シェアハウスを計画する際に、入浴設備を「シャワー室」にするか「お風呂」にするか迷うオーナーや管理会社もいると思います。
基本的には「シャワー室」を設置することを念頭に置いてください。
共用部の面積がとれる物件であれば、シャワー室とお風呂の両方の設備を導入することが可能です。
しかし、限られたスペースに最低限の設備を設置しなければならないような物件であれば、まずはシャワー室を優先して検討しましょう。
このコンテンツでは、シェアハウス経営におけるシャワー室とお風呂のメリット・デメリットについて解説しています。
シェアハウスの管理会社にたずさわって10年以上の筆者の経験をもとに、入居者にストレスのない入浴設備の導入についてお伝えします。
目次(もくじ)
シェアハウスの入浴設備について(シャワー室・お風呂)
- シャワー室のみ設置
- お風呂(シャワーあり)
- シャワー室とお風呂(両方を設置)
シャワー室とお風呂は、いずれも個別の「脱衣所」が必要になります。
脱衣所のドアにはカギがかかるようになっています。
シェアハウスでは複数の入居者が入浴設備を利用します。
利便性と効率化のために「シャワー室」のみのシェアハウスも多くあります。
一方、シェアハウスでも浴槽でリラックスしたいというニーズもあります。
シャワー室とお風呂のそれぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
シェアハウス経営「シャワー室」メリット・デメリット
シャワー室のメリット
- 設置スペースが小さくて済む
- 入浴の時間を短くできる
- 入居者があまり待たずに利用できる
- 清掃がしやすい
一般的なシェアハウスのシャワー室の面積は、脱衣所を含めても2~3平米くらいです。
スペースが小さくて済むので、シェアハウスの規模や人数に合わせて複数のシャワー室を設置しやすくなります。
また、シャワーの時間は長くても1人あたり30分程度ですので、入居者があまり待たずにスムーズに利用できます。
シャワー室のデメリット
「ゆっくりとお湯につかりたい」という入居者のニーズには対応できません。
とくに女性は浴槽を希望することも多いので、機会損失につながる可能性があります。
シェアハウス経営「お風呂」メリット・デメリット
お風呂のメリット
入居者にとってはゆったりと1日の疲れをとる時間ができるので喜ばれます。
オーナーや管理会社としては、リラックスできることやアットホームな雰囲気をアピールすることが可能になります。
とくに女性に対する満足度を高めることができます。
お風呂のデメリット
脱衣所も含めると設備を設置する広いスペースが必要になります。
入居人数や間取りを無視してお風呂を設置すると、入居者の利便性が下がってクレームやトラブルになるので注意が必要です。
浴槽が大きければ大きいほど入居者にとって魅力は高まりますが、それは同時に「水道光熱費の上昇」を意味しています。
シェアハウスでは、浴槽にためたお湯は1回使い切りです。利用するたびに水道代とガス代がかかります。
その他、「使い終わるごとに清掃する」ルールを守ってもらう必要があります。
もうひとつの注意点は「入浴時間」に関するルール決めです。
一人暮らしの感覚で1〜2時間バスルームを占領してしまったり、深夜に使用してバスルームの隣にある部屋の入居者の睡眠を妨げてしまったりするなどのトラブルを起こしてしまうことがあります。
そういったクレーム・トラブルを避けるために、1回当たりの使用時間や使用可能時間帯などのルール作成をする必要があります。
コスト・管理の効率化なら「シャワー室」がおすすめ
【シャワー室とお風呂「メリット・デメリット」】
シャワー室 | お風呂 | |
設置スペース | ○ (小さくて済む) | × (浴槽のスペースが必要) |
入居者の待ち時間 | ○ (入浴時間は短い) | × (入浴時間が長くなりがち) |
清掃 | ○ (比較的かんたん) | △ (浴槽など範囲が広い) |
水道光熱費 | ○ (節約できる) | × (1人ごとにお湯の入れ替え) |
ハウスルールの作成 | ○ (ほぼ不要) | × (時間や順番のルールが必要) |
入居者のリラックス度 | △ (お湯につかれない) | ○ (疲れを癒せる) |
クレーム・トラブル | 起こりにくい | 起こりやすい |
オーナーや管理会社にとっては、光熱費コストを重視してルールや管理を効率化するのであれば、シャワー室がもっともおすすめです。
筆者がたずさわったシェアハウスは入浴設備のほぼ100%がシャワー室ですが、10年以上の運営をしてきても大きなクレームやトラブルになったことはありません。
もちろん、浴槽のあるシェアハウスを希望して転居した人もいるかもしれません。
また、初めから浴槽のあるシェアハウスを探している人もいると思います。
しかし、浴槽がないからといって入居者の募集に困ったことはありません。
シャワー室しかないシェアハウスでも需要が低下することはないですし、入浴設備はシェアハウスの入居を決定する際のごく一部分にすぎません。
そのため、一戸建てなどを転用して入居人数が少ないシェアハウスを企画する場合は、既存のバスルームを活用しつつ「脱衣所やカギの設置」「利用ルール」の設定をすることが必要です。
たとえば、筆者の所属するシェアハウス管理会社で企画したものとしては、既存のバスルームをリフォーム工事はせずに「シャワー室」として利用したケースがあります。
入居者の人数と水回り設備の数とのバランスを考え、浴槽の使用をしないルールにしました。
ルールを決めずに既存のバスルームをそのまま「お風呂」として運用していれば、入浴時間や待ち時間などへのクレームにつながった可能性があります。
また浴槽の利用を認めていれば、水道代やガス代の高騰につながった可能性もあります。
もちろん、共用スペースに余裕があればシャワー室とお風呂の両方を設置することも可能になります。
たとえば、入居人数が多いシェアハウスであれば、シャワー室を3台とお風呂を1台設置する、ということも考えられます。
女性専用のシェアハウスであれば、お風呂があった方が喜ばれるでしょう。
シェアハウスの運営では、入居人数・ターゲット・共用スペース・運営コストなどを総合的に考えてシャワー室やお風呂の設置を判断することが重要です。
シャワー室・お風呂のリフォーム見積りfa-arrow-circle-right
まとめ
- シャワー室が基本となる(おすすめ)
- お風呂を設置できれば入居者の満足度を高められる
- お風呂は水道光熱費の上昇と清掃のルール作りに注意が必要
- 人数・ターゲット・スペースなどに合わせて総合的に判断する