「誇大広告」の具体例を解説します

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サブリース新法(賃貸住宅管理業務等の適正化に関する法律)の第28条では、いわゆる「誇大広告等の禁止」が規定されました。

 

第28条(誇大広告等の禁止)

特定転貸事業者又は勧誘者(特定転貸事業者が特定賃貸借契約の締結についての勧誘を行わせる者をいう。以下同じ。)(以下「特定転貸事業者等」という。)は、第二条第五項に規定する事業に係る特定賃貸借契約の条件について広告をするときは、特定賃貸借契約に基づき特定転貸事業者が支払うべき家賃、賃貸住宅の維持保全の実施方法、特定賃貸借契約の解除に関する事項その他の国土交通省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律

 

 

このコンテンツでは、「誇大広告の具体例」などを国土交通省の資料をもとに解説しています。

不動産投資家や物件オーナーは、サブリース新法が「誇大広告の禁止」を規定していることについてその趣旨を十分に理解しましょう。

誇大広告の誤認に注意し、安心して賃貸住宅経営ができるように、サブリース新法のポイントを学んでいきましょう。

 

「誇大広告」の具体例とは?

サブリース会社等が実際に行なう「誇大広告」には具体的にどのようなものがあるのでしょうか。

サブリース新法のガイドラインでは、「著しく事実に相違する表示又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示に該当すると考えられる場合」を例示しています。

 

① サブリース業者がオーナーに支払う家賃の額、支払期日及び支払方法等の賃貸の条件並びにその変更に関する事
② 賃貸住宅の維持保全の実施方法
③ 賃貸住宅の維持保全の費用の分担に関する事項
④ マスターリース契約の解除に関する事項

 

「誇大広告」にあたる可能性のある表示(条件による)

  • 30年家賃保証!
  • 安心の30年間一括借り上げ
  • 原状回復費用・修繕費用 ゼロ
  • オーナーによる維持保全は費用負担を含め一切不要!
  • 24時間 入居者対応
  • いつでも自由に契約解除できます

 

    不動産オーナーや投資家が「誤認する可能性のある表示」をすることは、サブリース新法の第28条で「誇大広告等」として禁止されています。

    「誤認する可能性のある表示」の具体例について、詳細を見ていきましょう。

     

    誇大広告の事例(1)「サブリース業者がオーナーに支払う家賃の額・支払期日・支払方法等の賃貸の条件並びにその変更に関する事項」

    (国土交通省の資料より)

     

     

    契約期間内に定期的な家賃の見直しや借地借家法に基づき、サブリース業者からの減額請求が可能であるにもかかわらず、その旨を表示しない。

    契約の期間、家賃収入が保証されているかのように誤解されるような表示をしている。

     

    「○年家賃保証!」

    「支払い家賃は契約期間内確実に保証!一切収入が下がりません!」

    「○年家賃保証」という記載に隣接する箇所に、定期的な見直しがあること等のリスク情報について表示せず、離れた箇所に表示している。

     

     

    収支シミュレーション通りの収入を得られるわけではない、ということを表示しない。

    収支シミュレーションの前提となる仮定(稼働率、家賃変動等)を表示せず、〇年間の賃貸経営の収支シミュレーションを表示している。

    実際は、記載された期間より短い期間ごとに家賃の見直しがある。

     

     

    実際は記載の期間より短い期間で家賃の改定があるにもかかわらず、オーナーの声として「〇年間家賃収入が保証される」ような経験談を表示している。

    広告に記載された利回りが、実際の利回りを大きく上回っている表示。

    利回りを表示する際に、表面利回りか実質利回りかが明確にされていない。

    表面利回りの場合に、その旨及び諸経費を考慮する必要がある旨を表示していない。

     

     

    根拠を示さず、「ローン返済期間は実質負担0」といった表示をしている。

    根拠のない算出基準で算出した家賃をもとに、「周辺相場よりも当社は高く借り上げます」と表示している。

    「一般的な賃貸経営は2年毎の更新や空室リスクがあるが、サブリースなら不動産会社が家賃保証するので安定した家賃収入を得られます。」といった、サブリース契約のメリットのみを表示している。

     

     

    誇大広告の事例(2)「賃貸住宅の維持保全の実施方法」

    (国土交通省の資料より)

     

     

    実際にはサブリース業者が実施しない維持保全の業務を、実施するかのような表示をしている。

    実際は休日や深夜は受付業務のみ、又は全く対応されないにもかかわらず、「弊社では入居者専用フリーダイヤルコールセンターを設け、入居者様に万が一のトラブルも 24時間対応しスピーディーに解決します」といった表示をしている。

     

     

    誇大広告の事例(3)「賃貸住宅の維持保全の費用の分担に関する事項」

    (国土交通省の資料より)

     

     

    実際には毎月オーナーから一定の費用を徴収して原状回復費用に当てているにも関わらず、「原状回復費負担なし」といった表示をしている。

     

    実際には、大規模修繕など一部の修繕費はオーナーが負担するにも関わらず、「修繕費負担なし」といった表示をしている。

     

    修繕費の大半がオーナー負担にもかかわらず、「オーナーによる維持保全は費用負担を含め一切不要!」といった表示をし、オーナー負担の表示がない。

     

    維持保全の費用について、一定の上限額を超えるとオーナー負担になるにもかかわらず、「維持保全費用ゼロ」といった表示をしている。

     

    維持保全の費用について、実際には、他社でより低い利率の例があるにもかかわらず「月々の家賃総額のわずか○%という業界随一のお得なシステムです」といった表示をしている。

     

    実際には客観的な根拠がないにもかかわらず、「維持保全の費用は他社の半分程度で済みます」といった表示をしている。

     

    月額費用がかかるにもかかわらず、「当社で建築、サブリース契約を結ばれた場合、全ての住戸に家具家電を設置!入居者の負担が減るので空室リスクを減らせます!」と表示し、月額費用の表示がない。

     

     

    誇大広告の事例(4)「マスターリース契約の解除に関する事項

    (国土交通省の資料より)

     

     

    契約期間中であっても業者から解約することが可能であるにも関わらずその旨を記載せずに、「30 年一括借り上げ」「契約期間中、借り上げ続けます」「建物がある限り借り続けます」といった表示をしている。

     

    実際には借地借家法が適用され、オーナーからは正当事由がなければ解約できないにもかかわらず、「いつでも自由に解約できます」と表示している。

     

    実際には、契約を解除する場合は、月額家賃の数か月を支払う必要があるにもかかわらずその旨を記載せずに、「いつでも借り上げ契約は解除できます」と表示している。

     

     

    まとめ(オーナー・不動産投資家の注意点)

    サブリース業者等による「誇大広告の事例」について、物件所有者(オーナー)・不動産投資家の側もよく確認しておきましょう。

    誇大広告や虚偽広告から自分の身を守るための知識をたくわえることが重要です。

     

    「誇大広告等の事例」を知る
    • サブリース業者がオーナーに支払う家賃の額、支払期日及び支払方法等の賃貸の条件並びにその変更に関する事項
    • 賃貸住宅の維持保全の実施方法
    • 賃貸住宅の維持保全の費用の分担に関する事項
    • マスターリース契約の解除に関する事項

     

      「誇大広告等の禁止」について、総合的に解説したコンテンツは、下記をご覧ください。
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