまとめました。

このコンテンツでは、国土交通省が回答している内容を中心に「サブリース新法のQ&A」を掲載しています。

なお、ご不明な点や詳細については、国土交通省の担当部署に問い合わせをお願いいたします。

 

マスターリース契約・サブリース方式について(Q&A)

 

どのようなものが「特定賃貸借契約(マスターリース契約)」に該当しますか。
「特定賃貸借契約(マスターリース契約)」とは、賃貸人(オーナー)と賃借人(サブリース業者)との間で締結される賃貸住宅の賃貸借契約であって、賃借人が、当該賃貸住宅を転貸する事業を営むことを目的として締結されるものをいいます。
ここで、事業を営むとは、営利の意思を持って反復継続的に転貸することを指します。
なお、営利の意思の有無については、客観的に判断されることとなるため、個人が賃借した賃貸住宅について、事情により、一時的に第三者に転貸するような場合は、特定賃貸借契約に該当しません。
不動産の売買により、マスターリース契約の賃貸人としての地位が買主に引き継がれる場合、サブリース業者は重要事項説明をする必要がありますか。
必要な場合は、その説明をするのは「売買の仲介業者」ですか「サブリース業者」ですか。
重要事項説明の義務はありません。
ただし、サブリース業者が説明することが望ましい、としています。

サブリース新法の特定賃貸借契約から除外されるケースはありますか。

所有者(オーナー)の親族がサブリース業者である場合や、親会社が所有する物件を子会社が転貸を目的として借り上げる場合は、密接な関係を有する者として、特定賃貸借契約(マスターリース契約)から除外されます。

社宅代行業者は、転貸借の形式を採用している限り特定賃貸借契約に該当し、新法の規制が及びます。

 

 

特定賃貸借標準契約書では、中途解約に係る条項の規定がありませんが、中途解約条項を規定した契約書を賃貸人に交付することは可能ですか。

借地借家法第28条の正当事由が少なくとも必要である旨を記載し説明するのであれば、貸主(オーナー)から借主(サブリース業者)に対して、解約の申入れをすることにより、契約期間中に契約を解約することができることができる「中途解約条項」を追記することは可能です。
現在契約中のマスターリース契約も、今回の法改正後には契約書を締結し直した方がよいのでしょうか。
新たに契約書を締結し直す必要はありません。
ただし、新法の施行後(2020年12月15日以降)、契約更新のときにこれまでの契約書に変更がある場合は、重要事項説明・新しい契約書の締結を行う必要があります。

勧誘者・勧誘行為について(Q&A)

オーナーにサブリース業者を紹介し(詳細の説明はサブリース業者に任せる)、業者から報酬を受け取ったケース。
サブリース業者が誇大広告・不当勧誘等を行なった際、勧誘者に当たる会社は処罰等の対象になるか。

このケースでは、勧誘者が処分を受けることはない。
一方、勧誘者が誇大広告・不当勧誘を行なった場合は、勧誘者・業者ともに処分の対象になる。

個人のオーナーなどが「勧誘者」に該当する場合はありますか。

賃貸住宅のオーナーが、新たに賃貸住宅のオーナーとなろうとする者に対し、自己の物件について特定賃貸借契約(マスターリース契約)を結んでいる特定の事業者から、勧誘の対価として紹介料等の金銭を受け取り、当該事業者と特定賃貸借契約を結ぶことを勧めたり、当該契約の内容や条件等を説明したりする場合などは、勧誘者に該当するため、個人であっても不当な勧誘等を行った場合、行政処分や罰則の対象となります。

「勧誘行為」とはどのようなものが該当しますか。

サブリース新法で規定する「勧誘行為」とは、オーナーとなろうとする者が特定賃貸借契約(マスターリース契約)を締結する意思の形成に影響を与える程度の勧め方をいい、個別事案ごとに客観的に判断されることに留意が必要となります。
具体的には、特定の事業者との特定賃貸借契約を結ぶことを直接勧める場合のほか、特定の事業者との特定賃貸借契約のメリットを強調して締結の意欲を高めるなど、客観的に見てオーナーとなろうとする者の意思の形成に影響を与えていると考えられる場合も「勧誘行為」に含まれます。
さらに、不特定多数の者に向けられたものであっても、特定の事業者の特定賃貸借契約の内容や条件等を具体的に認識できるような内容であって、それが個別のオーナーとなろうとする者の意思形成に影響を与える場合は、「勧誘行為」に該当する可能性があります。
「勧誘者」については、下記のコンテンツで詳しく解説しています。

誇大広告等について(Q&A)

家賃保証という文言をパンフレット等で使用する場合、全ての文言の隣接する箇所に借地借家法等の点について記載する必要がありますか。

パンフレット等の広告において「家賃保証」「空室保証」など、空室の状況にかかわらず一定期間、一定の家賃を支払うことを約束する旨等の表示を行う場合は、「家賃保証」等の文言に隣接する箇所に、定期的な家賃の見直しがある場合にはその旨及び借地借家法第 32 条の規定により減額されることがあることを明確に表示する必要があるので、表示がない場合は誇大広告に該当する可能性があります。
なお、表示に当たっては、文字の大きさのバランス、色、背景等から、オーナー等が一体として認識できるよう表示されているかといった点に留意する必要があります。
ホームページやパンフレット等の案内について「賃料保証」という単語を商品名に用いていますが、商品名であっても打消し表示を入れる必要がありますか。

「〇〇保証」など、空室の状況にかかわらず一定期間、一定の家賃を支払うことを約束する旨等の表示を行う場合は、「〇〇保証」等の文言に隣接する箇所に、定期的な家賃の見直しがある場合にはその旨及び借地借家法第 32 条の規定により減額されることがあることを表しておく必要があります。

なお、表示に当たっては、文字の大きさのバランス、色、背景等から、オーナー等が一体として認識できるよう表示されているかに留意することとしています。

国土交通省は、「〇〇保証」などの表記は打消し表示をしていたとしても、無用な疑義や誤解を招きトラブルに繋がる可能性があることから、表記の修正を推奨しています。

 

誇大広告・不当勧誘・重要事項説明義務などに違反している可能性がある業者がいたらどうすればよいですか。
国土交通省の「申出制度」を利用できます。

サブリース業者についての情報を国に提供し、国が調査を行い、必要に応じ立入検査等を実施し、違反行為があれば監督処分等により厳正に対応します。

 

賃貸住宅管理業法に基づく申出制度について(国土交通省)

 

「誇大広告」については、下記のコンテンツで詳しく解説しています。

不当な勧誘等について(Q&A)

特定賃貸借契約(マスターリース契約)の締結を勧誘するための訪問のアポイント取得時に一度面談を拒絶された場合、業者がオーナーに再度アポイントを取得することは行政処分の対象になりますか。

電話勧誘又は訪問勧誘などの勧誘方法、自宅又は会社などの勧誘場所の如何にかかわらず、オーナー等が「契約を締結しない旨の意思」を表示した場合には、意思表示後に再度勧誘する行為は禁止され、一度でも再勧誘行為を行えば本法に違反し行政処分等の対象となります。
「不当な勧誘等」については、下記のコンテンツで詳しく解説しています。

重要事項説明について(Q&A)

特定賃貸借契約(マスターリース契約)の重要事項説明はどのような者が行うことができますか。

特定転貸事業者(サブリース業者)がどのような者に説明をさせなければならないかについて法律上定めはありませんが、重要事項について、正確な情報を適切に説明することで、オーナーとなろうとする者が十分に理解をした上で契約締結の意思決定ができるよう、一定の実務経験を有する者や賃貸不動産経営管理士(一般社団法人賃貸不動産経営管理士協議会の賃貸不動産経営管理士資格制度運営規程に基づく登録を受けている者)など専門的な知識及び経験を有する者が説明を行うことを推奨しております。(国土交通省)
オーナーが高齢なため、オーナーに代わって窓口となる息子に重要事項説明をしてもよいですか。
契約当事者であるオーナーが、息子に代理権を付与していれば可能となります。
なお代理権を付与して契約締結しても、最終責任はオーナー本人に帰属することに留意します。
マスターリース契約の重要事項説明は、電話でも可能ですか。
電話での説明は認められません。
「直接の対面での説明」、または、いわゆる「 IT重説」を活用します。
映像と音声でのリアルタイムにより、相手の認識の確認や質問に答えられる環境にあるのかどうかが重要になります。
また、IT重説は契約の相手方(オーナー)の承諾をとって行うとしています。
特定賃貸借契約(マスターリース契約)の重要事項説明は IT を用いることは可能ですか。
特定転貸事業者(サブリース業者)は、特定賃貸借契約(マスターリース契約)の相手方となろうとする者の承諾を得て、重要事項説明書に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができますが、その際以下の点について留意してください。

① 電磁的方法により提供する際の相手方の承諾を得ること
② 出力して書面を作成でき、改変が行われていないか確認できる状態にあること。(電子署名等の活用など)
③ 説明者及び重要事項の説明を受けようとする者が、図面等の書類及び説明の内容について十分に理解できる程度に映像を視認でき、かつ、双方が発する音声を十分に聞き取ることができるとともに、双方向でやりとりできる環境において実施していること。

オーナーからの承諾がある場合、電話やメールによる手段を用いて、サブリース業者が重要事項説明を行うことは可能ですか。

図面等の書類及び説明の内容について十分に理解できる程度に映像を視認でき、かつ、双方が発する音声を十分に聞き取ることができる状態及び双方向でのやりとりができる環境が必須であるため、電話やメールによる手段のみでの重要事項説明は認められません。
サブリース新法の施行前に締結された特定賃貸借契約について、法の施行後に改めて重要事項説明及び書面交付、契約締結時書面の交付を行う必要がありますか。
サブリース新法の施行前に締結された特定賃貸借契約(マスターリース契約)については、法の施行後に改めて重要事項説明等を行う必要はありません。
サブリース新法の施行前に締結された特定賃貸借契約(マスターリース契約)の更新を法の施行後に行う場合、重要事項説明及び書面交付、契約締結時書面の交付は必要となりますか。
必要となる場合、変更部分のみならず改めて全ての項目の説明及び書面交付も必要となりますか。
サブリース新法の施行前に締結された特定賃貸借契約(マスターリース契約)を更新する際には、契約の根幹に関わる事項について従前と異なる内容に変更された場合、新たな契約の締結と考えることができることから、変更部分のみならず本法で規定する重要説明事項について全て説明する必要があります。

一方、更新後の契約内容が従前の契約から変更されていない場合、または、契約の同一性を保ったままで契約期間のみを延長することや、組織運営に変更のない商号又は名称等の変更等、形式的な変更と認められる場合は重要事項説明等は行わないこととして差し支えありません。

特定賃貸借契約(マスターリース契約)の相手方である賃貸人(オーナー)が変わった場合、新しい賃貸人に対して、重要事項説明及び書面交付、契約締結時書面の交付を行う必要がありますか。

特定賃貸借契約(マスターリース契約)が締結されている賃貸住宅について、その契約期間中に相続やオーナーチェンジ等によって特定賃貸借契約の相手方である賃貸人が変更された場合には、従前と同一の内容で当該特定賃貸借契約が承継される場合であっても、特定転貸事業者(サブリース業者)は賃貸人の地位の移転を認識した後、遅滞なく、新たな賃貸人に重要事項説明及び書面の交付を行う必要があります。
「重要事項説明」については、下記のコンテンツで詳しく解説しています。