不動産の取引において、テレビ会議等のITを活用したオンラインによる重要事項説明(IT重説)が可能になっています。
国土交通省は、IT重説についてマニュアルを公開しています。
このコンテンツでは、国土交通省のマニュアルに沿って、「IT重説の方法や流れ」について解説。
トラブルを回避する観点から「実施することが望ましい対応等」(国土交通省)についても掲載しています。
また、IT重説の実施に当たって、必要な機器に関する説明や、円滑なIT重説を実施するための参考例等も示しています。
不動産業者や宅地建物取引士などが適宜、必要な箇所を参照できるようにまとめています。
重要事項説明を受けることがある不動産オーナーにとっても、IT重説のポイントをおさえることができる内容にしています。
不動産書面の電子化(電磁的方法)については、下記のコンテンツで詳しく解説しています。
目次(もくじ)
IT重説(重要事項説明)とは
IT重説とは
テレビ会議等のITを活用して行う重要事項説明を言います。
IT重説では、パソコンやテレビ、タブレット等の端末の画像を利用して、対面と同様に説明を受け、あるいは質問を行える環境が必要となります。
国土交通省における宅建業法の解釈及び運用の考え方を示している、「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」では、IT重説を対面による宅建業法第 35 条の重要事項説明と同様に取り扱うものとしています。
対面の重要事項説明と同様とみなすための4つの要件を定めています。
IT重説の要件とは
「機器トラブル等が解消しない場合のIT重説の中止」も求められます(遵守すべき事項)
IT重説を行える不動産取引など
IT重説が認められているのは、賃貸契約及び売買契約の取引です。
宅地又は建物の取引の売買、交換もしくは売買の代理又は媒介、賃借の代理又は媒介について、IT重説を行うことができます。
また、不動産管理業では「管理受託契約」や「マスターリース契約」においても、IT重説が可能です。(2022年5月:国土交通省に確認済み。)
IT重説を行える宅建業者・取引士
IT重説に関する規定の要件を満たすことにより、すべての宅建業者・取引士がIT重説を行うことができます。
事前の登録は不要です。
IT重説のメリットとは
IT重説には、いくつかのメリットがあります。
その例をご紹介します。
① 遠隔地に所在する顧客の移動や費用等の負担が減少する
例えば、遠方の大学に就学するため、大学の近くで下宿先を探した後に、時間の都合などで重要事項説明、契約締結の前に地元に帰られた場合、これまでは、重要事項説明を受けるために、遠方の宅建業者を再度訪問する必要がありました。
このため、重要事項説明にご子息、ご両親の同席が必要なときなどには、移動にかかる時間や交通費が負担となることが考えられました。
しかし、IT重説を利用することで、このような負担が生じることなく、重要事項説明を受けることができます。
また、列車や飛行機の移動時間を気にすることなく説明を受けることができます。
② 重要事項説明実施の日程調整の幅が広がる
顧客によっては、仕事で平日に十分な時間が取れない、あるいは長時間家を空けることが難しい場合があります。
このため、重要事項説明の日程調整に苦労するといったことがありますが、IT重説を利用することで、宅建業者の店舗等に行く余裕がない場合でも説明を受けることができるようになり、重要事項説明を行う日程を、より柔軟に調整できることが期待されます。
③ 顧客がリラックスした環境で重要事項説明を受けられる
顧客の中には、不動産取引に不慣れであり、宅建業者の店舗で説明を受ける際に緊張してしまう場合があります。
また、重要事項説明には、不慣れな専門用語が含まれている場合もあり、説明内容を十分に理解できないこともあります。
しかし、IT重説を利用することで、このような顧客でも自宅等のリラックスできる環境で重要事項説明を受けることができます。
さらに、送付された重要事項説明書を事前に読むことにより顧客が必要な質問の準備ができるようになる等、重要事項説明の理解が深まることが期待されます。
④ 来店が難しい場合でも契約者本人に対して説明ができる
例えば、契約者となる方が、重要事項説明を受けることはできるものの、怪我や感染症の流行等により外出するのが難しい場合があります。
このような場合、代理の方が、店舗を訪問して重要事項説明を受ける等の対応が生じることになります。
しかし、IT重説を利用することで、外出が難しい顧客に対しても直接説明することができます。
そのため、契約者となる本人に対して、より確実に説明の内容を伝えることができます。
IT重説の5ステップ
国土交通省のマニュアルでは、IT重説の「遵守すべき事項」を定めています。
5つの事項にわかれていて、これに沿ってIT重説を実施する必要があります。
1. IT環境及び意向の確認
2. 重要事項説明書の事前送付
3. 重要事項説明の実施前にIT環境が整っていることの確認
4. 宅地建物取引士によるITを活用した重要事項説明
5. 機器トラブル等が解消しない場合のITを活用した重要事項説明の中止
国土交通省は、必ず対応すべきである「遵守すべき事項」、契約当事者間でのトラブル防止の観点から可能な限り対応すべきである「留意すべき事項」を示しています。
以下、これに沿って解説していきます。
IT環境 および 意向の確認(ステップ1)
IT重説の実施については、「その内容を十分に理解できる程度に、映像を視認でき、かつ、音声を聞き取ることができるとともに、双方向でやりとりできる環境において実施していること」を規定しています。
そのため、IT重説の実施に当たっては、これらの要件を満たす機器やサービスを利用する必要があります。
具体的なIT機器やサービスに関する仕様等は定めていませんが、「IT重説で求められるやり取りが十分可能なものを用意すること」が必要です。
そのため、以下に示す内容等を踏まえた機器の選択を行うことになります。
IT重説で必要とされるIT環境
IT重説で必要とされるIT環境については、一定の機能を有していることが求められます。
- 機器について
- インターネット回線について
- ソフトウェア等について
ここではその具体的な考え方について、国土交通省のマニュアルの内容を紹介します。
機器について
IT重説で用いられるテレビ会議等については、事業所等に設置されたテレビ会議システム、パソコン、タブレット端末を利用したテレビ会議等、様々な方法によることが想定されます。
求められる機能を満たすため、IT重説に使用する機器は少なくとも以下の点に留意する必要があります。
- 端末
- 画面
- カメラ
- マイク
- 音響機器
● 端末
IT重説を実施する端末(パソコン、タブレット端末、スマートフォン 等)や使用するOS(Windows10等)の種類については、特定のものである必要はありません。
自社がすでに利用しているものでも可能です。
なお、テレビ会議システムが利用できる環境であれば、例えば、テレビに必要な装置を付けて利用することも可能です。
また、IT重説ではインターネットに接続して利用することが多いため、セキュリティを確保する必要があります。
この観点から、OSについてもその提供事業者(ベンダー)が、セキュリティのサポートを行っているものを利用することが求められます。
● 画面
IT重説において使用するディスプレイ等の画面については、大きさや 機能、解像度等について一定の性能が必要となります。
説明の相手方の画面についてみると、宅建士証を確認できることが必要です。
宅建士証に記載されている文字が確認できる程度の大きさや、拡大機能、解像度等が必要です。
次に、画面上で見取り図等の図面を提示して説明することが必要な場合には、説明の相手方の画面で、これらの資料を視認できるだけのディスプレイの大きさや解像度が求められ
ます。
逆に言えば、説明の相手方が画面の小さいスマートフォン等を利用している場合には、説明の相手方の画面に図面を表示して説明することは馴染まないといえます(この場合、図
面を事前送付する等の対応が考えられます。)。
宅建士側の画面については、宅建士自身がIT重説の最中に、自らがどのように説明の相手方側に映っているか確認できるよう、ワイプ画面で宅建士の映像も表示されることが有
効です(図3)。
そのため、「ワイプ画面の映像が視認できる程度の解像度」があることが望ましいと考えられます。
〔 重要事項説明書を電磁的方法により提供する場合 〕
「重要事項説明書」を電磁的方法により提供し、電子書面でIT重説を実施する場合、説明の相手方の画面において、電子書面と説明中の宅建士の画像が同時に閲覧可能であることが必要となります。
なお、説明の相手方が利用する端末やソフトウェアにより、電子書面と説明中の宅建士の画像を同一画面に表示させることが困難な場合には、あらかじめ、以下いずれかのような対応を説明の相手方へ依頼する必要があります。
- 電子書面を表示させる端末と、IT重説に用いる端末の2台を用意すること。
- 電子書面を出力して、書面(紙)を用意すること。
また、電子書面を閲覧する端末については、電子書面の見やすい端末を利用するよう、説明の相手方に推奨することが望ましいと考えられます。
● カメラ
IT重説に際してカメラが重要となるのは、宅建士側で宅建士証や説明に要する図面等を表示するためです。
したがって、特に宅建士側のカメラについては、十分な性能(解像度等)を有する必要があります。
説明の相手方が宅建士証の画像を視認し、「宅建士本人」であることの確認を求めています。
例えば、図4、図5(下記)は、宅建士証の画像を異なるカメラで写したものです。
カメラの性能によっては、宅建士証の氏名等が十分視認できないこともあります。
したがって、IT重説の実施に先立ち、宅建士証の画像が説明の相手方側で十分視認できる程度に鮮明に映っているか、確認することが必要です。
また、重要事項説明において図表等の提示を行う必要がある場合には、「説明に必要な図表等の提示を行えるだけの視野角」を有する必要があり、どのように説明の相手方の画面に映し出されているのかを確認することが求められます。
● マイク
IT重説において使用するマイクについては、宅建士及び説明の相手方の音声の内容を判別するのに十分な性能を有する必要があります。
スマートフォンやタブレット端末に内蔵されているマイクを用いる場合には、マイク自体には問題はないと考えられます。
ただし、日頃、タブレット端末を通話に使っていない場合には、「マイクの設定」がされていないため、音声が出ないというケースがありますので注意してください。
また、外部接続のマイクについては、きちんと接続されて音声が相手方の端末で出力されるか、事前に確認することが重要です。
● 音響機器
IT重説において使用する音響機器については、スピーカーやマイクとヘッドホンが一体化している「ヘッドセット等」の利用も想定されます。
端末に内蔵・付属しているものや市販されているもので通常は問題ありませんが、説明や質問等の内容が判別できる十分な性能を有する必要があります。
インターネット回線について
IT重説において使用するインターネット回線については、高速大容量通信が可能な回線が想定されますが、これらのインターネット回線の品質等については下記の要件(※)を満たす必要があります。
通常、インターネットサービス事業者が提供する回線は、インターネットを利用したテレビ会議に対応できる通信速度・通信容量を満たしています。
IT重説に際しては、利用している回線がそのまま利用できるか、回線の状況を確認することが重要です。
また、移動体通信を利用する場合には、地域、ロケーション、雑踏等の状況によって回線の速度が維持できない場合もあるため、留意する必要があります。
(※)IT重説において用いるインターネット回線の条件
・宅建士及び説明の相手方が動画及び音声を一体的な一連のものとして送受信できること。
(例えば、静止画の状態が数秒続くことが連続することが生じない等)
・解釈運用通知で示す内容を満たす品質を有する動画の送受信ができること。
・上記に示す品質が、重要事項説明の開始から終了の間、継続して維持できること。
ソフトウェア等について
IT重説を実施する場合に、テレビ会議等の機能を持つソフトウェアやサービスを利用することが必要となります。
テレビ会議等のサービスは、大きく3つのパターンが挙げられます。
- インスタントメッセンジャー型
- テレビ会議サービス型
- テレビ電話サービス型
インスタントメッセンジャー型とは、個人が利用するインスタントメッセンジャー(メッセージングアプリ)にビデオ動画機能が付加されて、これを利用するタイプです。(※)
(※)宅建士及び説明の相手方の双方が当該サービス利用のためのアカウントを取得する必要があります。
インターネットに接続した者同士で、チャットやファイルのやりとりができるソフトウェア。
同じソフトを利用している相手方がインターネットに接続しているかどうかがわかり、リアルタイムにメッセージを送ることができます。
テレビ会議サービス型とは、いわゆるクラウドサービスとして提供されるサービスを宅建業者が契約し、これを利用してIT重説を行うものです。
説明の相手方は、アカウントの取得は不要です。
テレビ電話サービス型とは、キャリア等(電話会社等)が提供するテレビ電話サービスを利用するものです。
最も簡単に利用できる反面、機能も最も限定されます。
サービスの種類 | サービスの概要 |
インスタントメッセンジャー(メッセージングアプリ)型 | インスタントメッセンジャーの一環として、動画通信サービスが含まれているもの。
利用者自身がアカウント等を取得し、設定等を行う必要がある。 (例:LINE) |
テレビ会議サービス型 | テレビ会議の機能をブラウザ上等で提供するもの。
利用者は必ずしもアカウントの取得は必要ではなく、テレビ会議サービスと契約する事業者等からの招待で利用する。 サービスや利用環境により、利用者双方が設定を行う必要がある。 (例:Zoom、Microsoft Teams、各不動産ポータルサイト提供サービス) |
テレビ電話サービス型 | 電話の機能として、ビデオ通話サービスを提供するもの。
利用者側で行う設定はほとんどない。 同じキャリア(電話会社)やサービスを利用する必要がある。 (例:各キャリア提供テレビ電話サービス、FaceTime) |
いずれのサービスを利用する場合でも「双方向でやりとりできるIT環境」において実施する必要があります。
また、録画・録音をしようとする場合には、併せてこれらのサービスが録画・録音対応しているのか等についても確認する必要があります。
説明の相手方のIT環境の事前確認
説明の相手方から、重要事項説明をIT重説で実施することについての希望があった場合に、説明の相手方におけるIT環境が、前述のIT重説の実施に当たって求められるIT環境に示す内容を満たすものであるかを、事前に確認すべきだと考えられます。(下記の表)
利用するソフトウェアによっては、OS(Windows10等)やブラウザ(Microsoft Edge等)の種類やバージョンに適合していない場合があるため、事前にこのような内容を確認すべきだと考えられます。
※IE(インターネットエクスプローラー)は、2022年6月にサポートが終了しているので注意が必要です。
説明の相手方のIT環境についての確認項目・内容
確認項目 | 確認内容 |
説明の相手方のIT環境が、宅建士が利用を予定するテレビ会議等のソフトウェア等に対応可能であること。 |
説明の相手方が、前述のIT重説で必要とされるIT環境で示す要件を満たす機器等を利用すること。 |
宅建士が利用を予定するテレビ会議等のソフトウェア等の利用に必要なアカウント等(※)を説明の相手方が有していること。(宅建士が利用者のアカウントを用意する場合には、確認不要)。 |
IT重説で使用するテレビ会議等のソフトウェア等によっては、アカウント等の取得が必要となる場合もあるため、宅建士は、説明の相手方のアカウント等の有無について確認する。 |
説明の相手方が、前述のIT重説で必要とされるIT環境で示す要件を満たす機器等を利用すること。 |
説明の相手方が利用する端末が、前述のIT重説で必要とされるIT環境で示す要件を満たすことを、宅建士は確認する。 |
説明の相手方への「意向」の確認
IT重説を実施するためには、IT重説を実施することについて、説明の相手方へ意向確認を行い、「承諾」を得る必要があります。
説明の相手方への意向の確認手法については、特に制約はありませんが、トラブル防止の観点から書面又は電子メール等の記録として残る方法で行うことが望ましいと考えられます。
なお、説明の相手方に対して、事前に重要事項説明に要する時間や進め方等を通知することにより、説明の相手方がIT重説を選択する際の判断材料となり、トラブルの防止に資すると考えられます。
併せて、IT重説の実施に際して留意すべき点等を、事前に説明の相手方に対して伝えることにより、事後のトラブルの抑制に寄与することが期待されます。
重要事項説明書の事前送付(ステップ2)
IT重説は、「説明の相手方の手元に重要事項説明書及び添付書類がある状態」で実施する必要があります。
そのため、重要事項説明の実施に先立ち、宅建士により記名された「重要事項説明書及び添付書類」を、説明の相手方に送付している必要があります。
重要事項説明書は、取引士が記名をした上で、「書面」または「電子書面」にて交付します。
〔 重要事項説明書を電磁的方法により提供する場合 〕
重要事項説明書等の電子書面を提供する際は、以下のいずれかの方法で行います。
- 電子書面を電子メール等により提供
- 電子書面を Web ページからのダウンロード形式により提供
- 電子書面を記録した CD-ROM や USB メモリ等の交付
なお電子書面は、国土交通省がマニュアルで定めている「提供の要件」を満たしたものである必要があります。
説明に用いる資料に資料番号を付けるなど、参照しやすいようにすることで、スムーズなIT重説を実施することができます。
作成する重要事項説明書は、マークや資料番号、ページを付したり、付箋やマーカーなどで強調したり、特に確認すべき箇所を別途わかりやすいように示すなどの工夫を行うことが望ましいと考えられます。
なお、説明の相手方が不動産取引に不慣れな場合があることから、重要事項説明の全体像を把握しやすくするため、重要事項説明書の目次や全体像を示す資料をあらかじめ説明の相手方に交付することにより、理解を深めてもらうことができます。
電子書面などによる重要事項説明書の提供については、下記のコンテンツで詳しく解説しています。
・送付から一定期間後のIT重説の実施
重要事項説明の内容を説明の相手方が十分理解できるようにするため、説明の相手方に事前に重要事項説明書を読んでおくことを推奨するとともに、重要事項説明書の送付から「一定期間の後」に、IT重説を実施することが望ましいと考えられます。
電子書面交付を行う際の注意点
- 電子書類の改ざん防止
- 重説と契約を行う順番を法律に則して行う
重要事項説明書の交付を電子書面にておこなう際の主な注意点は二つ。
・電子書類の改ざん防止
・重説と契約を行う順番を法律に則して行うこと
宅建業法の改正規定においては、35条書面・37条書面において、法的な有効性を持つために「電子署名」か「タイムスタンプ」を必須としています。
現状では、不動産会社が電子契約(電子書面交付含む)を行う際は、「電子署名機能付きの電子契約サービス」を利用することになります。
紙の契約書と同様に「重説から契約までの手続きの順序を厳守する」ことにも注意が必要です。
電子契約サービスを利用した際、不動産会社は顧客に対し、データで35条書面と37条書面の一括送信も可能に。
この時、顧客が「重説を受ける前に契約書に電子署名してしまう」と宅建業法違反になります。
【関連コンテンツ】
IT重説の実施前にIT環境が整っていることの確認(ステップ3)
IT重説の開始前に、説明の相手方が重要事項説明書及び添付書類を確認しながら説明を受けることができる状態にあること、IT重説を実施するためのIT環境が整っているか、を確認する必要があります。
宅建士は、IT重説を行うに際して、下記の確認を行う必要があります。
- 相手方の映像や音声を宅建士側の端末で確認できること
- 宅建士側の映像や音声を説明の相手方の端末で確認できること
- 説明の相手方に事前に送付している重要事項説明書及び添付書類が、説明の相手方の手元にあること
端末の表示状況に関して確認すべき具体的な事項(国土交通省のマニュアルより)
表示内容 | 確認する内容 |
宅建士が、説明の相手方に確認すべき内容 | ・宅建士側の映像が明瞭に視認できること (例:宅建士の表情が判別できる等)・宅建士側の映像が動画として視認できること (例:静止画の状態が数秒続くことが連続することが生じない等)・宅建士側の音声が明瞭に聞き取れ、内容が判別できること (例:宅建士の発する音声の意味が判別できる等) |
宅建士が、自らのIT環境について確認すべき内容 | ・説明の相手方側の映像が明瞭に視認できること (例:説明の相手方の表情が判別できる等)・説明の相手方側の映像が、動画として視認できること (例:静止画の状態が数秒続くことが連続することが生じない等)・説明の相手方側の音声が明瞭に聞き取れ、内容が判別できること (例:説明の相手方の発する音声の意味が判別できる等) |
双方の端末が接続していることを確認するためには、あらかじめ、接続の時間を事前に協議して決めておきます。
また、映像の視認又は音声の聞き取りができない状況が生じた場合の連絡手段として、電話やインスタントメッセンジャー等、「IT重説に用いるソフトウェア以外での連絡手段」も確保しておくことが重要です。
宅地建物取引士によるITを活用した重要事項説明(ステップ4)
宅建士は説明の相手方が「宅建士証を視認できたこと」を確認する必要があります。
これは、宅建士ではない者が重要事項説明をすること、あるいは宅建士の名義貸しをすることを防止する観点で必要なものです。
宅建士は宅建士証を表示させた後、説明の相手方側に表示されている宅建士証の氏名を読み上げてもらうこと等により、説明の相手方が視認できていることを確認します。
宅建士は説明の相手方に対して、自身の宅建士証をカメラにかざし、その内容を説明の相手方側の画面上で確認してもらうことになります。
そのため、説明の相手方は、少なくとも画面に表示される宅建士証に記載されている宅建士の氏名等の文字を読むことができるほか、宅建士の画面上の顔と宅建士証の写真の顔と比べて同一人物であることが確認できる必要があります。
宅建士証の提示に当たり、個人情報保護の観点から、宅建士証の住所欄にシールを貼ったうえで提示しても差し支えありません。
ただし、シールは容易に剥がすことが可能なものとし、宅建士証を破損しないよう注意してください。
宅建士証についての確認内容(国土交通省のマニュアルより)
説明の相手方に確認してもらう内容 | 宅建士がすべき対応(例) |
テレビ会議等で表示されている宅建士証の顔写真と、説明をする宅建士の顔が同じであること |
確認したことを声に出して答えるよう、説明の相手方に依頼する |
宅建士証に記載されている宅建士の氏名等 |
宅建士証に記載されている宅建士の氏名等を読み上げるよう、説明の相手方に依頼し、説明の相手方が読み上げた内容が正しいか確認する |
宅建士証の提示を受けたこと |
宅建士証の提示を受けたことを声に出して答えるよう、説明の相手方に依頼する |
宅建士証の確認の具体的な流れ(クリックで拡大)
重要事項説明書の確認すべき箇所をわかりやすいように示すことに加え、実際に説明を行う際には、宅建士が説明している箇所を画面上でも確認できるよう、「画面共有機能」を用いることが望ましいと考えられます。
IT重説の実施状況について、録画・録音により記録を残すことは、トラブルが発生したときの解決手段として有効と考えられます。
他方、重要事項説明には、宅建士や説明の相手方の個人情報のほか、売主や貸主等の個人情報が含まれている場合があります。
また、IT重説の実施の記録については、断片的に記録されたり、編集されたりすることによって、本来実施された内容と異なる記録が残るケースも想定されます。
そのため、以下のような対応で録画・録音を行うことが適切であると考えられます。
- IT重説の実施中の状況について、録画・録音をする場合には、利用目的を可能な限り明らかにして、宅建業者と説明の相手方の双方了解のもとで行う。
- 重要事項説明の実施途中で、録画・録音をすることが不適切であると判断される情報が含まれる場合(例えば、説明の関係者の機微情報等が含まれる場合等)については、適宜、録画・録音を中断する旨を説明の相手方にも伝え、必要に応じて録画・録音の再開を行う。
- 宅建業者が録画・録音により記録を残す場合、説明の相手方の求めに応じて、その複製を提供する。
なお、宅建業者が取得した録画・録音記録については、個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)に則った管理が必要となり、IT重説以外で取得した個人情報と併せて、適切な管理を行うことが求められます。
〔 録画・録音記録を保存する場合の情報管理等 〕
IT重説の実施によって得た情報の中には説明の相手方等の個人情報が含まれるため、適切に管理する必要があります。
なお、個人情報の取扱いは、「個人情報保護法」・「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」等に基づく必要があります。
特に、録画・録音記録を保存した場合、当該録画・録音記録は、個人データ(※)に当たる可能性があることから、「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」の別添「講ずべき安全管理措置の内容」を踏まえた管理をする必要があります。
(※)
個人情報保護法 第2条第4項 による個人情報データベース等を構成する個人情報を指します。
録画・録音記録が、個人情報保護法 第2条第7項 による保有個人データに当たる場合には、同法第 28 条に基づき、本人(個人情報によって識別される特定の個人)からの開示請求に応じる必要があることに注意が必要です。
また、テレビ会議システムによっては、テレビ会議システムのサービスを提供するサービス事業者が、独自に「プライバシーポリシー等」を定めている場合がありますので、このような場合にも、説明の相手方から、当該プライバシーポリシーについて同意を得ることが必要となります。
宅建業者が、説明の相手方から、個人情報の利用目的等に関する同意の取得、またはこれに関連する通知・公表等を行っている場合、その効果は「説明の相手方のみ」に生じます。
そこで、IT重説を実施している際に、「予定された説明の相手方以外の方」が同席等により参加した場合には、その方についても同様に、利用目的等に関する同意の取得や公表等の内容の確認をしてもらうことが求められます。
取得した録画・録音記録については、宅建業者が行う個人情報の管理と同様に扱うことになります。
したがって、保存期間についても、原則として他の顧客情報と同様に対応することになります。
ただし、録画・録音記録を取得する趣旨が、説明の相手方とのトラブル回避が目的である場合には、録画・録音記録を廃棄することで、説明の相手方が不測の損害を被らないよう、留意する必要があります。
なお、録画・録音に関しては、宅建士の承諾を得ないで、説明の相手方が一方的に録画・録音するケースもあります。
説明の相手方が、録画・録音記録の取得を希望する場合であっても、宅建士や売主及び貸主等の個人情報が含まれている場合があるため、「その同意を得ないで録画・録音することは適切ではない旨の説明」をすることが適当と考えられます。
電子署名の法律にも注意
電子契約を利用する際のリスク対策として、契約者の本人確認をする「2要素認証」を採用すべきとの声もあります。
裁判の際にも証拠として「本人確認」を行ったことが法的に認められやすくなります。
2要素認証の必要性については、法務省が2020年9月に発表した「電子署名法第3条」にて定められています。
不動産業界以外での電子契約時には、2要素認証が行われることが当たり前に。
不動産会社やサービス提供企業は、法務省の電子署名関連の法律にも目を通す必要性があるといえます。
IT重説を実施している途中で、何らかの理由で映像の視認や音声の聞き取りに支障が生じた場合には、宅建士はIT重説を「中断」し、その支障となっている原因を把握して、支障がない状況にしてから、IT重説を「再開」する必要があります。
例えば、IT重説に利用する通信環境によっては、必ずしも通信速度等が安定しないことがあります。
このような場合には、音声や画像の乱れ、通信の途絶が生じることにつながります。
そのため、電波の入りやすいところに移動する、通信網を固定系のものに変更する等の措置を試みて問題の解消を図り、その上でIT重説を再開する必要があります。
なお、IT重説を中断した場合、当事者の希望により、残りの部分を「対面による重要事項説明」に切り替える対応も可能です。
機器トラブル等が解消しない場合のIT重説の中止(ステップ5)
IT重説を「中断」した場合には、支障がない状況にしてから、IT重説を再開することとなりますが、原因の把握等ができず、原因の解消が困難な場合は、IT重説を「中止」する必要があります。
なお、IT重説の実施過程で、説明の相手方の意向の変更により「拒否する旨の申出」があった場合にも、IT重説を中止する必要があります。
IT重説を中止した場合には、当事者の希望により、IT重説で実施することができなかった残りの部分のみを「対面による重要事項説明」に切り替える対応も可能です。
IT重説を円滑に実施するための具体的な手順・工夫・事例など
国土交通省のマニュアルに記載した「遵守すべき事項」や、トラブルの防止を図るための「留意すべき事項」に基づいて、宅建業者は適正に取引に係るIT重説を実施していくことが必要です。
ここでは、IT重説を円滑に行うために行われた工夫や対応事例を中心にご紹介します。
IT重説の実施に関する工夫
① 実施時の工夫
IT重説では、取引士の目の前の顧客ではなく、画面上の顧客に説明することから、普段どおりに話すことが難しいというケースが見られます。
目の前に顧客がいない場合には、普段とは話すスピードが異なってしまい、顧客がスピーカーからの音声がうまく聞き取れないこともあります。
そのため、例えば、下記のような「相手方の理解度を高める工夫」が考えられます。
- 説明した内容が理解されているかを確認するために、対面での重説よりも理解状況の確認を丁寧に行う
- 説明の内容が相手方に伝わりやすいようにするために、対面での重説よりもゆっくり説明する
- お互いの音声が聞き取りやすいよう、静かな環境でIT重説を実施する
② 説明資料の工夫
説明に用いる資料に「資料番号」を付ける等参照しやすいようにすることで、スムーズなIT重説を実施することができます。
特に売買に用いる資料の場合には、説明に多くの資料を用いることがありますので、説明対象となる資料及びその個所がわかりやすくすることが重要です。
例えば、説明を行う資料について、説明の相手方と意思の疎通が図りやすいように、マークや番号を入れる、特に確認すべき箇所をわかりやすいように示すため、付箋やマーカーなどで強調する、といった工夫が考えられます。
③ 社内研修の実施
取引士が初めてIT重説を行う場合、スムーズな説明ができなかったり、慣れない機器の取扱い等から不測のトラブルが生じたりするケースも想定されます。
そのため、事前に社内研修(家族内等も含む)を行うことで、IT重説の実施がスムーズに行われるよう工夫がされています。
例えば、下記のような取り組みが効果的です。
- IT重説の実施に当たり簡単な手順・フローに係る資料を作成して、社員に説明する
- 社員が、顧客に説明する取引士に扮して、ロールプレイング(役割演技)で研修を行い、模擬的な練習をする
また、自社で蓄積したIT重説の実施に関する工夫を社内で共有する、という工夫も見られます。
売主、貸主からの同意書の取得
売主、貸主からの同意取得について、円滑なIT重説の実施という観点から、IT重説を希望する顧客の都度に取得するのではなく、「ある程度包括的な形で同意書を取る」ことで、タイムリーにIT重説を実施できる体制を作る、という工夫が可能です。
例えば、
・売主、貸主等が所有・管理するすべての物件について、事前に包括的な同意書を取得する
・空き物件について、それを所有・管理する貸主等から、事前に同意書を取得する
等の対応を事前に行うことで、スムーズなIT重説が行われた例が見られました。
その際、国土交通省や宅建業者が独自に作成した簡単な参考資料を使用して、説明を行うことで理解を求めています。
使用機器についての工夫
① 顧客へのIT重説使用機器の周知・確認
説明の相手方によっては、必ずしもIT機器について詳しいとは限りません。
特にテレビ会議システム等のサービスについては、初めて利用するという方も多く見られました。
そこで、テレビ会議システムサービス事業者が作成した資料や、宅建業者が独自に作成した資料、説明の相手方が実施すべき項目のチェックリストを事前に説明することで、IT重説の実施の途中で機器の使用方法等が不明にならないようにしているという工夫がありました。
また、事前に説明の相手方の使用機種、OS等の更新状況を確認することで、サービス提供上の問題がないかをベンダー等も含めて確認しているというケースも見られました。
※Webブラウザの IE(インターネットエクスプローラー)は、2022年6月にサポートが終了しているので注意が必要です。
② 機器トラブルへの対応
IT重説を実施している際に、機器のトラブルが生じることもあります。
このようなトラブルに対しては、社内でシステム担当者を設けたり、ベンダーに適宜相談することで、速やかに機器のトラブルの解消を図る体制を構築しているケースも見られます。
また、一回生じたトラブルについては、これを記録し、事例集として社内の取引士で共有する等、二度目以降のトラブルに円滑に対応できるようにすることも、工夫として挙げられます。
よくある質問・FAQ
重要事項説明書等の電磁的方法による提供やIT重説を実施するに当たり「遵守すべき事項」・「留意すべき事項」が国土交通省のマニュアル内に示されていますので、内容を理解した上で実施ください。
また、承諾や意向確認の際に相手方の署名や押印は必要ですか。
また、署名、押印を必要とする定めもありません。
実施場所に制約はありません。
宅建業者においてセキュリティに懸念が残る場合には、重要事項説明書等の電磁
物件が所在する地方自治体の定める条例等により、宅建業法で定める重要事項説明に加えて「説明」が義務づけられている事項がある場合があります。
その際は、その説明にITを活用するかについては、条例を定める地方自治体の方針に従う必要がありますので、事前に地方自治体に確認することが望ましいと考えられます。
「重要事項説明の実施に先立ち、宅建士により記名された重要事項説明書及び添付書類を、説明の相手方に送付している必要がある」とのことですが、IT重説の場合、送付時点で改変されていないかどうかを確認することができる措置が必要ですか。
IT重説を行う前までに必要となります。
重要事項説明書の案を送付するなど、最終的にIT重説時に交付して説明する重要事項説明書ではない場合には、改変されていないかどうかを確認することができる措置は必要ありません。
そのため、IT重説の実施状況を録画・録音する場合には、トラブル防止の観点から、「相手方から明示的な同意を得る」ことが望ましいと考えられます。
IT重説に際して取得した録画・録音記録は、どのくらいの期間、管理する必要がありますか。
IT重説の実施状況の録画・録音記録は、宅建業者の判断で取得するものであることから、原則として宅建業者の判断で、保存期間を定めることになります。
ただし、録画・録音記録は、説明の相手方の個人情報に該当するので、利用目的の範囲を超えて管理することは妥当ではありませんので、取得に際しての利用目的に違背しないかを確認することが必要です。
IT重説を開始したところ、録画・録音の同意を取得した説明の相手方以外の者が一緒に参加していました。
個人情報保護との関係でどのように対応すればよいでしょうか。
個人情報保護に関する同意は、説明の相手方からのみ取得しているので、その効力はその他の方には及びません。
そのため、一旦IT重説を中止し、他の参加者からも同意の取得等を行うか、または、同席されている方の離席を促す必要があります。
サブリース業者は、マスターリース契約の相手方となろうとする者の承諾を得て、重要事項説明書に記載すべき事項を電磁的方法(電子書面等)により提供することができます。
その場合は、以下の ① 及び ② に留意する必要があります。
また、重要事項の説明にテレビ会議等のオンラインで実施する(IT重説)に当たっては、③ に掲げるすべての事項を満たしている場合に限り、対面による重要事項の説明と同様に取り扱うこととします。
なお、説明の相手方に事前に重要事項説明書等を読んでおくことを推奨するとともに、重要事項説明書等の送付から一定期間後に、IT重説を実施することが望ましいです。
① 電磁的方法により提供する際の相手方の承諾
電磁的方法により重要事項説明書を提供しようとする場合は、相手方がこれを確実に受け取れるように、用いる方法(電子メール、WEBからのダウンロード、CD-ROM等)やファイルへの記録方法(使用ソフトウェアの形式やバージョン等)を示した上で、電子メール、WEBによる方法、CD-ROM等相手方が承諾したことが記録に残る方法で「承諾」を得ること。
② 重要事項説明書を電磁的方法で提供する場合の留意事項
重要事項説明書を電磁的方法で提供する場合、出力して書面を作成でき、改変が行われていないか確認できることが必要です。
例えば、電子署名等の活用も考えられます。
③ 重要事項の説明をオンラインで実施する場合の取扱いについて
重要事項の説明にテレビ会議等のオンラインで実施するに当たっては、次に掲げるすべての事項を満たしている場合に限り、対面による重要事項の説明と同様に取り扱うこととします。
a. 説明者及び重要事項の説明を受けようとする者が、図面等の書類及び説明の内容について十分に理解できる程度に映像を視認でき、かつ、双方が発する音声を十分に聞き取ることができるとともに、双方向でやりとりできる環境において実施していること。
b. 重要事項の説明を受けようとする者が承諾した場合を除き、重要事項説明書及び添付書類をあらかじめ送付していること。
c. 重要事項の説明を受けようとする者が、重要事項説明書及び添付書類を確認しながら説明を受けることができる状態にあること並びに映像及び音声の状況について、説明者が説明を開始する前に確認していること。
入居者への対応について
重要事項説明において、サブリース業者が行う「維持保全の内容」についてどのような方法(対面での説明、書類の郵送、メール送付等)で入居者に周知するかについて説明させることとしています。
その説明のとおりにサブリース業者が入居者への周知を行うことで、入居者は、どのような維持保全が行われるのか、トラブル等の場合の連絡先はどこか把握することができ、これにより、入居者の居住の安定を図ることとしています。
また、マスターリース契約が終了した場合は、オーナーがサブリース業者の転貸人の地位を承継することとなることを含めて、サブリース業者と入居者の間の転貸借契約を締結するに当たり、入居者が契約の内容を正しく理解した上で、契約を締結することができるよう、事前に転貸借契約の内容を説明するようにしましょう。
参考資料など
〇解釈運用の指針
・宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方【溶け込み】【新旧】(令和4年5月18日以降)
・宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方別紙2(
〇プレスリリース
・報道発表資料
「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」について(国土交通省)
宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(PDF形式)
別添1(PDF形式)
別添2(PDF形式)
別添3・重要事項説明の様式例(PDF形式)
別添4・建物状況調査の結果の概要(重要事項説明用)(PDF形式)
(改正前)
宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方【旧】(PDF形式)令和4年5月17日まで
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