シェアハウスは、個室を除いた部分は入居者同士で使用する「共用部」にあたります。
シェアハウスの運営・管理においては、この「共用部の清掃」がとても重要になります。
あなたも自分の住む家がきれいに掃除されていると気持ちがいいと思います。
シェアハウスも同様に汚れたり散らかったりしていると、入居者は毎日気持ちよく生活することができません。
このコンテンツでは、シェアハウスの共用部の清掃(掃除)の重要性について詳しく解説しています。
共用部の清掃を定期的に行うことで、管理の行き届いた清潔なハウスを運営することができます。
入居者の満足度と入居率を高く維持することができ、「安定したシェアハウス経営」につながります。
20棟・300室のシェアハウスを運営している管理会社で、10年以上の経験をもつ筆者が事例をあげながらわかりやすくお伝えします。
目次(もくじ)
シェアハウスの共用部の清掃の箇所
- リビング
- キッチン
- トイレ
- 洗面所
- シャワー室(浴室)
- その他(玄関、廊下、ベランダなど)
シェアハウスで清掃が必要な箇所は、個室を除いた共用部です。
それぞれを詳しく見ていきましょう。
リビングの清掃
リビングの清掃は、掃除機をかけてテーブルの拭き掃除などを行ないます。
汚れに応じて床の拭き掃除や気になるところを清掃します。
入居者の私物が置いてあっても、清掃員は整理や処分をすることはできません。(報告のみ)
リビングに私物がないかなどルールが守られているかどうかは、運営・管理側が定期巡回時にチェックする必要があります。
リビングは入居者同士が集まってくつろぐスペースです。時にはパーティーやイベントも開催されます。
そのため、シェアハウスのコミュニティを司る重要な場所といえます。
いつでもできるだけ多くの入居者が集まれるように、日頃から整理整頓・清掃をしておきたいスペースです。
雑然としていたり汚れたりしていれば、入居者が集まったりパーティーをしたりすることが減ってしまいます。
これは、シェアハウス内の交流やコミュニティにも大きな影響を与えます。
リビングの居心地が悪ければ、入居者は個室で過ごすしかなくなってしまいます。
これではシェアハウスの魅力が半減してしまいますし、共同生活の意味も見いだせなくなってしまいます。
キッチンの清掃
キッチンもシェアハウスのコミュニティにとって重要なスペースです。
一定数の入居者は「自炊」をしています。
一人暮らしのワンルームにはないキッチン設備や広いスペースは、シェアハウスの魅力のひとつとなっています。
そのため、当然ながら常に清潔に保ち気持ちよく利用できるようにしておかなければなりません。
家電、鍋やフライパン、調理道具、食器などもチェックして、汚れていれば清掃するようにします。
調理台の上だけでなく、生ゴミの状況に気を配ったり、排水溝の清掃をおこなったりすることも必要になります。
タオルやふきんを提供している場合は、交換や洗濯も行います。
また、共同生活ですので食中毒にも注意をしなければなりません。
シェアハウスは運営側が食事を提供するわけではないので、保健所の申請や許可は必要ありませんが、シェアハウスの運営・管理側が衛生面に気をつけておく必要はあるでしょう。
清掃員が入らない日は、入居者に協力してもらったり、ハウスルールを定めておいたりすることが重要です。
清掃員は、通常は「冷蔵庫内」の清掃をしません。
「冷蔵庫内の清掃や整理整頓」は、定期的に運営・管理側がおこなう必要があります。
水回りの清掃
トイレ
トイレも定期清掃をおこないます。
便器だけでなく、シャワートイレ部分や床部分もしっかりと清掃するようにします。
とくに、男性が使用するトイレの床は汚れやすいので、毎回きちんと清掃するようにしましょう。
清掃時にトイレットペーパーの補充や清掃用具のチェックもおこないます。
シャワー室(浴室)
シャワー室(浴室)も定期清掃をおこないます。
排水溝は清掃時に髪の毛などのゴミも処理します。
排水溝の掃除はやや時間がとられるので、髪の毛がくるくるとまとまって捨てやすいゴミ受けを使用するなど工夫するとよいでしょう。
一般の家庭よりも使用頻度が多いため汚れや髪の毛がたまりやすいので、壁面や天井も含めてしっかりと清掃をします。
脱衣所は、床を中心に清掃をおこないます。
バスマットを置いている物件は、交換と洗濯をおこないます。
洗面所
洗面所は、洗面ボウル・鏡などの拭き掃除がメインとなります。
また、排水溝に髪の毛がつまりやすいので、流れの確認もおこないましょう。
髪の毛を流さないように排水溝にネットなどを設置するのもよいでしょう。
洗面所はドライヤーの使用などで髪の毛がゴミとなりやすいスペースです。
髪の毛の処理や排水など、入居者への使用ルールの徹底も必要です。
その他の清掃
玄関
玄関は清掃時間の関係上、簡単な内容にとどまることが多くなります。
靴や私物の処理は清掃員にはできません。
靴の放置がないか、ルールが守られているかは運営・管理側が巡回時にチェックする必要があります。
廊下
廊下は入居者の移動も多い場所なので、ホコリがたまりやすくなっています。
定期清掃時には、必ず清掃する必要があります。
洗濯機の周辺
洗濯機・乾燥機が置いてあるスペースも汚れやすいので清掃が必要です。
洗濯物によるホコリや洗剤の粉、ゴミなどが床に落ちやすいので掃除機をかけます。
家電は水拭きや乾拭きをします。
洗濯機のゴミ取りネットをチェックし、たまっていたら捨てるようにします。
乾燥機は内部のフィルターにホコリがたまるので、週に1回は取り除くようにしましょう。
その他(ベランダ・屋上など)
ベランダ・バルコニー・屋上・テラスなどがあるハウスは、どのように清掃を行うか決めておきましょう。
植栽や観葉植物があるハウスは、水やりも必要になります。
清掃員が限られた時間の中ですべてを行うことは難しいのが現実です。
清掃員と運営・管理側が協力しながら清掃のプランを立てる必要があります。
シェアハウスの清掃の回数・時間(最低でも週1回2時間以上)
どんなに小規模なシェアハウスでも、最低でも「週に1回の定期清掃」は必要です。
1回の清掃につき、2時間はかかります。(1人でおこなう場合)
- 5人くらいのシェアハウス 週1回以上
- 10人くらいのシェアハウス 週2回以上
- 20人くらいのシェアハウス 週3回前後
上記は目安になりますが、水回り設備の数が多い物件は入居者の人数や清掃の頻度、汚れ具合に注意して回数を決めていきましょう。
回数を決めたら「入居者募集サイト」にもきちんと明記し、実行していくことが重要です。
シェアハウスで生活する入居者は、オーナーや運営会社の管理内容を見ています。
とくに女性は水回り設備の清潔感を気にします。
たとえば、お化粧をするので洗面所の汚れや使い勝手に敏感です。
またシェアハウスに入居した経験のある人は、ハウスを探すときに「清掃当番なし」の条件でサイトを見る場合があります。
入居者による「清掃の当番制度」があるかどうかを、サイト内の情報に明記しておきましょう。
清掃も含めた管理内容の良し悪しは、入居者の友人知人の口コミにもつながり、今後の入居者募集やリピート率にも影響を及ぼします。
その他、ベランダや植栽の剪定、キッチンの換気扇など普段の清掃ではなかなかできない場所は、「別の清掃スケジュール」を立てておく必要があります。
建物内外の清掃が必要な部分を事前にピックアップしておき、予算を立てて年間を通じて実行していくようにします。
シェアハウスの清掃は管理運営側が行う(※当番制はダメ)
シェアハウスの定期清掃の方法には、大きく分けて2つの方法があります。
- 管理会社や清掃スタッフが清掃する
- 入居者が当番制で清掃する
結論から言うと、「入居者の当番制の清掃」はおすすめしません。
その理由は、下記の通りです。
当番制の清掃をおすすめしない理由
- 入居者全員の清掃スケジュールを作成するのが大変
- スケジュールに穴があくと調整が大変
- 人によって清掃内容に差がでる
- 清掃内容が均一化していないと入居者の不満が高まる
- 結果としてハウスの清掃レベルが安定せず運営も安定しない
これは、実際に筆者がシェアハウス運営にたずさわって実行してみた結果です。
清掃員が辞めてしまったときに入居者当番制を一時的に導入してみましたが、上記のような理由でうまくいきませんでした。
清掃のマニュアルや細かい指示を与えたとしても、人によって清掃の品質には差が出てしまいます。
入居者同士の不満やハウス内の人間関係にも影響し、ハウスの運営にも支障をきたすこともあるので注意が必要です。
シェアハウスの清掃の費用
清掃業者に依頼したり清掃員を雇ったりする場合は、費用がかかります。
東京などの首都圏では、時給1,000円くらいをみておきましょう。
シェアハウスの運営開始前に、清掃箇所や回数を計画してそのコストを計算しておきます。
そのうえで、入居者から徴収する「共益費」の金額を決めるようにします。
キッチン換気扇の清掃やエアコン内部の洗浄など、定期清掃以外の部分は、その内容と頻度を計画します。
そのうえで、費用や誰が負担するかを決めます。
その都度決めたりオーナーに相談したりするのはお互いにストレスがたまります。
「シェアハウスの運営開始前」に決め、オーナーが管理会社に委託する場合は細かい内容まで協議して書面にしておくことが重要です。
その他の注意点・事例(契約書のサンプルあり)
シェアハウスの定期清掃について、その他の注意点を見ていきましょう。
実際の事例や清掃員との契約書サンプルも紹介します。
入居者の協力も必要になる
シェアハウスの清掃は範囲も広く、また費用もかかるため全てを清掃業者が行うことは難しい面があります。
そのため、管理会社やハウス巡回のスタッフが清掃の一部でも協力することが大切です。
たとえば、管理スタッフがハウスを巡回したときに気づいたゴミを捨てたり、清掃スタッフが手の回らない場所を手伝ったりする体制が必要です。
また、入居者にもハウス内を清潔に保つ意識をもってもらいましょう。
共用部をみんなできれいに気持ちよく使用するために、ハウスルールの徹底をおこないます。
ハウス内に簡単な清掃道具を用意して、わかりやすい場所に置いておきましょう。
たとえば、雑巾、モップ、洗剤など。
入居者が汚した場合などにいつでもすぐに掃除ができるようにしておきます。
管理会社が日頃から清潔なシェアハウスにしたいという意識で運営していれば、入居者も協力してくれるようになるでしょう。
長期休暇の清掃スケジュールに注意する
年末年始、ゴールデンウイーク、夏休みなどの長期休暇のときには、物件の清掃スケジュールの調整が必要になります。
ハウス内の清掃頻度が大きく減らないように、清掃業者や管理スタッフの休みや対応を決めましょう。
長期休暇の前に清掃体制や緊急連絡について、メールなどで入居者にアナウンスしておくことも大切です。
ハウス清掃のスケジュール管理の方法
管理運営側は、各ハウスの清掃スケジュールをインターネットのカレンダーで管理すると便利です。
実際に使用しているイメージを載せておきますので参考にしてみてください。
まとめ(シェアハウス共用部の清掃)
あなたも自分の住む家がきれいに清掃されていると気持ちがいいと思います。ましてやシェアハウスのように他人との共同生活であればなおさらです。
共用部も含めてハウス内が汚れたり散らかったりしていると、入居者は毎日気持ちよく生活することができません。
ハウス内のモラルも低下し、設備や備品などの取り扱いが雑になったり、規律が守られなくなったりしてきます。
- 入居者による当番制はうまくいかない
- シェアハウスのスタッフや入居者にも協力してもらう
- 物件のオープン前に清掃内容と共益費の金額を決める
- その他の清掃内容も年間スケジュールを作成して実行する
- 長期休暇の清掃スケジュールに注意する