新型コロナウイルスの影響について(シェアハウス編)

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新型コロナウイルス感染症によって、シェアハウスも入居者だけでなくオーナーや管理会社に影響が出ています。

このコンテンツでは、「シェアハウス運営における新型コロナウイルスの影響」を解説しています。

シェアハウスの現状について、管理・運営経験が10年超の筆者が、プロの視点でお伝えします。

 

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シェアハウスの入居者募集への影響(コロナ)

募集活動への影響もある

 

シェアハウスでは、入居者募集への影響が出ているところも少なくありません。

住人同士が共同生活するというシェアハウスの特性上、感染症のリスクによって入居希望者が減少することはやむを得ないでしょう。

とくに、入国が制限されている外国人からの新規アクセスは減少しています。

 

入居者のシェアハウス選びの考え方も変化しています。

部屋が狭くとも都心へのアクセスがよいシェアハウスは依然として人気ですが、一方で郊外の敷地や部屋が広めのシェアハウスの需要も高まりつつあります。

その理由として、3密を避けて感染リスクを抑えたり、テレワーク普及によって通勤が不要になったりしていることが考えられます。

 

また、シェアハウスにはテレワーク(リモートワーク)のデメリットを解消する「孤独を埋める」という効果もあります。

これには産業医の大室氏も言及しています。

 

「シェアハウスに住んでる若手記者の友人。部屋は狭いがリビングにいけば誰かいる。リモートワーク下ではこの距離感はすごく居心地が良いと。 リモートワークでの孤独さは最近よく面談中にも聞きますが、確かにシェアハウスとの相性は良さそう。自分も今20代ならしていたかも。」

大室正志 | 産業医
(@masashiomuro)

/ Twitter

 

シェアハウス退去への影響(コロナ) 

退去が増えるケースもある

 

物件によっては退去者が増えているところもあるでしょう。

共同生活による感染のリスクを恐れて退去する入居者も出ていると思われます。

ただし、入居者の多くがすぐに引越しできるわけでもありません。

入居を続けている人たちのためにも、十分な感染症対策をすることが重要です。

 

また、「国際交流」というコンセプトのシェアハウスには大きな影響があった物件もあります。

大阪府内のシェアハウスでは、コロナ禍で入居者の外国人の帰国が増えて、例年95%だった入居率は80%まで下がった事例も。

ターゲットを外国人から日本人にシフトするなどの対策が必要になりそうです

 

シェアハウス管理・運営への影響(コロナ) 

筆者の関わったシェアハウスでは、過去に感染症などの影響を受けたことはほとんどありませんでした。

毎年の冬に流行するインフルエンザも、大きな問題になったことはありません。

しかし、今回の新型コロナウイルスは終息しておらず、慎重に対応する必要があります。

シェアハウスのオーナーや管理運営会社が受ける影響やその対応について見ていきましょう。

 

シェアハウス管理・運営側のコロナ対応について

管理運営側の対応が重要になる

 

同じ建物内で共同生活をするシェアハウスでは、通常のアパートやマンションよりも感染のリスクは高いといえるでしょう。

住人の誰かが感染すれば、シェアハウス内で集団感染が起こる可能性もあります。

そうなると運営側の対応はとても大変なものとなるでしょう。ハウスの運営そのものができなくなる可能性も出てきてしまいます。

特に新型コロナウイルスのような未知の感染症に対しては、被害を出したり拡大したりしないようにするためにも管理運営側の慎重な対応が重要になるでしょう。

 

(参考)
施設内での感染症の集団発生を起こさないために(東京都福祉保健局)

コロナウィルス感染症流行時の対応に関する運営ガイドライン(一般社団法人 日本シェアハウス連盟)

 

シェアハウスの清掃への影響とコロナ対策

ハウスの清掃体制を見直したい

 

シェアハウスはキッチンやトイレなど、共用部の清掃を定期的に行わなければなりません。

管理・運営においてどのような清掃の体制をとっているかがポイントになります。

シェアハウスの清掃体制には大きく3つに分かれます。

 

シェアハウスの清掃体制

  • 清掃業者に外部委託
  • オーナーや管理運営会社が行う
  • 住人による当番制

 

共用部の清掃を外部の業者に委託している場合は、これまで通り継続できるかどうかがポイントになります。

新型コロナウイルスによって清掃業者の業務に影響が出るなどして、委託できない事態となれば対策が必要になります。

誰がどのように清掃するのかを早急に決めて実行しなければなりません。

 

オーナーや管理運営会社が共用部の清掃を行なっている場合は、そのまま継続するかどうかを検討しなければなりません。

多くの人が利用する洗面所やトイレなどの共用部は、清掃者が感染する可能性も高まります。

感染のリスクを回避するために、一時的に外部の清掃業者に委託することも検討する必要が出てきます。

清掃の内容や頻度、費用などを考えて清掃業者の選定をすることになります。

 

共用部の清掃を「住人の当番制」にしているシェアハウスもあります。

この場合にも感染リスクについて十分に気をつける必要があります。

住人の誰かが感染すれば、シェアハウス内で集団感染が起こる可能性があるからです。

 

より強力な洗剤や消毒液を提供したり、清掃内容をきめ細かく指導したりするといった対応が必要でしょう。

これを機に外部の清掃業者への委託も検討せざるを得ないかもしれません。

その際には、清掃費用の負担も含めたルール変更や住人との合意形成が重要になります。

 

シェアハウスの「タイプ別」の影響(コロナ) 

物件のタイプに合った対応をする

 

運営しているシェアハウスのタイプによっても、感染症の影響は異なる可能性があります。

いくつかのタイプを取り上げて解説してみます。

 

  • 国際交流(外国人)
  • ドミトリー(相部屋)
  • 女性専用
  • 大人数のハウス
  • シングルマザー専用

 

外国人の入居者を増やして日本人との国際交流をコンセプトにしたシェアハウスは、運営が厳しい状況でしょう。

海外から入国が見込めないので、外国人入居者の集客ができない場合は日本人の入居者をメインにするなどの変更が必要になります。

 

二段ベッドなどを置いたドミトリーと呼ばれるタイプの部屋は、室内での住人の接触が増えて「三密」になりやすい状況になります。

感染防止の対策が重要になります。

 

女性専用のシェアハウスでは、洗面所の利用が多かったり、住人同士で化粧品の貸し借りなどの状況があったりする可能性があります。

シェアハウスの中には30人以上が住む大型物件もあり、ハウス内での接触回数が増えるので注意が必要です。

 

シングルマザー専用シェアハウスでは子どもへの感染が懸念され、母親の不安も大きくなるでしょう。

また、普段から友人や家族の来訪・宿泊を認めているハウスは、外からウイルスが持ち込まれる可能性が高まります。

 

このように、運営しているシェアハウスのタイプや状況によっても感染症の影響やその対応は異なるとみてよいでしょう。

オーナーや管理会社は、運営方針の見直しなど物件の状況に応じた適切な対応が重要になります。

 

 

〈事例〉コロナの影響を受けた若者のためのシェアハウス

コロナ不況のもとで家や仕事を失い、さらに借金まで抱えた若者たちが集まる「セーフティネットシェアハウス」という施設がある、というニュースがネットに掲載されていました。

運営開始は2020年8月。

10~30代の男女 計37人 が3部屋に分かれてシェア生活をしており、そのうち25人が借金を抱えているとのこと。

その一つは東京都豊島区のワンルームマンション。

12畳の部屋の中央には大きなテーブルがあり、それを囲むように5台の二段ベッドが設置されて、この部屋では現在、19~27歳の男女10人が生活しているようです。

 

シェアハウスにはこのような運営スタイルもあります。

ドミトリー」といわれる相部屋タイプのものです。

 

借金苦の若者が集うシェアハウス。男女約10人が共同生活中(週刊SPA!)

 

 

このニュースを見て、シェアハウス運営側の視点からいくつかの注意点を感じたので記載しておきます。

 

最も気になったのは、このシェアハウスが「マンションの一室」ということです。

賃貸なのか分譲なのか不明ですが、このマンションでシェアハウスの運営が認められているのかどうか。

最近ではマンションの管理規約やオーナーの意向で「シェアハウス不可」の物件も増えています。

相談や確認もなく運営すると、後のトラブル原因となりかねません。

なお、このマンション1棟のオーナーがその1室をシェアハウスとして運営しているのであれば、大きな問題はありません。

 

シェアハウスのドミトリーのイメージ

 

上記のほか、管理運営面でも気になる点があります。

 

「10人の男女がワンルームで生活」しており、記事内の写真を見ると二段ベッドは丸見えで住人のプライバシーはないようにも見えます。

男女が10人で水回りを共用するので、お風呂(シャワー)の順番や着替えなどへの配慮やルール作りが必須です。

また、貴重品の保管場所やセキュリティ対策もトラブルの防止には重要になります。

 

ドミトリー(相部屋)方式のシェアハウスは、プライバシーの確保が難しくなりトラブルも起きやすくなります。

トラブルによっては入居者に退去してもらわなくてはならないこともあります。

「生活に困っている入居者にもかかわらず退去しなければならない」というケースも予想されるわけです。

ルール作りやその徹底をしてトラブルを防止しないと、「セーフティーネットシェアハウス」という理念そのものが崩れかねないと感じました。

 

また、個室もなく狭いスペースでの共同生活では、クラスター(集団感染)が発生しかねません。

通常のシェアハウス以上に徹底した感染予防対策が重要になります。

 

シェアハウスの感染症対策について筆者の考え方 

シェアハウス運営の経験からの考え方

 

シェアハウス管理・運営の経験が10年以上ある筆者の見解を述べてみたいと思います。

まず、政府や自治体が発表する「感染者数」に一喜一憂せず、必要な対策をしっかりと実行することが重要だと考えます。

 

重症者や死亡者などの数や年齢による比率などを注視して、「シェアハウス内における感染リスク」を考えることが重要です。

大きく情勢が変化することがなければ、感染症を予防する対策を入念に行なって物件の運営を続けていくしかありません。

ただし、学生寮などの共同生活する施設で感染する事例が多発するような事態になったときは、シェアハウスの在り方も問われることになります。

 

オーナーや管理会社にとっての「最悪の事態」を想定しておくことも必要かもしれません。

それは、感染の拡大によって施設や建物が閉鎖されてしまうことでしょう。

 

入居者からの賃料収入がなくなってしまうのはもちろん、退去時には預かった保証金やデポジットも返金しなければなりません。

こうなると、オーナー業や管理会社の経営を継続することが難しくなる場合も出てくるでしょう。

最悪の事態を想定するのであれば、特別貸付や緊急融資などの検討も早めに行う必要があります。

 

新型コロナウイルスに関する相談窓口(日本政策金融公庫)

 

 

今後のシェアハウス管理・運営(コロナ対応)

シェアハウス経営の常識も変化してきている

 

新型コロナ感染症は、シェアハウス経営の常識も大きく変えようとしています。

狭くとも都心へのアクセスがよいシェアハウスだけでなく、郊外の広めのシェアハウスの需要も高まりつつあります。

 

また、国際交流など外国人を積極的に入居させてきたシェアハウスの運営も厳しくなっています。

これを機にシェアハウスのコンセプトを見直す管理運営会社も増えるでしょう。

 

これまでのようなシェアハウス運営は難しくなりつつありますが、いま重要なことは「入居者の不安を解消する」ということです。

若者の入居者が多いシェアハウスとはいえ、新型コロナウイルスに感染する不安を抱きながら共同生活することになります。

管理・運営側は、利用者にいかに寄り添えるかが今後の入居率を左右することになるでしょう。

 

 

まとめ 

シェアハウスの新型コロナウイルスの影響について、運営側から考えてみました。

ハウスの規模や運営方針などによって、感染のリスクは異なります。

「物件ごとの感染リスク」を適切に把握することが重要になります。

 

 

Ⓒシェアハウス経営の教科書

 

 

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