「不当な勧誘等の禁止」の趣旨とは?
「不当な勧誘等の禁止」の趣旨について解説

 

 

サブリース事業では、建設業者、賃貸住宅・土地等の売買仲介を行う不動産業者等が、サブリース業者と連携していることが多くあります。

そして、サブリース事業を検討している者(オーナー)に対して「勧誘」を行うことが一般的に行われています。

 

このような「サブリース業者以外の勧誘を行う者」の一部が、オーナーに対して「不当な勧誘」を行うケースがあります。
サブリース事業に関するリスクの十分な説明なしに勧誘が行なわれると、マスターリース契約の締結後にトラブルに発展してしまいます。
不動産オーナーや投資家は、サブリース新法が規定する「不当な勧誘等の禁止」の趣旨について良く理解して、トラブルや損害を被らないように備えましょう。

不当な勧誘等(規定)の趣旨について

悪徳なサブリース業者は、建設業者、賃貸住宅・土地等の売買仲介を行う不動産業者等に「勧誘をゆだねる」ことで、勧誘の規制を免れようとするかもしれません。

勧誘の委託を受けた建設業者や不動産業者は、自己の利益(建築契約や仲介手数料など)につなげるために、オーナーとなろうとする者に対して、 サブリース業者と締結する「マスターリース契約に関する内容やリスクを誤認」させるケースがあります。

その結果、契約締結後にトラブルに発展する事態が生じています。
特に「建設業者や不動産業者」が介在し、十分な資産を有さない者が住宅建設や不動産購入のために多額の融資を受ける場合に、トラブルに発展することが多くなっています。
このため、サブリース新法においては、サブリース業者がマスターリース契約の締結についての勧誘を行わせる者を「勧誘者」と位置づけ、勧誘者に対しても、誇大広告等の禁止(法第 28 条)及び不当な勧誘等の禁止(法第 29 条)を義務づけています。
賃貸住宅管理業法(サブリース新法)の第29条では、以下の行為を禁止しています。
「不当な勧誘等の禁止」
・サブリース業者・勧誘者が、マスターリース契約の締結の勧誘をするに際し、又はその解除を妨げるため、マスターリース契約の相手方又は相手方となろうとする者(オーナー等)の判断に影響を及ぼすこととなる重要な事項について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為

・サブリース業者等によるマスターリース契約に関する行為であって、オーナー等の保護に欠ける行為

用語について(不当な勧誘等の禁止 第29条)

サブリース新法(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律)では、サブリース業者とサブリース事業の勧誘者に対して、「不当な勧誘等の禁止」を義務付けています。 

第29条の条文とその用語を見ていきましょう。
 
賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律 (不当な勧誘等の禁止) 第 29 条 
特定転貸事業者等は、次に掲げる行為をしてはならない。 
特定賃貸借契約の締結の勧誘をするに際し又はその解除を妨げるため特定賃貸借契約の相手方又は相手方となろうとする者に対し、当該特定賃貸借契約に関する事項であって特定賃貸借契約の相手方又は相手方となろうとする者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為 

二 前号に掲げるもののほか、特定賃貸借契約に関する行為であって、特定賃貸借契約の相手方又は相手方となろうとする者の保護に欠けるものとして国土交通省令で定めるもの 

 

「特定賃貸借契約の締結の勧誘をするに際し」について 
オーナーとなろうとする者がいまだ契約締結の意思決定をしていないときに、サブリース業者等が、当該者とマスターリース契約を締結することを目的として、又は当該者に契約を締結させる意図の下に働きかけることをいう。
当該者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものについて「事実の不告知」・「不実告知」があれば足り、実際に当該者が契約を締結したか否かは問わない。 
「解除を妨げるため」について 
オーナーのマスターリース契約の解除をする意思を翻させたり、断念させたりするほか、契約の解除の期限を徒過するよう仕向けたり、協力しない等、その実現を阻止する目的又は意図の下に行うことをいう。
上記と同様、実際にオーナーの契約解除が妨げられたか否かは問わない。
特定賃貸借契約の相手方又は相手方となろうとする者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの」について 
サブリース業者がオーナーに支払う家賃の額等の賃貸の条件やその変更に関する事項、サブリース業者が行う賃貸住宅の維持保全の内容及び実施方法、契約期間に発生する維持保全、長期修繕等の費用負担に関する事項、契約の更新又は解除に関する事項等、当該事項を告げない、又は事実と違うことを告げることで、相手方等の不利益に直結するものが該当する。
「故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為」について (不告知・不実告知)
「故意に事実を告げず」とは、事実を認識しているにもかかわらず、あえてこれを告げない行為をいう。
「故意に不実のことを告げる行為」とは、事実でないことを認識していながらあえて事実に反することを告げる行為をいう。
違反した場合における本法に基づく指示、命令は故意になされた場合に限る。 
「故意に」については、内面の心理状態を示す主観的要件であるが、客観的事実によって推認されることとなるほか、サブリース業者であれば当然に知っていると思われる事項を告げないような場合については、「故意」の存在が推認されることになると考えられる。

不動産オーナー・投資家のための重要なポイント

重要ポイントを示すスーツの男性の写真画像

オーナーが注意するポイント

 

サブリース事業者等(サブリース業者又は勧誘者)が、誤った情報や不正確な情報による勧誘や強引な勧誘等、「オーナーや投資家のの意思決定を歪めるような勧誘」や、同様の方法により「契約の解除を妨げる行為」を行う可能性があります。
そうすれば、オーナーとなろうとする者は契約について正しい情報が得られず、また、契約について正しい判断ができない環境下に置かれることになり、甚大な損害を被ることになってしまいます。
 
サブリース新法では、マスターリース契約をするオーナー等を保護するために「不当な勧誘等の禁止」の規定を設けているのです。
動産オーナーや投資家は、この「不当な勧誘等の禁止」の趣旨と内容を十分に理解し、トラブルに巻き込まれないように気をつけてください。
なお、オーナー等の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものについて、国土交通省は「事実の不告知」・「不実告知」に該当すると考えられるものを例示しています。
詳細は、下記のコンテンツで解説しています。
「不当な勧誘等の禁止」について、総合的に解説したコンテンツは、下記をご覧ください。