賃貸住宅経営にも影響する「サブリース新法」が全面的に施行されています。(正式名称は「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」)
サブリース業者等に対する規制が設けられており、不動産オーナーや投資家はその内容を理解しておきたいですよね。
(参考:サブリースとは)
実は、サブリース新法で規制された主なポイントは3つあります。
- 誇大広告等の禁止(第 28 条)
- 不当な勧誘等の禁止(第 29 条)
- 契約締結前における契約内容の説明及び書面交付(第 30 条)
オーナーは、まずこの重要なポイント3つをおさえておきましょう。
筆者は、サブリース業者が用意する「マスターリース契約書」の作成に10年以上たずさわっています。
オーナー側が注意する点について熟知しているため、経験を生かして重要な点をお伝えしたいと思います。
このコンテンツでは、サブリース新法について「オーナーが知っておくべき重要な3つのポイント」をわかりやすく解説しています。
このコンテンツを読むことで、不動産オーナーはサブリース新法の基本を理解し、自身の賃貸住宅経営に生かすことができます。
誇大広告等の禁止(ポイント1)
(誇大広告等の禁止) 第 28 条
特定転貸事業者又は勧誘者(特定転貸事業者が特定賃貸借契約の締結についての勧誘を行わせる者をいう。以下同じ。)(以下「特定転貸事業者等」という。)は、第二条第五項に規定する事業に係る特定賃貸借契約の条件について広告をするときは、特定賃貸借契約に基づき特定転貸事業者が支払うべき家賃、賃貸住宅の維持保全の実施方法、特定賃貸借契約の解除に関する事項その他の国土交通省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。
賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律
サブリース業者自身または勧誘者が行うマスターリース契約の締結を促す「広告」では、オーナーとなろうとする者が賃貸事業の経験・専門知識が乏しいことをサブリース業者に利用される可能性があります。
たとえば、マスターリース契約の重要な条件等を明らかにせず、メリットのみを強調して、賃貸事業のリスクを小さく見せる表示等を行う場合など。
オーナーとなろうとする者は、広告の内容の真偽を判断することは困難であり、契約の内容等を誤認したままマスターリース契約を締結することで、甚大な損害を被ることとなります。
このため、賃貸住宅管理業法(サブリース新法)においては、著しく事実に相違する表示、または実際のものよりも著しく優良あるいは有利であるような表示、を行う行為について禁止しています。
これが「誇大広告等の禁止」です。
サブリース新法では、サブリース業者と締結する「マスターリース契約の条件」についての広告で、誇大広告等を禁止しています。
具体的には、下記において「著しく事実に相違する表示」または「実際のものよりも著しく優良あるいは有利であるような表示」を行う行為です。
- 特定転貸事業者(サブリース業者)がオーナーに支払う家賃
- 賃貸住宅の維持保全の実施方法
- 特定賃貸借契約(マスターリース契約)の解除に関する事項
- その他の国土交通省で定める省令
また、広告の媒体は、新聞の折込チラシ、配布用のチラシ、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、インターネットのホームページ等、種類を問いません。
「誇大広告等の禁止」については、下記のコンテンツで詳しく解説しています。
不当な勧誘等の禁止(ポイント2)
サブリース業者等がオーナーに対して、「誤った情報や不正確な情報による勧誘」や「強引な勧誘」等をする可能性があります。
意思決定を歪めるような勧誘や、同様の方法により契約の解除を妨げる行為を行うことがあれば、オーナー側は、マスターリース契約について正しい情報が得られません。
また、契約について正しい判断ができない環境下に置かれることになり、甚大な損害を被ることになります。
(不当な勧誘等の禁止) 第 29 条
特定転貸事業者等は、次に掲げる行為をしてはならない。
一 特定賃貸借契約の締結の勧誘をするに際し、又はその解除を妨げるため、特定賃貸借契約の相手方又は相手方となろうとする者に対し、当該特定賃貸借契約に関する事項であって特定賃貸借契約の相手方又は相手方となろうとする者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為
二 前号に掲げるもののほか、特定賃貸借契約に関する行為であって、特定賃貸借契約の相手方又は相手方となろうとする者の保護に欠けるものとして国土交通省令で定めるもの
賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(サブリース新法)
オーナーの重要な判断を促し、オーナーを保護するために、賃貸住宅管理業法(サブリース新法)では、不当な勧誘等を禁止しています。
- サブリース業者等が、オーナーの判断に影響を及ぼすこととなる重要な事項について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為
- サブリース業者等によるマスターリース契約に関する行為であって、オーナー等の保護に欠ける行為
「不当な勧誘等の禁止」については、下記のコンテンツで詳しく解説しています。
契約締結前における契約内容の説明及び書面交付(ポイント3)
マスターリース契約を締結する前に行われる「重要事項説明書」に関する規定です。
サブリース事業では、オーナー側には賃貸住宅の事業の経験・専門知識に乏しい人もいます。
サブリース業者との間では、経験・専門知識等に大きな格差があるといえます。
サブリース業者の中には、このような格差を利用し、契約内容を誤認させたまま、マスターリース契約を締結させる悪質業者が存在し、オーナーとの間で大きなトラブルが多発しているのです。
このため、オーナーとなろうとする者が契約内容を正しく理解した上で、適切なリスク判断のもと、マスターリース契約を締結することが重要になります。
サブリース新法では、サブリース業者に対し、マスターリース契約の締結前に、オーナーとなろうとする者に書面を交付し、説明することを義務づけています。(重要事項の説明・重要事項説明書の交付)
(特定賃貸借契約の締結前の書面の交付)第 30 条
特定転貸事業者は、特定賃貸借契約を締結しようとするときは、特定賃貸借契約の相手方となろうとする者(特定転貸事業者である者その他の特定賃貸借契約に係る専門的知識及び経験を有すると認められる者として国土交通省令で定めるものを除く。)に対し、当該特定賃貸借契約を締結するまでに、特定賃貸借契約の内容及びその履行に関する事項であって国土交通省令で定めるものについて、書面を交付して説明しなければならない。
2 特定転貸事業者は、前項の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、当該特定賃貸借契約の相手方となろうとする者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。この場合において、当該特定転貸事業者は、当該書面を交付したものとみなす。
具体的には、下記のような内容を規定しています。
- 重要事項の説明者
- 重要事項の説明のタイミング
- 相手方の知識、経験、財産の状況等に応じた説明
- 重要事項の説明事項(14項目)
- 重要事項の説明に IT を活用する場合
重要事項説明・書面の交付については、下記のコンテンツで詳しく解説しています。
まとめ
サブリース方式を導入する不動産オーナー・投資家は、「サブリース新法」で規定された3つの重要ポイントを理解しておきましょう。
法律の内容をチェックして、サブリース業者とのトラブルを回避し、安定した賃貸住宅経営を目指しましょう。
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