サブリース・マスターリースの仕組み:図解:写真画像
サブリース方式(国土交通省)

 

「サブリース(転貸借)事業者」に初めて法規制がかかります。

2020年(令和2年)6月、不当な勧誘の禁止や重要事項の書面での説明義務を事業者に課す新法が成立しました。(時事通信

そして、新法のサブリースに関する部分は、2020年12月15日 に施行されています。

 

「絶対に損はしない」といった不当な広告や勧誘を禁止し、家賃収入が保証される期間や条件などについて書面で説明することをサブリース業者に義務づけます。(重要事項説明

 

このコンテンツは、「サブリース新法とは」「サブリース事業者に対する法規制」についてわかりやすく解説しています。

サブリース方式で問題となった、かぼちゃの馬車の物件やスルガ銀行の事例も取り上げています。

 

物件オーナーや管理会社の人は、新たな法規制の情報をチェックしてスムーズに対処できるようにしておきましょう。

 

東京で20棟・300室のシェアハウス管理・運営において10年超の経験を持ち、物件オーナー(所有者)に対する「サブリース関係の契約書の作成と締結」を実際に行なってきた筆者が、プロの視点から解説します。

 

※新法では「賃貸住宅管理業」の規制もしています。詳細は、下記のコンテンツで解説しています。

 

 

 

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【サブリース新法の最新情報】

国土交通省から「ガイドライン」が発表

 

サブリース新法の中でも、サブリース業者とオーナーとの間の賃貸借契約の適正化に関する措置(令和2年12月15日施行)について、具体的な規制の対象を事例等で明示した「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン」が国土交通省から発表されました。

 

ガイドラインのポイント(サブリース新法)
・誇大広告等の禁止(第28条)
・不当な勧誘等の禁止(第29条)
・契約締結前の内容の説明・書面交付(第30条・31条)

国土交通省の担当者に(直接)確認したところ、まだ確固たる基準が完成したわけではないとのこと。

今回のガイドラインを事業者や業界団体に実務を通じて改善しながら運用し、業界の健全化と質の向上につなげていってほしいとしています。

 

ガイドラインの詳細は 国土交通省 の資料から確認ができます。

・サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン(PDF形式)PDF形式
・サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドラインのポイント(PDF形式)PDF形式

 

 

国土交通省が新法のオンライン説明会を公開(YouTube)

賃貸住宅管理業法の施行に向けたオンライン説明会(サブリース関係)が4回にわたり開催されました。

 

説明会の内容は、YouTube動画で閲覧することができます。(質疑応答もあり)

 

 

 

 

国土交通省が注意喚起のリーフレット・チラシ作成

サブリース新法(2020年12月15日 一部施行)について、国土交通省は消費者庁と金融庁と連携して注意喚起リーフレット・チラシを作成しています。
賃貸住宅経営(サブリース方式)を検討している方や貸主が建物の所有者でない賃貸住宅(サブリース住宅)に入居される方に対し、特に注意すべきポイントを掲載したリーフレッ ト・チラシとなっています。

 

サブリース法規制の内容について

規制の写真画像

サブリース事業者に対する法規制が導入されます

 

サブリース方式について国土交通省が法規制を強化するのは、物件所有者(オーナー)とサブリース業者とのトラブルが目立ってきていることがあります。

新法の正式名称は、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」です。(以下、「サブリース新法」と呼びます。)

 

新法の規制について

新法は、以下の2つの柱から成り立っています。

 

1. 全サブリース業者への規制・罰則など

2. 賃貸住宅管理業者の登録義務付け

 

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律案の概要の写真画像

「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律案」の概要

 

これまでは、サブリース方式について直接的に規制する法律はありませんでした。

しかし令和2年(2020年)6月、悪質業者の排除に向けて新法が制定され、12月15日から「サブリース規制」に関する部分が施行されました。

 

サブリース規制の主な内容

● マスターリース契約を「特定賃貸借契約」と定義して規制している

● 誇大広告・虚偽広告を禁止

● 勧誘時の事実不告知・不実告知等の禁止

● 重要事項説明・説明書の交付を義務化

● 特定賃貸借契約書の交付を義務化(新法の定める事項を記載)

● 違反した場合の行政処分や罰則あり

● サブリース1戸からでも業者は対象となる

● 特定転貸事業者(サブリース業者)が契約締結の勧誘を行わせる者も対象となる

 

 

※なお、「賃貸住宅管理業」については、下記のコンテンツで解説しています。

 

サブリース規制の「用語」について

新法によく登場する用語や定義についておさえておきましょう。

 

特定賃貸借契約

いわゆる「マスターリース契約」のことで、所有者(オーナー)とサブリース業者が締結する賃貸住宅の賃貸借契約です。

サブリース業者が第三者に転貸する事業を営むことを目的として締結されるものです。

オフィスや店舗の転貸(サブリース)は除外されます。

 

特定転貸事業者

特定賃貸借契約(マスターリース契約)に基づき賃借した賃貸住宅を、第三者に転貸する事業を営む者。

いわゆる「サブリース業者」。社宅代行業者も含まれます。

賃貸住宅管理業登録や宅地建物取引業免許の有無は問いません。

 

勧誘者

特定転貸事業者(サブリース業者)が特定賃貸借契約(マスターリース契約)の締結についての勧誘を行わせる者。

建設会社、不動産販売会社、金融機関、コンサルタントなどが該当します。

誇大広告等の禁止、不当な勧誘等の禁止の規制が及びます。

 

誇大広告等

実際より優良であると見せかけて相手を誤認させる「誇大広告」のほか、虚偽の表示により相手を欺く「虚偽広告」のこと。

広告の媒体は、新聞の折込チラシ、配布用のチラシ、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ又はインターネットのホームページ等種類を問わない。

特に、営業所等が作成する配布用のチラシやインターネットのホームページ等において適切な表示がなされているかについて、社内において遵守状況の確認を行うことが重要です。

 

新たな法規制への対応について(サブリース編

平成から令和へパソコンで修正する人:写真画像

法規制に対応できる体制が重要になります

 

サブリース方式の対応について(2020年12月15日~)

サブリース事業者は新法の内容について把握し、適切に対処する必要があります。

サブリースに関する措置は、2020年12月15日 から施行されています。

(賃貸管理業者の登録制度は2021年6月に施行される予定です。)

 

  • サブリースの勧誘時や契約締結時に適切な説明と書面の交付をおこなう
  • 違反した場合の処分や罰金などの規定について確認する

 

サブリースを扱う業者は、1戸からでも新法の対象に。

「絶対に損しない」といった不適切な勧誘行為が禁止され、契約締結前に「重要事項説明」が義務付けられます。

家賃収入を保証する期間や将来の減額リスクなどを「書面」で説明する必要もあります。

また、サブリース業者と組んでサブリースによる賃貸住宅経営の「勧誘を行う者(勧誘者)」についても規制の対象となります。

不動産業者だけでなく建築業者やコンサルティング会社、また個人であってもサブリース事業を提案する側の責任が問われます。

違反した業者・勧誘者には、業務停止処分や罰金が科されますので注意が必要です。

国土交通省は、監督処分(指示処分・業務停止処分)の決定に至るプロセスを公開しています。

 

マスターリース契約時の「重要事項説明」については、下記のコンテンツで解説しています。

 

 

サブリース新法のQ&A

サブリース新法に関する質疑応答をまとめました。

詳細は、下記のコンテンツをご覧ください。

 

 

オーナー(物件所有者)も新法を確認すること

物件所有者(オーナー)は新法の内容をチェックして、契約書や業者が新法に対応できているかどうかを自分でも見極めることが重要になります。

契約前には「重要事項説明書」の内容を必ずチェックしましょう。

新法に即した契約であることを確認することが、トラブルを防止することにつながります。

 

また、国土交通省はオーナーとサブリース事業者が締結する契約書(マスターリース契約)のひな形(ドラフト)を公開していますので、参考にしてください。

 

 

資料・リンク集(マスターリース契約・サブリース関係)

 

アパート等のサブリース契約を検討されている方は契約後のトラブルにご注意ください!
平成30年3月27日 公表(平成30年10月26日 更新) 金融庁・消費者庁・国土交通省

 

特定賃貸借標準契約書(マスターリース契約書)
  【PDF版】  【Word版

 

特定賃貸借契約(マスターリース契約)重要事項説明書  
  【PDF版】   【Word版

 

特定賃貸借契約(マスターリース契約) 重要事項説明書(記載例)   
  

 

特定転貸事業者等の違反行為に対する監督処分の基準

 

【参考】監督処分の決定に至るプロセス及び業務停止処分等に係る基本的な考え方について

 

重要事項説明書などの実務書式(日本賃貸住宅管理協会)Word形式

 

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の解釈・運用の考え方(サブリース 国土交通省)

 

賃貸取引に係るITを活用した重要事項説明 実施マニュアル(国土交通省)

 

 

 

 

国土交通省のアンケート調査について

国土交通省はサブリース新法に先駆けて実態調査のためのアンケートを実施しているので、その内容と結果を見てみましょう。

アンケートの正式名称は「賃貸住宅管理業等に関する実態調査」。

調査対象者は、サブリース・管理会社のほか、賃貸住宅オーナー、入居者も加わる規模。

質問項目は多岐に渡り、トラブル対応の状況、営業手法、契約の事前説明状況を確認するものになっています。

「サブリース方式の事前説明の状況」「トラブル事例」について、詳細を問うものになっているようです。

令和元年(2019年)12月、「サブリース方式」に関するアンケート結果が公表されました。

サブリースをしている不動産業者720社余りと、家主400人余りから回答を得ました。

それによると、不動産業者が家主に契約内容を十分に説明しているケースは「6割」にとどまることがわかりました。

入居率が下がったり、周辺の家賃相場が下がったりした場合に、家主に支払われる賃料が減るリスクについて説明をしている業者は、59.7%にとどまり、契約の説明が必ずしも十分ではない実態が分かりました。

一方、家主への調査では「契約内容の変更条件などについて十分な説明がないまま契約を求められた」との回答が22.8%にのぼりました。

国土交通省は今回の調査結果を踏まえ、契約内容の説明の徹底などルールを厳格化するとともに、不動産管理業者の国への登録の義務化を行います。(2021年6月予定)

賃貸住宅における良好な居住環境の確保を図るとともに、不良業者を排除し、業界の健全な発展・育成を図るため、としています。

オーナーとサブリース業者・管理業者とのトラブル発生を、令和11年度までに15%(令和元年の1/3)にすることを目標としています。

 

サブリース規制法の目標と効果の写真画像

目標と効果(国土交通省)

 

アンケート結果の詳細は、下記のサイトから確認できます。

賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査結果の公表(国土交通省)

 

サブリースのトラブル・問題点

物件所有者(オーナー)とサブリース業者のトラブルや問題点について、これまでの事例を含めて見ていきましょう。

 

サブリース方式の仕組み

「サブリース事業者」がアパートなどの「所有者」から建物を一括で借上げ(マスターリース契約)、長期間にわたり入居者に「又貸し(転貸)」するビジネスです。

事業者が入居者の募集から建物の維持・管理、家賃収納など多くの業務を担っています。

オーナーは業者にほとんどの業務を任せることができ、少ない負担で収入を得られる仕組みになっています。

 

サブリース(転貸借)

建物の所有者からアパートなどの賃貸住宅を一括して借り上げ、入居者にまた貸しする事業

所有者は一定期間、収入が保証され、家賃の収納業務なども業者に任せて負担を減らせる

日本経済新聞-きょうのことば(2019年8月11日)
サブリース方式(国土交通省)の写真画像

サブリース方式(国土交通省)

 

 

サブリースは、アパートやマンション、シェアハウスなど多くの賃貸住宅で採用されています。

適切に運営されているケースが大半であり、サブリース事業そのもの(仕組み)に大きな問題があるわけではありません。

今回の法規制は、サブリースの仕組みを利用した一部の悪質業者を排除し、金融機関も含めた「トラブルを防ぐ目的」で実施が検討されているのです。

(参考:不祥事の続いたサブリースが「悪いサービスではない」根拠)

 

 

サブリースのトラブル・問題点

リスク・デメリットを示す写真画像

サブリースに関するトラブルや問題点を具体的に見ていきましょう

 

近年は、物件所有者(オーナー)とサブリース事業者との間でトラブルが相次いでいます。

特に「安定した家賃収入を保証する」と勧誘され、多額の融資を受けてアパートを建設したケースで問題が多くなっています。

オーナーに払われる家賃の減額をサブリース事業者から迫られ、借入金の返済が滞る例もみられます。

たとえば、2018年にはサブリース方式で「かぼちゃの馬車」というシェアハウスのような物件を運営していた不動産会社が破綻し、この関連でスルガ銀行では多額の不正融資が発覚しました。

サブリースで安定した家賃収入を謳い文句に、投資物件として医師やサラリーマンなどに販売していました。

ただし、スルガ銀行の不正融資の報告書を見ると、シェアハウス関連は全体の約1割にすぎず、賃貸用のアパート・マンションが全体の約9割を占めています。

金融機関を利用する賃貸住宅のオーナーや投資家は注意が必要です。

 

サブリース方式(国土交通省)の写真画像

サブリース規制法(国土交通省)

 

 

アパートなどの建設や土地購入にかかる費用は、所有者(オーナー)が金融機関からの借り入れなどでまかないます。

サブリースにより家賃収入が「保証」されるとはいえ、保証は数十年間におよぶ借入金の返済期間中ずっと続くわけではありません。

サブリース業者との契約は通常、賃料保証は最初の10年間などに限られ、それ以降は数年ごとに「賃料を見直す条項」が盛り込まれています。

(ここでいう「賃料」とは、サブリース業者がオーナーに支払う賃料のこと)

所有者が予想しなかった段階で「家賃の減額」を迫られ、金融機関への返済が行き詰まるといったトラブルや訴訟も多く、社会問題となっているのです。

 

 

トラブル事例のニュース①(サブリース)

賃貸住宅の施工不備問題が発覚したレオパレス21は、サブリース物件が多いと言われています。

施行不備を改修するために入居募集停止中の物件もあり、さらなる業績の悪化も懸念されています。

 

オーナーの間では、会社の業績悪化でサブリース物件の賃料減額・契約解消の不安が広がっているようです。

2020年2月には、オーナーが賃料減額取消を求めた訴訟でレオパレス側が敗訴する判決が出て話題になりました。

(参考サイト https://www.rakumachi.jp/news/column/258708

 

また、2020年12月の入居率は77.07%と、8カ月連続で減少しています。

管理戸数57万4083戸(12月時点)のうち大部分がサブリースで、採算ラインと考えられる82%を約5ポイント下回っています。

20年3月に83%台まで回復していた入居率はコロナショックで流れが一変し、企業の転勤・研修見合わせなどの影響が響き、4月を境に入居の半数超を占める法人契約などが減りました。

引っ越しシーズンの1~3月に、どれだけ入居率が回復するかが焦点となりますが、このままの状況が続くとオーナーの賃料減額などの可能性が高まるかもしれません。

 

トラブル事例のニュース②(サブリース)

サブリース業者が物件オーナーに架空工事の請求をしていたケースもあります。

積水ハウスの子会社「積水ハウス不動産中部」(名古屋市)の元社員が、同社がサブリース契約を結んでいた長野県内のアパートをめぐり、改築工事の注文書の署名を勝手に代筆し計約1300万円分を発注、オーナーから代金を受け取っていました。

今回とは別にこのアパートで計250万円分の架空工事の領収書も自作し、オーナーから不正に現金を受け取ったとのこと。

またその後の調べでは、同じ所有者の別の物件を個人名義で購入していたことが判明しました。

 

悪質なのは、売却までの5年間に大規模な改築工事をさせたうえで、最低の価格を提示して売却を促していたことです。

物件の管理を業者に一任するため、オーナー側は物件の状況がわからず「担当者の言いなりになりやすい」というサブリースの問題点が顕在化したといえます。

 

積水ハウス子会社が架空工事請求 サブリース、所有者に250万円:中日新聞Web (chunichi.co.jp)

積水ハウス揺るがす子会社「不透明取引」の異様 前社長自らオーナー所有のマンションを購入

 

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まとめ(サブリース新法)

サブリース事業者に対する新法が制定され、一部が2020年12月15日より施行されます。

物件オーナーや不動産会社などサブリース事業に関係のある人は、詳細を確認して対応しましょう。

 

サブリース新法について(まとめ)

● サブリースによる賃貸住宅経営を勧誘する業者にも適用される

● サブリースの勧誘時や契約締結時に適切な説明と書面の交付をおこなう

● 違反した場合の処分や罰金などの規定がある

 

賃貸住宅管理業の規制については、下記のコンテンツで解説しています。

 

 

Ⓒシェアハウス経営の教科書

 

 

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