サブリース新法(賃貸住宅管理業務等の適正化に関する法律)では、不動産オーナーや投資家がサブリース業者とマスターリース契約をする際には、事前の「重要事項説明」が義務付けられました。
でも、重要事項説明がどのように実施されるのかについては、不安のある方も多いと思います。
実は、重要事項説明の実施には、サブリース業者に対して国土交通省がさまざまなポイントを指導しています。
なぜなら、サブリース業者がマスターリース契約のリスクを十分に説明せず、不動産オーナーとトラブルに発展するケースが増えているためです。
このコンテンツでは、国土交通省が推奨している「重要事項説明」が実施される方法とそのポイントを解説しています。
このコンテンツを読むことで、不動産オーナーや投資家が「重要事項説明を受ける際のポイント」をおさえることができます。
サブリース事業のトラブルを防ぐためにも、重要事項説明の正しい実施方法を見ていきましょう。
目次(もくじ)
重要事項説明をする担当者・資格などを確認する
サブリース業者が重要事項の説明をする際、「どのような者に説明をさせなければならないか」(資格)については、法律上の定めはありません。(サブリース新法)
そのため、一定の実務経験を有する者、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士など、「専門的な知識及び経験を有する者によって説明が行われることが望ましい」とされています。
重要事項について正確な情報を適切に説明することで、オーナーとなろうとする者が十分に理解をした上で契約締結の意思決定ができるようにする、ということがポイントです。
オーナー側は、重要事項の説明者が「どのような資格や実務経験を持っているのか」をできるだけ確認するようにしましょう。
たとえば、重要事項説明の日時が決まったら、説明者が保有する資格やキャリアについて事前に聞いておくのも良いでしょう。
また、重要事項説明の「代理・委任」は認められていません。
これは、契約の責任関係を明確にするというサブリース新法の趣旨によります。
処罰規定もあることから、処罰対象となり得る「サブリース業者が説明する」必要があります。
重要事項説明のタイミングを確認する
不動産オーナーや投資家にとっては、賃貸住宅経営におけるマスターリース契約の締結に当たって「リスクも含めた十分な理解」が不可欠です。
オーナーとなろうとする者が契約意思が安定した状態で契約を締結できるように、マスターリース契約の内容やリスク事項を十分に理解するための「熟慮期間」が必要です。
そのため、マスターリース契約を締結するための重要な判断材料となる重要事項の説明から契約締結までに、1週間程度の十分な期間をおくことが望ましいとされています。
オーナー側は、事前に重要事項説明書等を送付してもらい、しっかりと内容を把握した上で重要事項説明を受けましょう。
重要事項説明を受けた日にすぐにマスターリース契約を締結することはなるべく避
サブリース業者が重要事項の説明後すぐにその場で契約締結を求めてくるよう
サブリース業者が提示するタイミングやスケジュールを鵜呑みにせず、「マスターリース契約の締結をする判断を行うまでに十分な時間をとる」ことが重要です。
オーナー側の要望に真摯に対応しないサブリース業者には注意が必要です。
重要事項説明は対面または IT でおこなわれる
サブリース新法の重要事項説明は、基本的に「直接の対面での説明」が必要となります。
または、いわゆる「 IT重説」の活用も可能としています。(国土交通省)
ITを活用した重要事項説明は、オーナー側の承諾が必要になります。
映像と音声でのリアルタイムにより、サブリース業者がオーナー側の認識の確認や質問に答えられる環境にあるのかどうかが重要です。
IT重説が対面による重要事項説明と同様に取扱われるためには、次の事項を満たす必要があります。
重要事項説明を受けるオーナー側も、条件を把握しておきましょう。
・双方が発する音声を十分に聞き取ることができる
・双方向でやりとりできる環境において実施していること
・重要事項説明書及び添付書類をあらかじめ送付していること
・重要事項説明書・添付書類を確認しながら説明を受けることができる状態にある
・映像・音声の状況について、サブリース業者が重要事項の説明を開始する前に確認していること
また、オーナー側は事前に重要事項説明書・資料等を送付してもらい、読んでおくことが重要です。
質問やわからない点があれば、メモをして重要事項説明時に確認するようにしてください。
国土交通省は、重要事項説明書等の送付から一定期間後に、IT を活用した重要事項説明を実施することが望ましい、としています。
送付から重要事項説明の実施までは、1週間くらいの余裕は欲しいところです。
賃貸取引に係るITを活用した重要事項説明 実施マニュアル(国土交通省)
オーナー側の知識・経験・財産の状況等に応じた説明がなされるか確認する
サブリース業者は、オーナー側がサブリース新法の第30条の重要事項説明の対象となる場合は、オーナー側がマスターリース契約について一定の知識や経験があったとしても、書面に記載し、十分な説明をすることが必要とされています。
オーナー側の知識、経験、財産の状況、賃貸住宅経営の目的やリスク管理判断能力等に応じた説明を行なわなければなりません。
説明を受ける側の属性やこれまでの賃貸住宅経営の実態を踏まえて、以下の点に留意して説明を行う必要があるとしています。
② 説明の相手方の属性や賃貸住宅経営の目的等に照らして、マスターリース契約のリスクを十分に説明すること。
③ 説明の相手方が高齢の場合は、過去に賃貸住宅経営の経験が十分にあったとしても、身体的な衰えに加えて短期的に判断能力が変化する場合もあることから、説明の相手方の状況を踏まえて慎重な説明を行うこと。
重要事項説明(第 30 条関係)
賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(特定賃貸借契約の締結前の書面の交付)
特定転貸事業者は、特定賃貸借契約を締結しようとするときは、特定賃貸借契約の相手方となろうとする者(特定転貸事業者である者その他の特定賃貸借契約に係る専門的知識及び経験を有すると認められる者として国土交通省令で定めるものを除く。)に対し、当該特定賃貸借契約を締結するまでに、特定賃貸借契約の内容及びその履行に関する事項であって国土交通省令で定めるものについて、書面を交付して説明しなければならない。
2 特定転貸事業者は、前項の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、当該特定賃貸借契約の相手方となろうとする者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。この場合において、当該特定転貸事業者は、当該書面を交付したものとみなす。
まとめ(不動産オーナー・投資家の注意点)
不動産オーナーや投資家が、重要事項説明を受ける際に注意する内容を解説しました。
サブリースを利用した賃貸住宅経営・不動産投資をする場合は、サブリース業者が新法に沿った運営をしているかどうかを見極めることが重要です。
そのためには、オーナー側もサブリース新法の知識を身につけなければなりません。
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