【シングルマザー専用シェアハウス】経営のメリット・デメリットを解説します(オーナー・管理会社向け)

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賃貸住宅にはシングルマザー(母子家庭)を対象にした物件が存在します。(シングルマザー専用アパートなど)

実は、シェアハウスにも「シングルマザー専用」の物件があります。

複数の母子家族がシェアハウスにて共同生活するスタイルの賃貸住宅です。

東京だけでなく全国で開設したり、自治体が乗り出したりする例も出てきています。

 

このコンテンツでは、オーナーや管理会社に向けて「シングルマザー専用シェアハウス」を運営するメリット・デメリットについて解説しています。

東京のシェアハウス管理会社で10年以上の経験を持つ筆者が、事例を含めてお伝えします。

 

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シングルマザー専用シェアハウス「運営のメリット」

メリット・利点を見てみましょう(シングルマザー専用シェアハウス)

 

運営のメリット
  • 物件を「差別化」できる
  • シェアハウスの特徴を生かすことができる
  • オーナーの社会貢献にもつながる
  • 自治体のサポート・助成制度を利用できるケースもある

 

オーナーや管理会社にとって「シングルマザー専用」物件を運営する最大のメリットは、コンセプトによりシェアハウスを「差別化できる」ことです。

母子家庭を支援する賃貸住宅はまだ少なく、その中でシングルマザー専用シェアハウスは注目されています。

ひとり親に対する公的な支援策はまだまだ十分とはいえず、収入の不安定などを理由に通常の賃貸住宅で入居を断られることもあります。

そのため、シングルマザーの住宅選びにおけるブルーオーシャン(未開拓市場)と捉えることもできます。

 

また、住人同士が助け合い「大きな家族のような暮らし」が可能というシェアハウスの特徴を生かすことができます。

シングルマザーという同じ境遇や悩みを共有し、協力して家事や子育てをしながら生活することができるのです。

シェアハウスでの共同生活によって、母親や家庭が孤立することを防ぐことにもつながります。

 

シングルマザーに住宅を提供することは、物件のオーナーにとっては少子化対策や社会的弱者支援という社会貢献にもつながります。

公的な「住宅セーフティーネット制度」によって、改修(リフォーム)費用の補助が利用できる場合もあります。(建物の耐震性など一定の基準あり)

自治体ごとに独自の制度を設けているケースもあるので確認してみましょう。

たとえば、東京都文京区では住宅オーナーに入居の謝礼が支払われる「文京すまいるプロジェクト」という取り組みを行なっています。

シングルマザー専用シェアハウス「運営のデメリット」

次に「デメリット」をみていきましょう。

管理・運営にあたっては、4つのデメリットがあります。

 

  • 立地面(利便性など)
  • ハード面(建物・設備など)
  • ソフト面(管理・運営など)
  • 契約面(退去など)

 

それぞれを順番に解説していきます。

 

立地面(利便性) デメリット①

立地と利便性が重要なポイントになる

 

シングルマザー専用のシェアハウスは、基本的に「利便性の高い立地」でないと難しいでしょう。

特に都心では最寄り駅まで徒歩5分以内、物件や最寄り駅の近くに保育施設がある、などの条件が必要になってきます。

利便性が高い立地では、オーナーは家賃や共益費を高くせざるを得ません。

その際は、近くに保育園がある地域などを選び、収支を慎重に見極めることが重要になります。

 

最近はコロナ禍でテレワークを導入する企業も増えています。

立地がやや不便でも在宅勤務やテレワークがしやすい物件であれば、運営が可能になるかもしれません。

たとえば、シェアハウス内にワークスペースがあったり、物件の近隣にリモートワークが可能なシェアオフィスやカフェがあったりすれば、集客が可能になるとも考えられます。

 

ハード面(建物) デメリット②

通常のシェアハウスよりも広めの個室と共用部が必要になる

 

シングルマザー向けのシェアハウスはお子さんと生活するため、個室の面積が10平米~20平米くらい(6畳~12畳)とシェアハウスの部屋としては通常よりも広さが必要になります。

そのため、単身者向けのシェアハウスよりも全体の部屋数は少なくなります。

また、ベビーカー置き場や子どもが遊べる広めのリビングなど、住人が利用する「共用部」のスペースを通常のシェアハウスよりも多く取らなければなりません。

家賃や共益費などを適切に設定しないと、オーナーや管理会社の利益が確保できないので注意が必要です。

設定した家賃・共益費で入居者の募集ができるのか、シェアハウス企画のスタート前に需要や可能性のマーケティング調査が重要になります。

 

もし母子家庭向けのシェアハウスが失敗した場合には、複数の母子が住まいを失うことになります。

そして、オーナーや管理会社にとっては「個室と共用部が広いシェアハウス」という物件が残ることになります。

新たなコンセプトで入居者を募集できればよいのですが、そうでない場合は賃貸物件としては非常に難しくなってしまいます。

 

ソフト面(管理) デメリット③

トラブルに対するルール作りと対応がより重要になる

 

シングルマザー専用シェアハウスは他人同士で色々な年齢の子供との共同生活なので、オーナーや管理会社は「トラブル対応」も念頭に置かなければなりません。

一般のシェアハウスにはない様々なルールや管理を考えておく必要が出てきます。

筆者はシングルマザー専用シェアハウスを企画したり運営したりした経験はないので、実際の管理体制については不明なこともあります。

しかし、これまでのシェアハウス管理の経験から推測すると、トラブル対応や退去に関して契約内容をきちんと決めておくことが重要なポイントであるように思います。

 

  • 共用部の清掃ルール(子供がいれば物件は汚れやすくなる)
  • お風呂の順番ルール(清掃のルールも必要)
  • 子供のケンカなどトラブル時のルール 
  • 母親のうつ病などの精神疾患への対応
  • 退去時のルール

 

大人だけでなく子供がいる環境では、「契約書やハウスルール」のより細かな規則が必要になると思います。

ルールを守らない入居者がいると、他の母親や子供が大きな迷惑を受けることになりかねません。
そしてこの点をあいまいにしておくと、ハウス内の人間関係を壊してしまいます。

 

また、子育て論や食生活などで母親の意見がぶつかることもあります。

「子どもの夜泣きがひどい」といった物件に特有のトラブルもあります。

そのため、通常のシェアハウス以上に「ルールの順守を維持する仕組み」や「トラブルに迅速に対応する体制」が求められます。

 

また、風邪やインフルエンザ、コロナなどの感染症にも注意が必要です。

同じ建物内での共同生活によって感染やクラスターの発生が起こりやすいという側面があります。

 

退去など契約面 デメリット④

退去時のルールや配慮も重要なポイントに

 

筆者が個人的にもっとも難しいであろうと見ているのが、「退去」に関する規則づくりです。

契約書やハウスルールを守れない入居者が退去するのは当然なのですが、どうしても「その後のこと」を考えてしまいます。

シングルマザーとその子供たちは、シェアハウスを退去した後すぐに「次の住まい」は見つかるのでしょうか。

 

実家を頼れる人や預貯金がある人はよいのですが、そうでない人にとっては死活問題です。

もし筆者がシングルマザー専用シェアハウスのオーナーや管理担当者であれば、退去に関する対応や手続きをすることは心理的にとても苦しいのではないかと思います。

これは頻繁に起こる事例ではないかもしれませんが、オーナーや管理会社はこういったところまで考えておく必要があります。

 
住んでいる自治体に相談することをすすめても良いでしょう。
無料または格安で、一時的に住める母子生活支援施設を紹介してもらえる可能性があります。
たとえば、東京都北区の「母子生活支援施設」は、区内在住で、生活上のさまざまな問題を抱え、子ども(18歳未満の児童)の養育にお困りの母子世帯の生活と自立を支援する児童福祉施設です。
入所世帯には母子で暮らす住まいを提供し、生活福祉課と施設が連携して、就労支援など自立に向けたさまざまな援助を行なっています。
放課後は職員がついて学習室を開放し、自由な遊びや学びの場を提供し、また地域との交流を図っているとのことです。
 
 

 

成功のポイント(シングルマザー専用 シェアハウス)

シングルマザー専用シェアハウス「成功のポイント」とは

 

シングルマザー専用シェアハウスの運営を成功させるためには、先に見たデメリットを克服する必要があります。

 

  • 立地面(利便性など)
  • ハード面(建物・設備など)
  • ソフト面(管理・運営など)
  • 契約・ルール面(退去など)

 

立地面では、母親が仕事に出かけやすいだけでなく、近隣に保育所などの施設があるかどうかがポイントになります。

保育所の待機児童の状況も含め、事前のマーケティング調査が重要です。

 

数家族での共同生活になりますので、お互いが快適に暮らせる間取りや共用部の設備などのハード面も重要になります。

シングルマザー専用シェアハウスの中には、水回り設備(風呂・トイレ・洗面)を「1世帯ごとに1つずつ」設置している物件もあります。

生活しやすい設備によって入居者の満足度を上げることができ、長期の入居と安定した運営が可能になります。

ただし、建築(リフォーム)時の設備工事の金額や退去時のクリーニング費用も大きくなるので、家賃の設定や保証金(敷金)の設定を慎重に行なう必要があります。

 

また、シェアハウスなので各世帯の居室の鍵は必須です。

小さい子供が一緒に住む場合が多いので、居室内で子供一人が閉じ込められないよう、鍵の位置に気をつける必要があります。

 

共同生活を営むシェアハウスでは、明確な「ルールづくり」などのソフト面も重要なポイントです。

母親によって教育方針や価値観が異なるので、トラブルに発展する場合があるからです。

オーナーや管理会社などが入居者同士の間に立って調整する役目が求められます。

トラブル時は互いの意見を聞き、ルールにのっとった着地点を見出す必要が出てきます。

住人のトラブルや要望などを汲み上げて、ルールの変更などを柔軟・迅速に行なう体制も求められます。

 

また、シングルマザー専用シェアハウスは基本的に「子供が中学生になると卒業する」ことになります。

複数の子供がいるシングルマザーの場合は、次の住宅をスムーズに見つけられるかどうかも重要です。

 

事例の紹介(シングルマザー専用シェアハウス)

シングルマザー専用シェアハウスの事例を紹介します

 

事例の紹介 ①(東京)

たとえば、東京には最寄り駅から徒歩15分、家賃が15万円(共益費込み)を超えるシングルマザー用の物件もあります。

通常のシェアハウスでは考えられない価格ですが、平日の夕食や21時までのベビーシッター手当などが含まれているようです。

母親の所得が高い母子家庭をターゲットにしており、様々なサービスやオプションも用意して運営しています。

この物件を運営する女性は過去にキャバクラで働いていた経験を生かしているとのこと。

高い家賃や様々なサービスを設定する場合には、求められるサポートや入居者の職業も多様化することになり、管理会社の運営ノウハウが重要になりそうです。

 

 

事例の紹介 ②(大阪)

シングルマザーに寄り添ったシェアハウス運営をしている事例をもう一つ紹介します。(下記)

ハウス開設の工事費や運営収支は不明ですが、運営方法については参考になる点もあると思います。

長屋をリノベーションしたシングルマザー向けシェアハウス(大阪府大阪市)

 

 

事例の紹介 ③(大阪)

シングルマザーに対して、自立支援特化型通所介護施設(デイサービス)の仕事と住まい(シェアハウス)を同時に提供している事例もあります。
職場やシェアハウスの近隣に保育園もあり、シングルマザーが安心して仕事と生活ができる環境を構築しています。
事例の紹介④(大阪)

滞在できるのは最長2年間のシングルマザー向けシェアハウス。

その間に自立できるよう様々な相談、自立へのアドバイス、就職先の紹介なども行ってくれるとのこと。

レンタルスペースなどが併設されていますが、外部の利用者がいるとシェアハウスのプライバシーが気になるところです。

事例の紹介⑤(名古屋)
困窮する母子世帯が陥りがちな「負のスパイラル」を断ち切ろうと、NPOが「住まい」を足がかりに支援する活動を始めた事例。
息の長い支援ができるよう収益性も重視した仕組みが注目を集めています。

 

 

苦戦している事例

地方ではシングルマザー専用シェアハウスが苦戦している事例もあります。

群馬県では県営住宅を母子家庭向けのシェアハウスにしましたが、なかなか難しいようです。

 母子家庭の支援に向けて県が本年度、前橋市広瀬町の県営住宅に整備したシェアハウスの利用が伸び悩んでいる。

(2019年)6月から2回にわたり入居者を募集したが、受け入れ可能な7世帯のうち、入居したのは1世帯にとどまる。

県は住民同士で協力しやすい特色や、学習支援など子育ての拠点が併設されることをアピールし、利用を増やしたい考えだ。

母子シェアハウス低調 2度募集も…入居1世帯(上毛新聞 2019.8.24)

 

シングルマザー専用シェアハウス 今後の動きについて

母子世帯を支援する一環としてシェアハウスが注目されている

 

シェアハウスの物件情報などを提供するサイト「マザーポート」がシングルマザー100人を対象にアンケートを行なっています。

その結果には、下記のような意見も寄せられています。

 

「子どもと同世代の子育て世帯が住んでいる物件がオススメ」

「困ったときには助け合ったり、ママ友コミュニティで情報共有したり、一緒に遊んだり。そんな関係を構築できる環境がいい」

 

シングルマザー専用シェアハウスは、夫のドメスティックバイオレンス(DV)から逃げる場所としての役割も期待されています。

DVでうつ病を発症したり、居場所を知られている不安やおびえながらの暮らしがあったりすると、母親の心身の不調が長引くこともあります。

一方で、シェアハウスのオーナーや管理会社が精神疾患のある母親に困っている、という報告もあります。

 

厚生労働省「全国ひとり親世帯等調査」によると、平成28(2016)年は母子世帯数は、123.2万世帯であり,ひとり親世帯の86.8%が母子世帯となっています(I-5-9図)。

 

I-5-9図 母子世帯数及び父子世帯数の推移

 

一方で,厚生労働省「国民生活基礎調査」(平成28年) によると, 母子世帯のうち37.6%が年間所得額200万円未満であり,45.1%が生活を「大変苦しい」と感じています。

 

ひとり親の孤立や貧困を防ごうと全国の運営事業者がノウハウを共有する取り組みが始まっています。

2018年から「母子世帯向けシェアハウス全国会議」が開かれており、シェアハウス事業者らが情報交換を進めています。

また、自治体がシェアハウスの開設に乗り出す例も出てきていますが、先に紹介した事例のようにうまくいっていないものもあります。

 

テーマやコンセプトを設定したシェアハウスは、一般的なシェアハウスとは異なる管理体制とその対応力が求められます。

オーナーが「自主管理」でテーマ・コンセプトのあるシェアハウスを運営する場合でも注意が必要です。

シェアハウスはオーナーの想いやコンセプトを物件に反映することもでき、やりがいも大きいといえるでしょう。イベントやパーティを主催することもできます。

 

しかし一般のアパートやマンションと比較して、シェアハウスの管理業務はとても多岐にわたります。

たとえば、消耗品の補充などの「きめ細かい管理」が必要になります。

日常的に住人と接する機会も多くなるので、シェアハウスの管理運営は「人付き合い」が好きでないと務まりません。

 

(参考)
マザーポート(シングルマザー向けシェアハウスを探すサイト)
https://motherport.net/

 

女性特有の妬みや僻みも“シングルマザー専用”シェアハウスの問題点 | AERA dot. (アエラドット)

 

最新ニュース(シングルマザーシェアハウス)

ひとり親世帯向けシェアハウスの基準が新設

 

国土交通省は2021年4月、「ひとり親世帯向けシェアハウス」の基準を新設。

必要な面積、入居者の定員および設備等を定め、セーフティネット住宅への登録を可能としました。

近年、ひとり親世帯が入居可能なシェアハウスを、家賃低廉化補助等を活用できるセーフティネット住宅として登録するニーズが高まっていることを受け、同省では、ひとり親世帯向けシェアハウスについて一定の事例を蓄積することができたことから、新たな基準を設けることとしました。

 

ひとり親世帯向けシェアハウスの基準は、住宅全体の面積が 15平方メートル ×(ひとり親世帯向け居室以外の入居可能者数)+ 22平方メートル ×(ひとり親世帯向け居室の入居可能世帯数)+ 10平方メートル以上。

専用居室の面積を12平方メートル以上(造り付けの収納面積を含む)としています。

専用居室の入居者は、ひとり親世帯(親+子)1世帯。

共用部分に居間・食堂・台所、便所、洗面、洗濯室(場)、浴室またはシャワー室を設ける(専用部分に備えられている場合を除く)とし、バスタブを有する浴室を少なくとも1室設置することなどを定めています。

 

従来は、専用居室に複数人が入居するシェアハウスは地方自治体が賃貸住宅供給計画により緩和しない限り、セーフティネット住宅の登録を受けられませんでした。

ひとり親世帯向けシェアハウスの基準の新設は、国土交通省から各自治体に対する通達も出されています。

自治体が制度を設けている地域の物件を「セーフティネット専用住宅」として登録すれば、オーナーは家賃低廉化や改修のための補助を得ることができます。

特に家賃低廉化補助、つまりオーナーに支給される家賃補助にあたるものは、国と自治体の負担分をあわせると最大で月4万円。

その分、賃料を下げることができるので、入居するひとり親世帯の負担を軽くすることができます。

 

興味のある方は、シングルマザーのシェアハウス運営・管理や補助金などについて、各自治体に確認してみましょう。

 

ひとり親世帯向けシェアハウスの基準の新設の詳細は、下記から確認できます。

001397999.pdf (mlit.go.jp) 国土交通省

 

まとめ(シングルマザー専用シェアハウス)

シングルマザー専用シェアハウスの運営を成功させるためには、通常の賃貸住宅以上にビジネスとしての視点が必要です。

シェアハウス運営を検討しているオーナーや管理会社は、そのメリット・デメリットを見極めて判断することが重要です。

 

シングルマザー専用シェアハウス(まとめ)
  • 共同生活であるシェアハウスの特徴を生かした物件を提供できるメリットがある
  • 複数の母親や子どもが暮らす上での間取りやルール作りが必要
  • 企画時のマーケティング調査による採算性のチェックが不可欠
  • 長く安定して運営ができる仕組みが重要になる

 

Ⓒシェアハウス経営の教科書

 

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