サブリースの一般的な契約関係のイメージ:写真画像
サブリースのトラブルを防止する法規制が検討されています(国土交通省のサイトより)

 

 

2019年から国土交通省が賃貸住宅などの「サブリース(転貸借)事業者」に法規制の導入を検討していました。(日本経済新聞)

2020年(令和2年)3月、政府は不当な勧誘を禁止し、業者の国への登録を義務づける新たな法案を閣議決定しました。

早ければ、2021年の夏までに施行される見通しです。

新たな法案では「絶対に損はしない」といった不当な勧誘を禁止し、家賃収入が保証される期間や条件などについて書面で説明することを義務づけます。

 

このコンテンツは、国土交通省が検討する「サブリース事業者に対する法規制」の内容について解説しています。

サブリース方式で問題となった、かぼちゃの馬車の物件やスルガ銀行の事例も取り上げています。

 

物件オーナーや管理会社の人は、新たな法規制の情報をチェックしてスムーズに対処できるようにしておきましょう。

 

東京で20棟・300室のシェアハウス管理・運営において10年超の経験を持ち、物件オーナー(所有者)に対する「サブリース契約書の作成と締結」を実際に行なってきた筆者が、プロの視点から解説します。

 

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サブリース法規制の検討内容について

規制の写真画像

サブリース事業者に対する法規制が検討されています

 

国土交通省がサブリース事業者に法規制を導入するのは、物件所有者(オーナー)とサブリース業者とのトラブルが目立ってきていることがあります。

 

サブリース法規制の検討内容
  • 悪質業者の排除を目的とする
  • 事業者に登録を義務付ける
  • 将来の賃料の変動について取引先に対して適切な説明・書面の交付を求める
  • 一定の年数以上の実務経験を持つ人材や住宅管理の有資格者の配置を義務付ける
  • 入居者から預かった賃料を登録事業者の財産と分けて管理することを義務付ける
  • 違反した場合の処分や罰金などの規定も設ける

(※2019年8月現在の検討内容)

 

現在、サブリースを直接的に規制する法律はありません。

そのため、国土交通省は悪質業者の排除に向け、2020年以後の早期に新法制定を目指しています。

それに先駆けて、実態調査のためのアンケートを実施しました。

 

国土交通省のアンケート調査について

国土交通省はサブリースに関するアンケートを実施しました。正式名称は「賃貸住宅管理業等に関する実態調査」。

調査対象者は、約11,000社のサブリース・管理会社のほか、1,000人の賃貸住宅オーナー、1,000人の入居者も加わる規模。

管理会社向けの質問項目は多岐に渡り、トラブル対応の状況、営業手法、契約の事前説明状況を確認するものになっています。

一方、オーナー・入居者向けの質問項目は「非公開」(担当者)となる予定。

「サブリース契約の事前説明の状況」「トラブル事例」について、詳細を問うものになっているようです。

 

賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査の実施(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo16_hh_000191.html

 

国土交通省のアンケート調査結果について

令和元年12月、「サブリース契約」に関するアンケート結果が公表されました。

サブリース契約をしている不動産業者720社余りと、家主400人余りから回答を得ました。

それによると、不動産業者が家主に契約内容を十分に説明しているケースは「6割」にとどまることがわかりました。

入居率が下がったり、周辺の家賃相場が下がったりした場合に、家主に支払われる賃料が減るリスクについて説明をしている業者は、59.7%にとどまり、契約の説明が必ずしも十分ではない実態が分かりました。

一方、家主への調査では「契約内容の変更条件などについて十分な説明がないまま契約を求められた」との回答が22.8%にのぼりました。

 

国土交通省は今回の調査結果を踏まえ、契約内容の説明の徹底などルールを厳格化するとともに、サブリース契約を行う不動産業者の国への登録の義務化を検討する方針です。

 

アンケート結果の詳細は、下記のサイトから確認できます。

賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査結果の公表(国土交通省)

 

これまでの問題点(サブリース)

物件所有者(オーナー)とサブリース業者のトラブルや問題点について、これまでの事例を含めて見ていきましょう。

 

サブリースとは

「サブリース事業者」がアパートなどの「所有者」から建物を一括で借上げ、長期間にわたり入居者に「又貸し(転貸)」するビジネスです。

事業者が入居者の募集から建物の維持・管理、家賃収納など多くの業務を担っています。

オーナーは業者にほとんどの業務を任せることができ、少ない負担で収入を得られる仕組みになっています。

 

サブリース(転貸借)

建物の所有者からアパートなどの賃貸住宅を一括して借り上げ、入居者にまた貸しする事業

所有者は一定期間、収入が保証され、家賃の収納業務なども業者に任せて負担を減らせる

日本経済新聞-きょうのことば(2019年8月11日)

 

サブリースの一般的な契約関係のイメージ:写真画像

サブリースの一般的な契約関係のイメージ(国土交通省)

 

サブリースは、アパートやマンション、シェアハウスなど多くの賃貸住宅で採用されています。

適切に運営されているケースが大半であり、サブリース事業そのもの(仕組み)に大きな問題があるわけではありません。

今回の法規制は、サブリースの仕組みを利用した一部の悪質業者を排除し、金融機関も含めた「トラブルを防ぐ目的」で実施が検討されているのです。

 

(参考:不祥事の続いたサブリースが「悪いサービスではない」根拠)

 

サブリースのトラブル・問題点

リスク・デメリットを示す写真画像

サブリースに関するトラブルや問題点を具体的に見ていきましょう

 

近年は、物件所有者(オーナー)とサブリース事業者との間でトラブルが相次いでいます。

特に「安定した家賃収入を保証する」と勧誘され、多額の融資を受けてアパートを建設したケースで問題が多くなっています。

オーナーに払われる家賃の減額をサブリース事業者から迫られ、借入金の返済が滞る例もみられます。

 

たとえば、2018年にはサブリース方式で「かぼちゃの馬車」というシェアハウスのような物件を運営していた不動産会社が破綻し、この関連でスルガ銀行では多額の不正融資が発覚しました。

サブリースで安定した家賃収入を謳い文句に、投資物件として医師やサラリーマンなどに販売していました。

ただし、スルガ銀行の不正融資の報告書を見ると、シェアハウス関連は全体の約1割にすぎず、賃貸用のアパート・マンションが全体の約9割を占めています。

金融機関を利用する賃貸住宅のオーナーや投資家は注意が必要です。

 

また、賃貸住宅の施工不備問題が発覚したレオパレス21は、サブリース物件が多いと言われています。

オーナーの間では、会社の業績悪化でサブリース物件の賃料減額・契約解消の不安が広がっているようです。

施行不備を改修するために入居募集停止中の物件もあり、さらなる業績の悪化も懸念されています。

 

アパートなどの建設や土地購入にかかる費用は、所有者(オーナー)が金融機関からの借り入れなどでまかないます。

サブリース契約により家賃収入が「保証」されるとはいえ、保証は数十年間におよぶ借入金の返済期間中ずっと続くわけではありません。

サブリース業者との契約は通常、賃料保証は最初の10年間などに限られ、それ以降は数年ごとに「賃料を見直す条項」が盛り込まれています。

(ここでいう「賃料」とは、サブリース業者がオーナーに支払う賃料のこと)

所有者が予想しなかった段階で「家賃の減額」を迫られ、金融機関への返済が行き詰まるといったトラブルや訴訟も多く、社会問題となっているのです。

 

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新たな法規制への対応について(サブリース・賃貸住宅管理

平成から令和へパソコンで修正する人:写真画像

法規制に対応できるように準備をすすめておくことが重要になります

 

サブリースの規制法案について

サブリース事業者は新法の内容について把握し、制定後は適切に対処できるように準備をしておく必要があります。

 

  • 登録義務が法制化されたら直ちに登録をおこなう
  • 将来の賃料の変動について適切な説明と書面の交付をおこなう
  • 一定の年数以上の実務経験を持つ人材や住宅管理の有資格者を配置する
  • 入居者から預かった賃料を登録事業者の財産と分けて管理する
  • 違反した場合の処分や罰金などの規定について確認する

 

現在は任意の業者登録制度を改め、一定規模の戸数を持つ業者に登録を義務付けます。

「絶対に損しない」といった不適切な勧誘行為を禁止します。

契約締結前に「重要事項説明」が義務付けられます。家賃収入を保証する期間や将来の減額リスクなどを「書面」で説明する必要があります。

違反した業者には、業務停止命令や罰金が科されます。

 

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律案(仮称)について

賃貸住宅管理業者」への登録制度も新設されます。(国会への法案提出は2020年3月の予定)

現在は「任意」での登録ですが、法制化や適正化が検討されています。

登録業者には、事業所ごとに住宅管理の有資格者を配置するように求めるようです。

入居者から預かった賃料は、業者の財産とは分けて管理させます。

また、管理業者は物件の入居状況や入居者がトラブルを抱えていないかなどを、定期的に所有者に報告させます。

 

 

物件所有者(オーナー)は新法の内容をチェックして、サブリース契約や業者が新法に対応できているかどうかを自分でも見極めることが重要になります。

業者に登録が義務付けられれば、インターネット上で登録事業者を確認することができるようになると思われます。

契約前に必ずチェックし、「登録事業者と契約を締結する」ようにすることがトラブルを防止することにつながるでしょう。

 

また、国土交通省はオーナーとサブリース事業者が締結する契約書のひな形を公開していますので、参考にしてください。

 

「サブリース住宅原賃貸借標準契約書」国土交通省)
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000018.html

 

アパート等のサブリース契約を検討されている方は契約後のトラブルにご注意ください!
平成30年3月27日 公表(平成30年10月26日 更新) 金融庁・消費者庁・国土交通省

 

賃貸住宅管理業者登録制度(国土交通省)
http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/tintai/index.html

 

まとめ(※追伸あり)

国土交通省はサブリース事業者に対する法規制を検討しています。

詳細は今後に公表されていきますので、物件オーナーや不動産会社などサブリース事業に関係のある人は、その動きに注目していきましょう。

 

サブリースの新しい法規制について(2019年8月現在)
  • サブリース事業者には登録を義務付ける
  • 実務経験者や有資格者の配置を義務付ける
  • オーナーに支払う賃料の変動について説明・書面を求める
  • 違反した場合の処分や罰金の規定を設ける

 

(※ 追伸 )

サブリース業者の規制にかかわる「新たな法案」が政府の閣議で決定され、国会に提出されます。(毎日新聞

国への登録義務化や、「絶対に損はしない」「20年間の家賃保証」などといった不当な勧誘を禁じることが柱。
違反した業者には、業務停止命令や罰金が科されます。早ければ2021年の夏までに施行される見通しです。
新法案は管理戸数が一定規模以上の事業者の登録を義務化し、契約期間や賃料、契約解除の条件などを記載した書面を家主に交付するよう求めるものになります。

 

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