不動産オーナーや投資家がマスターリース契約をする際には、サブリース業者がどんな会社なのか、その規模や業績は気になるところだと思います。
しかし、上場していない企業だと、その内容や財務状況を調べることは難しいですよね。
実は、サブリース新法では、マスターリース契約を締結しようとする特定転貸事業者(サブリース業者)に関する「書類の閲覧」の規定があります。
契約を検討しているオーナーがサブリース業者に要請すれば、業者の業務・財務の状況を記載した書類を閲覧することができるのです。
このコンテンツでは、サブリース業者の業務・財産の状況を記載した「書類の閲覧の規定」について解説しています。
このコンテンツを読むと、不動産オーナーや投資家はサブリース業者について、マスターリース契約の前に確認することができます。
オーナー側が事前にサブリース業者の状況を把握し、マスターリース契約を締結するかどうかの判断材料にしましょう。
サブリース新法の「書類の閲覧」規定とは(第32条)
賃貸住宅管理業法 第32条 【書類の閲覧】
特定転貸事業者は、国土交通省令で定めるところにより、当該特定転貸事業者の業務及び財産の状況を記載した書類を、特定賃貸借契約に関する業務を行う営業所又は事務所に備え置き、特定賃貸借契約の相手方又は相手方となろうとする者の求めに応じ、閲覧させなければならない。
サブリース新法の第32条では、書類の閲覧について記載されています。
特定転貸借事業者(サブリース業者)は、事業年度ごとに当該事業年度経過後 3月以内に作成し、遅滞なく営業所または事務所ごとに備え置く必要があります。
たとえば、事業年度末が3月31日の場合、前年4月1日~当年3月31日の1年間における契約額などを把握し、同年6月末までに備え置く必要があります。
据え置かれた日から起算して3年を経過するまでの間は、営業所または事務所に備え置き、当該営業所または事務所の営業時間中に閲覧の希望があった場合は閲覧させる必要があります。
どのような書類が閲覧できるのか
【備え置きが必要な書類】
① 業務状況調書
② 賃借対照表および損益計算書
③ またはこれらに代わる書面
①「業務状況調書」の各項目の記載内容(期間、契約件数、契約戸数)
●特定賃貸借契約(マスターリース契約)の件数
事業年度における事業年度末日時点で契約状態にある件数
●契約額
事業年度期間中に契約の相手方に支払われる額
●契約の相手方の数
事業年度における事業年度末日時点で契約状態にある数
●契約棟数
事業年度における事業年度末日時点で契約状態にある数
●契約戸数
事業年度における事業年度末日時点で契約状態にある数
また、③の「これらに代わる書面」とは、貸借対照表、損益計算書などが包含される有価証券報告書や外資系企業が作成する同旨の書面、または商法上作成が義務付けられる商業帳簿等が考えられます。
上記書類は、出力できる形であれば「電子データ」として保管しておくことも可能です。
電子計算機に備えられたファイルまたは磁気ディスク等に記録され、必要に応じ営業所または事務所ごとに電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面に表示される状態であれば、必ずしも紙面にて公開しておく必要はありません。
不動産オーナーや投資家の注意点
賃貸住宅経営にてマスターリース契約を検討する際には、サブリース業者の書類を閲覧することが重要です。
サブリース業者の事務所・営業所を訪問して閲覧をすることが可能です。
サブリース業者の規模や業務状況を確認することは、マスターリース契約をするための重要な判断材料となります。
また、事業所や営業所を訪問することで、サブリース業者の社内の雰囲気も肌で感じ取ることができます。
決算書(貸借対照表・損益計算書など)を読むのが苦手な方は、税理士やファイナンシャルプランナーに同行してもらって確認しても良いでしょう。