サブリース新法「重要事項説明」の規定の趣旨とは?

B!
サブリース新法(賃貸住宅管理業務等の適正化に関する法律)の第30条では、サブリース業者に「重要事項説明」を義務付けています。
サブリース業者がオーナー候補にマスターリース契約の内容を十分に説明せず、後にトラブルに発展するというケースが増えているためです。
不動産オーナーや投資家は、サブリース業者に「重要事項説明」の義務が課されることになった趣旨をよく理解しておきましょう。
サブリース方式のリスクを正しく把握して、賃貸経営のトラブルを防止することが重要です。

重要事項説明が義務化された背景を理解しよう

 

賃貸住宅をめぐっては、少子高齢化や単身世帯の増加、外国人居住者の増加等の社会経済情勢の変化に伴い、国民の生活基盤としての賃貸住宅の役割の重要性が増しています。
一方、賃貸住宅の賃貸人については、相続等に伴って事業を開始するなど、事業経験の浅いオーナーが増加するとともに、 管理受託やサブリース方式による事業の実施が増加しています。
このような中、サブリース事業については、サブリース業者とのマスターリース契約が適切に締結されないという事態が多発しています。
マスターリース契約の勧誘や締結を促す広告をおこなう際に、オーナーとなろうとする者にサブリース方式での賃貸経営に係る潜在的なリスクを十分に説明しない、と言うケースが多く見られます。
具体的には、マスターリース契約に基づいてサブリース業者が支払うべき家賃に関するリスク(例:将来的に家賃の額が変更される可能性)、マスターリース契約の解除の条件(例:賃貸人か らの解約には正当事由が必要)等を明らかにしない、などがあります。
オーナーとなろうとする者が内容の真偽や適否を判断することが難しく、契約内容等を理解せず誤認したままマスターリース契約を締結することで、家賃減額や契約解除等を巡るトラブルが発生しているという実態があるのです。

重要事項説明義務化の趣旨(サブリース新法)

重要事項説明が義務化された趣旨を理解しよう

 

サブリース新法(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律)では、誇大広告等の禁止、不当な勧誘等の禁止とともに「特定賃貸借契約の締結前の書面(重要事項説明書)の交付」の規制が設けられています。(令和2年12 月15日より施行) 
賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律
第30条(特定賃貸借契約の締結前の書面の交付) 

特定転貸事業者は、特定賃貸借契約を締結しようとするときは、特定賃貸借契約の相手方となろうとする者(特定転貸事業者である者その他の特定賃貸借契約に係る専門的知識及び 経験を有すると認められる者として国土交通省令で定めるものを除く。)に対し、当該特定賃貸借契約を締結するまでに、特定賃貸借契約の内容及びその履行に関する事項であって国土交通省令で定めるものについて、書面を交付して説明しなければならない。 
2 特定転貸事業者は、前項の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、当該 特定賃貸借契約の相手方となろうとする者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。この場合において、当該特定転貸事業者は、当該書面を交付したものとみなす。
サブリース事業において、オーナーとなろうとする者は、賃貸住宅を賃貸する事業の経験・専門知識に乏しい場合もあり、サブリース業者との間では、経験・専門知識等に大きな格差があるといえます。
サブリース業者の中には、このような格差を利用し、将来的な家賃の減額等が生じる可能性があるにも関わらず、マスターリース契約の締結に当たり、家賃改定条件、契約解除条件等について、 オーナーとなろうとする者に十分な説明を行わないケースも。
マスターリース契約の内容を誤認させたまま、契約を締結させる悪質業者が存在し、オーナーとの間で大きなトラブルが多発しているのです。
 
オーナーとなろうとする者が契約内容を正しく理解した上で、適切なリスク判断のもと、マスターリース契約を締結することができる環境を整えることが不可欠です。
このため、サブリース新法では、サブリース業者に対し、契約締結前に、オーナーとなろうとする者に書面を交付し、説明することを義務づけているのです。
 

不動産オーナー・投資家の注意点

賃貸住宅経営の注意点を確認しよう

 

サブリース事業のトラブルを防止するためには、適法な勧誘と広告、契約前の重要事項説明の実施と書面の交付がなされなければなりません。

オーナー側もサブリース新法で「重要事項説明」が義務付けられた背景や趣旨をよく理解しておく必要があります。

 

また、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律では、賃貸住宅の管理会社がオーナーと管理受託契約を締結する際に「管理受託契約重要事項説明」の実施と書面の交付も義務付けています。

これは一般的な管理受託契約が対象となりますが、サブリース方式(マスターリース契約)の場合も注意が必要です。

 

マスターリース契約ではサブリース事業者が賃貸住宅を「一括借上げ」し、サブリース業者がオーナーの代わりに物件の維持や保全を行ないます。

オーナーはサブリース業者と「管理受託契約」も締結している状態といえますが、新たな契約書を締結するとなると手続きが煩雑になってしまいます。

そのため、特定賃貸借契約(マスターリース契約)の際は、管理受託契約の内容を「特定賃貸借契約重要事項説明書」に記載し、「管理受託契約重要事項説明」をおこなうことができます。

 

サブリース方式には様々な契約や重要事項説明が伴います。

不動産オーナーや投資家は、それぞれの趣旨や内容を十分に理解しておくことが重要です。

 

「重要事項説明」の詳細は、下記のコンテンツでまとめています。
最新の記事はこちらから